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社内の"お局様"が新人Webライターになった話
「1本700円の記事、書き終わるのに1か月かかりました」
Zoomの画面越し、少し照れくさそうに報告してくれたライター歴3か月のCさん。執筆に1ヶ月もの時間をかけて、700円しかもらえない。
少しは落ち込んでも良いはずだろうに、なんだか嬉しそうだった。
今年60歳になるCさんのAIライティングを、私は先輩ライターとしてサポートしている。定年間近にして初めての在宅ワーク、ChatGPT、そしてWebライティング。
60歳でライターデビューした彼女が、3か月の苦闘の末に気づいた「初心者でも稼げるライター」になれる本当の秘訣とは。
【DAY1】 "新人ライター"のスタート地点に立った日
正直に告白しよう。
「ライターで月5万、ちょっと稼がせる自信ないな」
Cさんと出会った当初、私は本気でそう思った(ごめんなさい、Cさん…)。
なぜなら、彼女と初めて面談をしたときこんな言葉を聞いてしまったからだ。
「パソコンは、韓国ドラマをAmazonプライムで見るのに使うくらい」
「Googleドキュメントって、Wordと何が違うんですか?」
「添付ファイルはどうやってLINEに送るんでしたっけ.…..」
ちょっと待ってくれ。
「AIを活用しながらWebライターをやりたい」というのに、ここまでデジタルスキルがないのはさすがにキツい。
なぜWebスキルゼロのCさんは、未経験からライターを始めたのか?理由を聞いてみると合点がいった。
今の仕事での月収は25万円ほどで、夫婦2人暮らし。
お金に困ってはいない。
だが、職場には70代の人もいて、体力の衰えを目の当たりにする日々。
「65歳までは働けるけど、その後はどうしよう。このまま何も準備せずにいていいのだろうか」
“老後を支えるのは自分自身”と言わんばかりの時代。厳しい現実を前に、彼女はライターへの道を踏み出したのである。
【DAY2】 "お局"の立場が逆転した日
スキルゼロで「AIライターになろう」というなかなかの度胸の持ち主、Cさんの話をもう少しだけ。
普段、彼女は運送会社で働いていて、若手たちをまとめる頼もしいリーダー的存在だ。本人曰く、若手にかなり威張り散らしている "お局様"らしい。
しかし、ライターの世界では立場が完全に逆転。クライアントへ「すみません」「修正します」を連発する新人そのものだ。
立場の落差に加え、大量のマニュアルと修正に何度も心が折れそうになっている様子は、私に送られてきたLINEからもうかがえる。
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「できない側の気持ちがわかりました……」
普段後輩に向けている「なんでできないの?」という思い。
今は自分自身に突き刺さっているようだった。
【DAY3】 "丁寧さ"が武器になった日
「あの〜、空港に電話してもいいのかしら?」
突拍子もないCさんからのLINEに、私は思わず吹き出した。
空港に関する記事の事実確認をするために、直接問い合わせするなんて。私なら、ネットの情報で済ませてしまうところだ。
「速く」より「正確に」
「たくさん」より「丁寧に」
私は「丁寧な仕事」こそ、彼女の一番の強みだと確信した。
運送会社での仕分け作業で培った"確認癖"。
ライターの仕事でプラスに変換できる瞬間を、Cさんはつかんでいた。
私はライティングの技術や案件の取り方なら教えられる。
でも、長年の経験から無意識に生まれる「思いやり」と「丁寧さ」は、彼女だけのものだ。
【DAY4】 正真正銘の"新人ライター"になった日
丁寧な仕事ぶりは、クライアントにもしっかりと伝わっていたようで、私たちは一緒に喜びを分かち合った。
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修正作業も徐々にスムーズになっていった。
「ここは〇〇という意図で書きましたが、いかがでしょうか?」と、自信を持って提案できるようにさえ。
う〜。感動したなぁ。
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【DAY5】 700円で書いた記事が、お金以上の価値を持った日
1記事700円。
1か月かけて書いて、時給にすれば.…..考えたくもない金額だ。
でも冒頭でCさんが見せた嬉しそうな表情の意味、わかっていただけたのではないだろうか。
「はじめは700円の記事なんて...って思っていました。でも、この3か月で大切なことを学べました。お金以上の価値があったと思います」
社内の"お局様"は、もはやそこにはいなかった。
目の前にいるのは、素直な"新人ライター"。
彼女のこれからの挑戦は、定年後を見据えた単なる「副業」ではない。きっと、自らが培ってきた経験の「価値」を発見する旅となるだろう。
22歳の"先輩ライター"が、60歳の"新人ライター"から学んだこと
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「私はスキルゼロなのでライターで稼げる自信がない……」 という不安を抱えている方へ
「スキルゼロ」という言葉をよく耳にする。
しかし、私はCさんから学んだ。
「スキルゼロ」な人はいないということを。
きっと、今までの人生で培ってきた「何か」をまだ見つけられていないだけなのだ。
私は確信している。
AIやテクノロジーが急速に進化する今だからこそ、経験と熱意を持つあなたにしかできない「ライティング」があると。
理由は単純だ。 私はCさんの輝く目を見たからー。