これだからミラクルは
日常の奇跡にうんざりする2人の男
左衛門三郎王雨三郎(男):さえもんざぶろうおうさぶろう。名前がめっちゃ珍しい。名前の画数が縁起良い。
花ヶ迫武英(男):はながさこむえい。名前がめっちゃ珍しい。名前はモテそう。
https://note.com/nankakanka/n/n8299437df513
左衛門三郎王雨三郎:
花ヶ迫武英:
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(気だるげな王雨三郎。そこに同じく気だるげな武英が現れる。)
武英:おっつかれさまでえす…
王雨三郎:おつかれぇい
武英:どう?最近。
王雨三郎:どうって?
武英:ほら、ね?
王雨三郎:あ?あぁ…
武英:そう…
王雨三郎:あれな。
武英:それ。なんかありました?
王雨三郎:俺、アプリゲームするじゃん。
武英:あ、そうなの?
王雨三郎:するのよ。で、ガチャあるでしょ。
武英:あるね。
王雨三郎:10連〜つってさ。
武英:はいはいはい…
王雨三郎:その10連がな。
武英:10連が。
王雨三郎:うん。10連が全部、SSRだった。
武英:あぁ…
王雨三郎:ホント、ぜーんぶ。
武英:それ…やばいね。
王雨三郎:そう。いや嬉しくないこたないよ?
武英:あーまあ
王雨三郎:わかる?
武英:わかるわかるそれはわかる
王雨三郎:け・ど! けどなのよ…
武英:いや〜〜〜そうねえ…
王雨三郎:お前はなんかないの。
武英:ある。俺もアプリゲームなんだけど
王雨三郎:ほう
武英:これでも、最近ってわけではないんだけどね?
王雨三郎:まあまあまあまあいいよそれは
武英:パズルゲームやってて。で、連鎖ってあるのさ。
王雨三郎:おう…
武英:俺がやるとな
王雨三郎:……
武英:1箇所消すと連鎖が終わらねえんだ
王雨三郎:あーーーーーー
武英:あーーーーーーでしょ?
王雨三郎:どのくらいいくのそれ?
武英:50くらいいって、もうアプリ閉じるよね…
王雨三郎:嫌だなあ
武英:嫌なんだよ。だから止めたんだよ。それ系のゲームするの。
王雨三郎:終われって思いながら連鎖見るってそうそうないはずなんだけどね
武英:うん。もっと続け!だもん普通。
王雨三郎:続くと萎えるという…
武英:ナエッ
王雨三郎:あー出ちゃった。鳴き声が。
武英:萎えた時の鳴き声ね
王雨三郎:萎えた時の鳴き声、略して
武英:ナエッ
王雨三郎:ナエッ (同時に)
武英:鳴きたくもなるよ…
王雨三郎:………俺たちはさ
武英:なに?
王雨三郎:あんまりそういうことへのありがたみというか、喜びを感じられなくない?
武英:わかるう
王雨三郎:他の人が「わっ!やった!」ってなることでも、俺らは「ああ、はい。」で終わるもん。
武英:ありすぎなんだわ
王雨三郎:普段からね
武英:なんだかなあ…
王雨三郎:ちょっと抑えてほしいよね
武英:ミラクルにね
王雨三郎:そう。
武英:ミラクル側から自分と距離をとってほしいよね
王雨三郎:うん。
武英:どう考えても空気読めてないじゃんか、ミラクルは
王雨三郎:そうなんだよそこなんだよ。心がないんだよね。
武英:ここでミラクルを起こしたら、悲しむ人も出てくるなあっていう発想がないから。ミラクルには。
王雨三郎:だから例えば、夏祭りの金魚掬いに行きましたと
武英:はい。賑わってますね。
王雨三郎:そこで俺が網一つでほぼ全ての金魚を掬いましたと。
武英:はい。………え、実話?
王雨三郎:実は実話なんです
武英:はっ…激おもろギャグ出た…
王雨三郎:出ちゃった……で、そこで金魚を全て掬ったら、もう他の人は楽しめないわけ
武英:だね
王雨三郎:これ、ミラクル君は反省しなきゃいけないと思うんだ
武英:あ〜これは今は起こしちゃいけなかったなってね。
王雨三郎:そう。今奇跡起こすのは違かったなってね。
武英:え、それ結局どうしたの?
王雨三郎:1匹貰ってあとは全部返したよ
武英:は〜〜〜よかった屋台一つ潰したのかと思った。
王雨三郎:しないしない流石に返した。
武英:とんでもない量の金魚飼ってんのかと思った。
王雨三郎:飼ってません。
武英:安心した。
王雨三郎:子供達が可哀想。せっかく楽しもうとしたら根こそぎ掬われてるんだよ?
