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【ナニWAA! 第20回セッション】レポート

〇開催日時
2022年3月25日(金)19:30~21:30
〇テーマ
“わたしを突き動かすパッション”~ばあちゃんと過ごして気づいた“笑い”とは~
〇登壇者
・関山 紗英(さきやま さえ)さん(神戸大学 人間発達環境学研究科の院生。卒業研究は「高齢者と笑い」。3月で卒業に。
〇モデレーター
・櫻井 宏美さん(ナニWAA!メンバー。薬局の薬学生さんの新卒採用担当。ポンポンでみんなを応援する活動に邁進中!

皆さま
こんにちは。
3月のナニWAA!セッションは卒業間近の大学生さんを迎え、春にふさわしく、爽やかで軽やかで心にすぅーッと風が吹くような気持ちのいいひと時を過ごせました。

【関山紗英さん自己紹介ストーリー】

さえちゃんラーメン

「高齢者・老いることに対するイメージをもっとポジティブに」を自分のテーマに持つ。大学での研究テーマは「高齢者の笑い」。簡単に言うとおじいちゃんやおばあちゃんの笑顔をどのように促進できるのかということを研究してきた。セッション当日は卒業式で4月からはキットカットでお馴染みの「ネスレ」にて高齢者向けの食品販売の営業職で社会人をスタート。社会人になってからも自分のテーマに関わっていく。好きなものは、ちびまる子ちゃんとロバート(コント芸人)の秋山。

「高齢者の笑い」この研究テーマに至った経緯
関山さんが「高齢者の笑い」をテーマに研究を始めたのは大学生時代に過ごした認知症の祖母との二人暮らしがきっかけとなったそうです。一緒に生活する中で高齢化社会や認知症について身近に感じるようになり、例えば、スーパーのレジで高齢者に対して店員が高齢者を邪魔者扱いをするような態度をとったり、何気ない瞬間がおじいちゃんやおばあちゃんの自信ややる気を失わせるのではと感じることが多く、それがとても悔しく悲しかったのだそう。自分が年を取った時に高齢者が笑える世の中を作りたいという思いが芽生え、「高齢者の笑い」を研究しようと思い立ったそうです。
当日のTOPICはこちらの3つ
① 高齢者の「笑い」研究
② 「ばあちゃん食堂」でのインターン
③ 「笑い」と「ばあちゃん」から学んだ「行動」のコツ

① 高齢者の「笑い」研究
皆さんは1日に何回笑いますか…。
こちらの問いかけから始まりました。
諸説あるようですが、赤ちゃんは1日400回笑うそうです!それに対して大人は15回!!高齢になるにつれて、特に70代以降はさらに減少していくそうです。笑いは心理的効果、身体的効果、社会的のポジティブな効果があるそうです。また、結果を出す経営幹部は普通の幹部に比べて笑う回数が2倍だそうで、笑いは生産性も上げるし、創造性も向上させ、社員の離職率も下げるそうです。
※このnoteを読んでくださっている会社員の皆さま、日常に笑いを取り入れましょう(^▽^)
高齢者にとっても笑いは重要で、死亡、要介護、生活習慣病、認知機能低下のリスクを軽減するのだとか。そこで、関山さんは日常的に高齢者と関わりのある介護職員の方々にアンケートを行い、どんな風に高齢者を笑わせるのか調査し、今までの研究と今回のアンケートを分析した結果を示してくれました。高齢者だけでなく、私たち一般の大人にも当てはまるものが下記になります。
・「できる」という感覚・役割をもつこと
・失敗、悩みの共有
・友人に会う頻度が週に2回以上あること
・社会活動に多く参加していること
・運動習慣
・他世代(子供・若者)との交流
・友人にアドバイスを行う機会や趣味を持つこと
皆さんはいかがでしょうか。

② 「ばあちゃん食堂」でのインターン
2021年9月、Team WAA!セッションの参加をきっかけに、75歳以上が働く、福岡県うきは市のおばあちゃん×料理を視点にした「ばあちゃん食堂へ」、その日に運営の「うきはの宝株式会社」https://ukihanotakara.com/へインターンシップの問合せを行い、数日後には奈良から福岡へ飛びました!
現地では、おばあちゃんと一緒に万能まぶしという調味料を一緒に作ったり、おばあちゃんの家を利用したホームステイサービスの企画などされていたそうです。いろんなおばあちゃんとの触れ合い、ただただ“おばあちゃんにまみれる”経験を重ねたそう。その中で、本を100冊読む以上の経験や知識を与えてもらい、うきはの宝代表の大熊充さんからは「人にからみまくること」の重要性を学んだとのこと。いろんな人とからみまくることで繋がりが生まれ、ばあちゃん食堂が広がっていく様子を体感できたそうです。偶然の出会いをどれだけ増やせていろんな人に出会えるか意識できたことが、今回のインターンシップの一番の収穫だった、と関山さん。リモートワーク時代には、この“セレンディピティ“はとっても貴重ですね。

