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送配電網の所有権分離

電力事業の自由化、特に再生可能エネルギーの地産地消を推進するためには送配電網を公平に、健全に新規参入電力会社にも使えるようにすることが重要です。

発電、電力の小売りについては自由化を進めたものの、電気を家庭や会社に届ける送配電網が今までの電気事業者に握られたままでは、健全な競争が阻害されてしまう可能性があります。

とくに大規模火力や原子力など今までの電力事業者が抱える環境負荷の大きい発電方法が、不平等な送配電網の利用により、不当に延命される可能性があります。

送配電網の分離は以前より検討されてきており、下記資源エネルギー庁のページにあるように、「会計分離」、「法的分離」、「所有権分離」、「系統運用機能の分離」などのような分離案が検討されてきています。

しかし、結局、いまのところ送電部門を別会社(自社グループ内の別会社)にする「法的分離」が採用されています。

資源エネルギー庁記事 2017-11-30
「2020年、送配電部門の分社化で電気がさらに変わる」

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/denryokugaskaikaku/souhaidenbunshaka.html

この「法的分離」のシステムの下で、2022年末には送配電事業者が、自社グループ内の電力会社に新電力の顧客情報を不正に閲覧させていた問題が明らかになりました。

中立・公平であるべき送配電事業者が不正にかかわっていたことは、この「法的分離」のシステムが送配電事業の中立化にとっては不十分であるということを示していると思います。

送配電網は公共財と考え、発電事業者とは完全分離、所有権分離を早急に行っていく必要があると思います。特に再生可能エネルギーによる地産地消を目指す発電会社が、送配電網利用で不利にならないようにしていくことが、再生可能エネルギーによる発電の比率を高めるために重要な要素の一つと考えられます。

財産権、既得権の観点から抵抗する旧電力会社が主張するような、たとえば安定供給への懸念は、むしろ地域ごとの枠組みが薄れ電力供給にフレキシビリティーが生まれ、送配電網への投資も進み、安定供給への技術革新が期待できるのではないでしょうか?

政府の有識者会議は、中立性・公平性を確保するために大手傘下の送配電網を完全に独立させる「所有権分離」を迫る提言をしたとのことですが、ぜひ推し進めてほしいと思います。


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