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在宅医療〜概論的なお話

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#小児科

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(3)

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(3)

2回目を作成してから4ヶ月、かなり時間が経ってしまいました・・。

1回目の記事では、
子どもから大人になる患者さんの移行の形には
1.完全に成人診療科に移行する
2.小児科と成人診療科の両方にかかる
3.小児科に継続して受診する
この3パターンがあることを前提に、発達などに問題が少なく、主に外来での治療を継続される方の一般的な課題について説明させていただきました。

そして2回目の記事では、

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移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(2)

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(2)

前回の記事では、
子どもから大人になる患者さんの移行の形には
1.完全に成人診療科に移行する
2.小児科と成人診療科の両方にかかる
3.小児科に継続して受診する
この3パターンがあることを前提に、発達などに問題が少なく、主に外来での治療を継続される方の一般的な課題について説明させていただきました。

一方で、重症心身障害児者の方など、入院を要する可能性の高い方の移行期医療については、なかなかうまく

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移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(1)

移行期医療の理想と現実〜小児在宅医療の現場から見えること〜(1)

2022年11月29日、NHKのウェブニュースにこのような記事が掲載されました。
(下の写真をクリックで本文が読めます)

この記事の中にもある通り、小児期に発症した疾患をもつ大人の患者さんが、何歳になっても小児科に通い続けなければならない状況について、長らく小児科医の間では議論が続けられています。

日本小児科学会は、
「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」
という文書を作成し、

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地域を変えたいなら「突き抜けるな!」

地域を変えたいなら「突き抜けるな!」

【はじめに】私はもともと新生児科医です。
NICUで働いているうちに、障害を持った子どもや医療的ケアを要する子どもが退院した後、自宅で大変な生活を送っていることを知り、在宅医療の世界に飛び込もうと決意しました。

そして勉強をしているうちに、
「子どもはいずれ成人するのに、在宅医療に小児も成人もない。
どうせやるなら両方できるような医師になろう」
と考え、0歳から100歳超の方までを対象に、年齢や

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「いいお医者さん」「いい病院」とは?

「いいお医者さん」「いい病院」とは?

記念すべき(?)初めてのnote投稿です。
まずは、今までブログ「よしなしごと」で書いてきたことを振り返り、少しずつ私の考えをご紹介していけたらと思っています。

医者の仕事をしていると、色んな方から
「妹が出産するんだけど、いい産婦人科の病院知らない?」
とか、
「大阪に引っ越してきたんだけど、いい小児科のクリニック知らない?」
とか、
「お父さんががんだって言われて、今の先生の話に納得できない

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