③ 「笑い」と「ばあちゃん」から学んだ「行動」のコツ
ラストのプレゼンで、関山さんを支える行動を起こす際に心がけている考え方を話してくれました。

失敗をどう笑えるか

笑いはしんどい状況を乗り越え、むしろ楽しむための有効な手段として、昔から研究者、医者、哲学者などから指摘されているとのこと。関山さんは振り返ってみて、大きな失敗ややらかしてしまったことが大きいほど、後になってめちゃめちゃ笑える思い出になっていると、気づいたそうです。自分の失敗をどう笑いに変えて人に伝えるか、この状況をどう笑えるかを考えることによって失敗が怖くなくなり、行動のハードルが低くなったそうです。
じいちゃん、ばあちゃん>戦争
昔から平和学習や戦争に触れるたびに、次の日に早起きできたり、その日その瞬間を大事にして、毎日を大切に生きようという感覚が生まれてきたそうです。この感覚とおじいちゃんやおばあちゃんと過ごした後の感覚が似ているということをずっと感じていたそうです。大好きなおじいちゃんやおばあちゃんが増えれば増えるほど、自由に動けること、好きなことを好きなだけできるチャンスがあることは当たり前ではないし、やりたいことはやりたい時にすぐやろう、とフッ軽(フットワークが軽くなる)になれるそう。人類最強のモチベーションアップ術はおじいちゃんとおばあちゃんだ!とお話しくださいました。

うきはのカルチャーショックで行動力がさらにパワーアップ!!
初めて入った喫茶店が気に入り、帰る時には「バイトさせてください!」と店主にお願いするほど、その場の想いを行動に移す関山さんですが、その関山さんの行動力をさらに高めたのが、前出の「うきはの宝」の大熊充さんの存在。こちらが引いてしまうくらいにどんどん人に絡んでいく大熊さんといるうちに、感覚が麻痺して誰にでも話しかける感覚が高まっていったそうです。うきは市の地域の皆さんのフランクで、いい意味で時間にルーズなところがまるで海外へ留学に行っている気分でカルチャーが違う感覚を得たのだとか。
大熊さんからはおばあちゃんのナンパの仕方も伝授されたそうです。それは・・・
「おばあちゃんの思考を奪え!」
怪しまれる前に間髪入れず、話しかけ、自分から自己開示して、おばあちゃんの気持ちに入っていき、親しんでいく、のだそう。その通りに実行した関山さんは次々にナンパに成功したようですよ(^^♪

受け入れ上手は、失敗を笑いに変えられる要素の1つに
関山さんは幼いころからどんなことでも褒められたことを受け入れ、人見知りなく誰とでもフラットに親しくなれたそうです。関山さんが人と接する時に心がけていることは、あえて敬語を使わず、相手の出方を感じて距離をはかるのだとか。あるがままの自分を見せるので、苦手な人は寄ってこないそうです。
他人から「そんなこと、よくやるね」といわれるようなことでも、自分的には、いいかな、と思えるのも、何があっても笑いに変えられ、“エピソード”として捉えられる関山さんの心のしなやかさ、レジリエンスの高さを感じました。自分が納得して失敗しても(うまくいかなくても)それを受け入れ、「よっしゃー!ネタが1つできた」と思えたら、何か一歩踏み出すのもハードルが下がりますよね。
これって関西人特有の気質かもしれませんが…(知らんけど!(笑))

来年の今日ここにいることが当たり前ではない。
おじいちゃん、おばあちゃんと接し、「若いっていいな」「健康なことっていいな」と言ってもらえたことで、だからこそ出来ることをしよう!1日寝ようと思ってダラダラすることが多かったけど、その回数が減り、予定をたくさん入れるようになったそうです。おばあちゃんと触れ合うようになって「ちゃんとやらないとあかん!」と思う気持ちが強くなったそうです。
おばあちゃんと仲良くなって、大好きになっていく中で、自分の若さ、例えば、好きなところに旅行に腰が痛いと気にせず行けること、そういうことを軽んじていたけれど、やっぱりそうじゃない、今を大事にしよう!と思えたのはありがたい変化だったとのこと。関山さんがおじいちゃんおばあちゃんから一番影響を受けた行動力のスイッチの1つでもありますね。

「ばあちゃん食堂」で“婆ケーション”
4月から社会人として「ネスレ」に就職し、健康分野のヘルスサイエンスで介護食の営業に就くそうです。一方で、岡山で「ばあちゃん食堂」を起ち上げる話があり、こちらで募集しているインターンにも応募を申し込んだのだとか。社会人との両立は難しいかもしれませんが、思い立ったら行動に移す関山さんらしい瞬発力だと感じました。勤務先が北海道になる可能性があり、現地で関山さん自身で「ばあちゃん食堂」を会社とは関係なく、個人で起ち上げる計画もあり、そのための岡山修行なんだそうでう。ますます、関山さんのパッションと行動力から目が離せませんね。私も、将来、高齢者になっても働き口がある!と希望が持てました(^^♪
今後、何か動きがありましたら、皆さんにご報告していきますね♪