武英:だよね。童たちが可哀想だね。
王雨三郎:そうだよ。
武英:うん。
王雨三郎:なんでわざわざ童って言い換えた?
武英:ごめん意味はない。
王雨三郎:あ、そうなの。
武英:響きがね、好きなんだよ。
王雨三郎:童。
武英:童。
王雨三郎:ふうん…
武英:うん…
王雨三郎:…
武英:…
王雨三郎:あのさあ
武英:あのさあ (同時に)
王雨三郎:(2人とも謝ったり笑ったりする)
武英:(それっぽくなんか言ってください)
王雨三郎:え何?なんだった?
武英:いや大したことじゃないんですけど
王雨三郎:おん
武英:俺らがパチンコやっても超つまんねえんだろうなって
王雨三郎:あ〜ははははww はいはい…
武英:思わん?
王雨三郎:思う。
武英:もう、最初に玉が出て、「はいはい、入るんでしょほら」みたいな
王雨三郎:「あ〜回った回った。」
武英:「来るよこれもう。どうせ。」
王雨三郎:「店員さんこれ、これ見ててください。当たるんで」
武英:やだやだ嫌な人だわあ
王雨三郎:「…はい。…はい。…はいきたー揃ったー」
武英:「知ってた〜」
王雨三郎:つまんねえ〜〜〜
武英:「あ〜確変でぇす」
王雨三郎:いらねぇ〜〜〜
武英:マジでつまらないわ。
王雨三郎:なんもワクワクせん。
武英:いや〜ワクワクしてえ〜。
王雨三郎:何ならワクワクできんのかな?
武英:なんだろ…
王雨三郎:こう言っちゃなんだけど、今のところ小さいよね
武英:何、どういうこと?
王雨三郎:俺らに起きてるミラクルって規模が小さいよねってこと
武英:あー、ね?
王雨三郎:パチンコってさ、言っちゃえば他の人も当たるわけじゃない。俺たちほどじゃないにしても。
武英:確かに。 いやそれでも当たらない(人はマジで当たらないからね?)
王雨三郎:(↑に被せて)いやそうそうそうなんだけどでもほら当たりはするじゃない当たりはさ。ね?
武英:うんまあ、ね?
王雨三郎:でしょ?だから、俺たちにしか!みたいなのないかなって。
武英:俺たちだからこそ!のやつね
王雨三郎:俺たちが故に!的な
武英:俺たちが来たからには!
王雨三郎:俺たち!
武英:俺たち!
王雨三郎:なんかないかな?
武英:俺たちが如く!
王雨三郎:それは違うと思う
武英:ごめん
王雨三郎:いいよ。で、なんかないかな?
武英:うーん………隕石とか?
王雨三郎:んぁに?
武英:隕石が降ってきて、それを俺たちが、なんとかする。
王雨三郎:それは…隕石に向かって、俺たちが…
武英:俺たちが…そ、
王雨三郎:そ、
武英:そ、それ、
王雨三郎:逸れろ〜逸れろ〜
武英:逸れろ〜逸れろ〜 (やんわり同時に)
王雨三郎:って、するわけ?
武英:そう
王雨三郎:もうちょっとカッコよくできない?
武英:え〜?
王雨三郎:逸れろ~はなんかダサいもん
武英:そうだねえ…
王雨三郎:考えとかないとね
武英:そうね
王雨三郎:でもさあ
武英:なんでしょう
王雨三郎:そもそも隕石が降ってくるっていうとんでもないことが起きないといけないわけだよね?
武英:うん。
王雨三郎:……
武英:……
王雨三郎:……
武英:……あぁ危ない危ない危ないわ。いけないこと考えたかもしんない。
王雨三郎:俺も今ちょっと危なかったわ多分やばかった
武英:ダメだ変なこと考えるもんじゃない。
王雨三郎:だな。
武英(M):後日俺たちは、巨大隕石の軌道が急激に地球に近づき、またすぐに離れていったという事実を知る。ミラクルとんでもねえよ、ホント。
王雨三郎:うし、帰ろうや。
武英:うい〜。自販機でなんか買って帰ろ…
王雨三郎:俺もなんか買おう…
武英:ふぅ…んーと…………あっ。
王雨三郎:え?あっ…………
武英:…
王雨三郎:スーッ…
武英:2本いらねえ……
王雨三郎:貰ってやりたい。
武英:貰って。
王雨三郎:やだ。俺も当たった。そして俺も2本いらん。
(間)
武英:(でっかい溜息)
王雨三郎:(でっかい溜息)
了