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ツワネ原則

2013年10月に第2次安倍内閣で閣議決定され、その年の12月の国会で成立した秘密保護法 (特定秘密の保護に関する法律) は成立から昨年の12月で10年が経ちました。

昨年12月には成立からの10年間で起こったことや懸念が東京新聞に掲載されていました。また、昨年12月当時の松野官房長官の秘密保護法10年の評価コメントが日本経済新聞に掲載されていました。

[東京新聞 2023年12月6日 06時00分]

[日本経済新聞 2023年12月6日 13:20]

松野氏はコメントの中で、「日本の情報保全制度の信頼性が高まり、米国をはじめとする関係国との情報共有が一層円滑になった」と述べています。

アメリカが日本の安全保障上信頼に足る国なのか、そもそもアメリカが世界の平和にどれだけ貢献し、どれだけ火種になってきたのか、その評価も国民に明確に示さないまま、アメリカなど特定の関係国との情報共有が一層円滑になったことを真っ先に評価するあたりが、「国民のため」なのか「アメリカのため」なのか、この法律の性格に対して私は疑問を感じてしまいます。

国家機密という名のもとに、自国民に対してさえも秘密を多く抱えようとする国家が、本当に自国民の安全や、世界や地域の平和を実現している国家になっているのかどうか、私たちは真剣に考える必要があると思います。

国民に真実を知らせず、あるいは情報統制を行いながら、覇権主義、他国への武力攻撃・恫喝、そして人権侵害行っている国々の実態は、国民に対するできる限りの情報開示の大切さを示しているような気がします。

秘密保護法が議論になったときに、「国家の安全保障と情報開示に関しては『ツワネ原則』に沿った見直しをするべきだ」との意見が出されていました。

[ウィキペディア日本語版 「ツワネ原則」]

ツワネ原則は正式名称を「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」といい、国家安全保障のための合理的な措置と,市民による政府情報へのアクセス権の保障を両立するための指針です。

70か国以上、500人を超える民間の専門家らとの会議を経て、2013年6月に南アフリカのツワネで発表されたため、「ツワネ原則」と呼ばれています。

この原則の背景および根拠として、「市民が政府の情報に十分アクセスでき、国の政策決定に一定の役割を果たすことこそが真の国家安全保障、民主的参加及び健全な政策形成につながる。国家安全保障上の利益保護のために情報を秘匿することを認めるとしても、あくまでもそれは人権擁護のためである」と述べています。

日本弁護士連合会による「ツワネ原則」の日本語訳

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/statement/data/2013/tshwane.pdf

ツワネ原則に対して安倍首相は第185回国会 国家安全保障に関する特別委員会の中で、ツワネ原則は民間団体が作ったものに過ぎないと一蹴していますが、このような人権、民主主義、安全保障にとって大事な議論、世界の潮流を軽視したままこの法案を成立させてしまうところが、安倍政権から現在に続く自民党政権の非常に危ういところだと感じます。

[衆議院 第185回国会 国家安全保障に関する特別委員会 第19号(平成25年11月26日(火曜日))]

私たちは、「自分たちは民主主義の中で生きている」と漠然と暮らしていたら、いつのまにか世界の民主主義の常識はもっと先に進んでいて、私たちは民主主義の後進国として取り残されてしまうことになるのではないかと危惧しています。

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