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すごいぞ「水飲み鳥」

「水飲み鳥」というおもちゃをご存じでしょうか?

体を前後に揺らしながら、時々くちばしを水の中につけて、さも水を飲んでいるかのようにコミカルな姿で動くおもちゃです。一度動き始めると、電池などの電源がなくとも長い間動き続けている不思議なおもちゃです。おもちゃというよりインテリアと呼んだ方が良いかも知れません。

私の実家にもありました。「水飲み鳥」がうちに来たばっかりの頃は、私はずっとその動きを眺めていました。

鳥の頭とおしりはガラス球となっていて、それがガラス管でつながれていて胴体となっていました。下部のガラス球の中には色のついた液体が入っていました。

下部のガラス球の中の色のついた液体は、見ているとガラス管をだんだん上昇していくので、当時は、アルコール温度計みたいなものなのかな?と思っていました。時々くちばしを前に置いたコップの水に付けていて、水が無くなると動きが止まってしまったので、鳥の動きには水が関係あるとは思っていましたが、その仕組みはよくわかりませんでした。

今は手元にこの「水飲み鳥」はありませんが、ウィキペディアの説明によると、動作の仕組みにはいろいろな物理現象を利用していることが分かります。一サイクルの動きには以下のようなメカニズムが働いているそうです。

頭部から水が蒸発する(マクスウェル分布)
蒸発により頭部の温度が下がる(蒸発熱)
温度の低下により頭部のジクロロメタン蒸気が凝集する
温度の低下と凝集により頭部の気圧が下がる(理想気体の状態方程式)
頭部と胴体の気圧差により管内の液面が上昇する
液体が頭部に流れ込むことで重心が上がり、前方へ傾く
傾くことで管の下端が液面より上に出る
蒸気の気泡が管を通って上昇し、液体は下降する
液体が胴体に流れ、頭部と胴体の気圧が平衡する
液体が胴体へ戻ったことで重心が下がり、鳥は元の直立状態に戻る

ウィキペディア「水飲み鳥」より

ウィキペディアにはその動きの様子を示した動画も載せられています。

ちなみに内部の液体は初期の頃は可燃性のエーテルなどで、その後難燃性のジクロロメタンなどが使われるようになったそうです。原理的なアイディアはあったとしても、この動きを実現するためには、重さのバランスや、液体の量、ガラス管の長さなど、様々な細かい調節が必要だったに違いありません。

最初にこれを考え、最初にこれを実際に作った人はすごいなと思います。

そういえば、低い温度で気化する液体を利用するものとして、地熱発電のなかでも、バイナリー発電というものがあります。

地熱流体の温度が150℃程度以下の中低温の場合、分離した蒸気で直接タービンを回すことが難しいため、水より沸点の低い媒体を利用して、この媒体の蒸気でタービンを回す発電方法です。媒体は地熱流体から熱をもらって蒸気となり、タービンを回して、温度が下がると液体に戻り、システム内を循環しています。

https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/mechanism/type2.html

熱エネルギーを効率よく運動エネルギーに変える方法として、ちょっと「水飲み鳥」に似ているところがあるななどと思ったりしています。

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