キモノを着たら空も飛べるはず~「明治座キモノ日和」
【着物】が【キモノ】になった日
去年から私の普段着に着物が加わった。
きっかけは一昨年の晩秋、親友が着物で私を迎えに来た事だった。
高山までスズキコージ原画展を見に行くお出かけ。
インターフォンが鳴ってドアの前に立つ彼女を見て目を丸くした。
「え?!なんで着物!!」
高山に向かう道中、その頃の私にはあり得ない理由を聞いた。
「今の時期ホント着るものなくてさ~、そーだ着物にしょ~って。」
彼女が着ていたのは同居していた祖母の遺品で、おばあさんもお母さんも日常で着物を着ている家庭だったらしい。
私がハレの日に着付けてもらうトロンとした正絹生地とは違う、はりのあるウール生地。
帯は半幅でやの字結びは背中が平らで運転もラクだと教えてくれた。
原画展がやっている絵本店「ピースランド」は高山らしい軒の低い古民家で、狭い店内は絵本でぎっしり埋まり、靴を脱いで上がる奥の部屋が展示スペースになっている。ランプの灯るカウンターでは店主が淹れてくれるコーヒーも呑める。
親友はイラストレーターで、仕事柄店主とも顔馴染みだった。
「ちわー。また来ました〜。」と気楽に言葉を交わす。懐かしいにおいの店内とキモノはしっくり来る。
店を出ても古い町並みにキモノが馴染んでいた。
当たり前に洋服を着ていた私がそこでは浮いて見えた。
ランチは定番なイタリアンを堪能して、帰った。
至ってフツーな女友達とのお出かけだったのに、
神社や式典に着て行く
“晴れ着”の【着物】しか知らなかった私が“普段着”の【キモノ】を知った日になった。
それから、BSで朝ドラ「おしん」の再放送が始まり、和服の暮らしぶりに釘づけになった。
カゴで買い物へ行き、前掛けをして奥の仕事をきりもりするおしん。
つつましやかな暮らしでも“粋”を感じた。
大人がときめくファッション
GUやユニクロの服は絶対周りとかぶる。周りと同じが流行りの証だからファストファッションならそれでいい。
が40半ばになって小ぎれいにはしていたいけど、流行りが好みでなかったり、ファッションへのときめき感が薄れている。
今の私は普段着でキモノが着たい!!熱が上がり昨夏から半年ほど着付けを習った。
リサイクル店では良質なウール、正絹キモノが500円で買える。
気軽に着れる紬やウールを何枚か揃えた。
キモノで出かける前日は、コーディネートの支度から、
まるで20代の頃のデートみたいにときめく。
そしてキモノ仲間で集まってもそれぞれの個性や好みが着こなしになり、かぶることがない。古いキモノは一点物で、作られた年代も様々だからだ。
スタイルの良し悪しよりも、人となりが魅力に映る。
また日本人ならではの季節を表す柄や小物の配し方も、洒落を利かせる楽しみが深い。
ファストファッションで消費し続ける暮らしより、譲り受けたものの温もりや日本人らしいエシカルなものを纏う喜びがある。
キモノで出かけることが多くなってから、おばあさんの遺品の処分に悩んでいたり、嫁入りに持たせてもらった着物を一度も着ていないなど、着物が滞っているのを相談されるようになった。
こんなに心躍るファッションの楽しみをもっと知らせたい!!
着物を通して“つながる・広がる”ものがある!!
そんな気持ちから昨年キモノ好きな仲間と築126年の文化財「かしも明治座」を活用して【明治座キモノ日和】を起ち上げた。
イベントレポやこれからのプランをマガジンで書いて行こうと思う。
キモノを着ると空を飛んでいつもと違う景色を見るような、
ステキな感覚をたくさんの人に味わって欲しい。
【明治座キモノ日和】Instagram
https://www.instagram.com/meijizakimono/
【かしも明治座】https://www.instagram.com/kashimo_meijiza/