最後に・・・。
参加者の方々からはおじいちゃん、おばあちゃんに関する質問をたくさんいただきました。本当に、ありがとうございました!質問の一部を関山さんの回答とともにご紹介させていただきますね。

【質問】おじいちゃんおばあちゃんとの接点が全然ないのですが、社会人のおすすめの関わり方はありますか?
関山さん:個人的なものでいくと、純喫茶などにヒマそうなおじいちゃんやおばあちゃんがいるので、隣の席に座って(おじいちゃんやおばあちゃんを)チラチラ見てたりしたら、向こうも見てきて話が始まる・・・場合もあるし、あとは、銭湯もそういう流れが多いです。おじいちゃんやおばあちゃんがいるところの隣に座ると、おじいちゃんやおばあちゃんもしゃべる機会を欲してる人が多いので、しゃべりかけやすそうな雰囲気を作って、こっちもしゃべりたいですよ、という雰囲気を作り、「こんにちは」と話しかけるとだいたい話が始まります。

【質問】おじいちゃん、おばあちゃんたちの笑いは若い人達の笑いと違いはありますか?
関山さん:研究する前はじいちゃんばあちゃんたちの笑いと若い人達の笑いは違うと思ってい、勝手な推測をしてましたが、介護職員の方にインタビューする中でそこは違うことがわかりました。人対人のやり取りでその人の嬉しさとか楽しさをどう引き出せるかが大事だと、介護職員の方がおっしゃってました。自分もそこに対して知らず知らずのうちにバイアスをかけていたことに気づきました。なので、違いはないかな、と。

【質問】おばあさんとおじいさんの行動の取り方に違いはありますか?おばあさんの方が行動的とか…?
関山さん:コミュニケーション的なところで言うと、おばあちゃんの方が積極的で、おじいちゃんはプライドが邪魔をするというか、あまり新しいことをしていかない人が今の世代の方だと多い気がします。笑いの中でも結構男女差があると言われてて、どの世代もそうなんですけど、女性の方が笑うし、男性の方が笑いが少ないです。
シニア向けのコミュニケーションアプリの会社でインターンシップをしてましたが、男性の方が自分から人に対してメッセージを送らないです。向こうから来るのを待っています。女性の方が行動派が多いと思います。

【質問】高齢者の社会参加のために私たちにできることはありますか?
関山さん:深い質問。私もそうですけど、高齢者をすごく弱い者、弱者として捉えてしまうことが多いのですが、コロナで高齢者は重症化しやすいという話でもそうです。でも、高齢者だからこそ伝えれることとか、知識と経験とか強みもある。だから、弱者として捉えすぎない考えを広めてほしい。
【質問】バイアスを無くすイメージでしょうか?※上記の質問からの続き
関山さん:そうです。高齢者に対する差別を「エイジズム」というんです。性差別、人種差別の3つ目になる。3大差別。完全になくすのは難しいけど、意識するだけでも変わってくると思います。

【質問】逆に高齢者が社会参加するために頑張らないといけないことはありますか?
関山さん:勝手なことを言ってしまいますが、ある程度プライドを捨てた方が楽になれるというのは、高齢者と接して感じました。年上で経験も知識もあるから、自分の譲れないものもその分多くなっていると思いますが、一緒に働くという意味ではどっちもが歩み寄ることも大事だと思います。自分のやり方というか、「こうだ!」となってしまってることも多いと思います。
高齢者たちが自信が無くなっていくから、周りの人もなかなか任せられないのだと思います。ネガティブな発言ばかりして「ボケてしまって、あかんわ」と言われる方もいますが、そういう言葉を聞くから周りも任せづらくなるのではないかと思います。それが負のスパイラルになるので。だから言葉だけでもポジティブにするのがいいと思います。

関山さん自身への質問です!
【質問】失敗をどのように笑いに変えているのでしょうか?
関山さん:失敗を笑いに変える…。例えばめちゃめちゃ怒られてる時から、反省はもちろんするけど、「あ、これ、あの友達に話そう。絶対、笑ってくれるな」と考えてます。今回の研究でのいかに笑いを引き出すかというところでも、悩みや失敗を人に共有すると笑いも増えるという結果も出たので、人にしんどいことをどれだけ共有できるかは、大事だと思います。無理に笑いに変えなくても話す中で笑顔が生まれることもあります。

【質問】感覚的に動いて一番の失敗は何ですか?
関山さん:あんまりないかも。電車の旅で計画的に動かず、乗り過ごしてしまう…とか(笑)

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