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週末の午後に電車で見たドミノ倒し

「ドミノ倒し」というと私はなんだか「ピタゴラスイッチ」を思い浮かべてしまいます。隣に次々と現象や効果が波及していくような様子を、並べたドミノの牌が次々に倒れていくドミノ倒しの姿になぞらえて「ドミノ現象」などと呼ぶことがあります。どこかからか始まった経済危機などが近隣諸国に次々と波及して広がっていく様子などに対して使うこともあるので、私にとっては何となくネガティブな印象を感じる言葉でもあります。

一方日本では「将棋倒し」という言葉があります。ドミノ倒しと同じように並べられた将棋の駒が次々に倒れていく現象や遊びなどに対して使います。雑踏で人が次々と隣の人を押し倒すような転倒事故に対して使うこともあるので、これもちょっとネガティブな印象を感じることがあります。

しかし今日、電車の中で見かけた「ドミノ倒し」は破綻でも事故でもないなんだかほほえましいものでした。

今日は久しぶりに休日の午後の明るい時間に電車に乗りました。私の向かいにはどこか遊園地にでも遊びに行ったのか、お母さんと、お姉さん、弟君というような3人の親子がお土産袋を抱えて楽しそうに話をしていました。

弟君はドアに近いいちばん端っこ、お姉さんはその隣、お母さんは長椅子の真ん中あたりに並んで座っていました。

それだけでもほほえましい姿でしたが、私がタブレットで読書をしているほんの少しの間に3人は疲れたのかぐっすり眠ってしまったようです。

弟君はお姉さんにもたれかかり、お姉さんは弟君の手をぎゅっと握りしめながらお母さんに体を預けて眠っています。お母さんはというと、子供たちのドミノ倒しをひっしに受け止め、隣の女性に寄りかからないように無意識に抵抗を試みながら体を揺らしてやっぱりぐっすりと眠っています。

眠気に負けるとちょっと隣の女性の方に体が傾き、また体勢を立て直すを繰り返しながら、まるで弟君から連鎖するドミノ倒しを見ているようでした。

お母さんをときどき受け止めていた女性は、この親子より先に降りなければならなくなったらしく、むちゃくちゃ心配そうにお母さんの肩が離れたすきにそっと席を立って、それでもいざとなったらお母さんを支えてあげようとするかのようにしばらくそこにたたずんで、電車が止まりドアが開くと降りていきました。

何も知らずに乗り込んできた人が空いた席に座ると、お母さんは気配で目を覚まし、子供たちがぐっすり寝ているのをみて、また少したつとうつらうつらとドミノ倒しが始まり、新しく座った女性も驚いたような顔をしながら、それ以上のドミノ倒しを食い止めていました。

なんだか休日の午後だなーと感じる光景でした。

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