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既存施設の危険も回避の負担も沖縄に

沖縄県名護市辺野古の米軍基地建設に関して、政府は先月8月20日から軟弱地盤が広がる大浦湾側の工事を本格的に開始しました。

NHKのホームページでは沖縄放送局が「辺野古大浦湾側の工事を記録する」として工事の進捗について掲載しています。

8月27日にNHKのヘリコプターから撮影された映像では、海底に打ち込まれたとみられる8本のくいが確認できるとのことです。

軟弱地盤の改良工事に関して防衛省は「普天間飛行場代替施設について」の Q&A「Q5: 地盤改良工事の追加に伴い、工期や経費はどのように変わりますか?」の回答の中でつぎのように述べています。

令和元(2019)年12月、有識者による「普天間飛行場代替施設建設事業に係る技術検討会」 (※)等の検討結果を踏まえ、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに9年3か月、提供手続完了までに約12年を要し、また、経費の概略として、約9,300億円が必要であることをお示ししたところです。
* 護岸や埋立地等の設計・施工・維持管理を合理的なものとするため、外部の有識者より技術的・専門的見地から客観的に提言・助言を行うことを目的として開催

この軟弱地盤地域では防衛省の図面でも谷埋堆積物の軟弱地盤が水面下90m付近まで分布していることが示されており、現在の地盤改良技術では70mの深度までが限界とされているそうなので、仮に70mまでの地盤改良を施したとしてもどの程度の効果があるのか現時点では不確実です。

[沖縄県 辺野古新基地建設問題 Q&A]

さらに辺野古の技術検討委員会に関しては以下のような報道もありました。

辺野古の技術検討会は、土木工学の専門家ら8人の委員で構成。設計変更に関して専門的見地から技術的な助言を得るため、防衛局が委員を選んで2019年9月に設置した。8人のうち半数が、旧運輸省OBの大学教授ら政府系出身者で、当初から審議の中立性や客観性に疑問の声が出ていた。

[東京新聞 Tokyo Web 2023年11月12日 06時00分]

軟弱地盤の改良工事を含めて、純粋に技術的な側面から考えても、防衛省の見込み通りのスケジュールで安全に工事が完了できるのか非常に不確実性が高いと言わざるを得ません。

上記防衛省のQ&Aでは、現在沖縄県宜野湾市に所在する普天間飛行場について

市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、これを利用する航空機が市街地上空を飛行するため、世界で最も危険な飛行場と言われています。
過去の事件や普天間飛行場内での航空機墜落事故などを契機に、沖縄県からの要請を受けて、平成8(1996)年4月に橋本総理(当時)とモンデール米駐日大使(当時)が会談し、普天間飛行場の県内移設と全面返還に日米で合意しました。この日米合意後も、飛行場近傍の大学へのヘリコプター墜落、小学校への部品落下などの事故も発生しており、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去(=全面返還)を実現しなければなりません。

と、その危険性を認めています。

一方で、辺野古で建設中の施設は「代替施設」と位置付けられており、この危険な普天間飛行場の全面返還のためには辺野古の完成が条件になっており、既存基地周辺の安全確保の責任も工事の完了も不透明な移設の負担も沖縄が大きく背負う構造となっています。沖縄県内から懸念や反対の声が出てくることは当然だと考えられます。

私たちはこれらの声に真摯に向き合う必要があると思います

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