ギリシャ、イドラ島でみつけた蛍のなかま
1997年、UAEに本格赴任してまだ間もないころ、石油開発の掘削現場勤務が続き、代休がたまってしまったため、急きょ2週間近くの休暇を取ることになりました。
休暇に入るまで一週間も時間がないので、あわてて旅行のアレンジを始めました。
妻と相談して、とりあえず、
「ギリシャ観光をしよう。」
「エーゲ海クルーズをしよう。」
「エーゲ海に浮かぶ島に数日間滞在してのんびりしよう。」
そんな夢を急に実現しようということになり、UAEからギリシャまでの往復の航空券とエーゲ海クルーズの予約が今から可能か旅行会社に聞いてみることにしました。
飛行機はなんとかOK。問題はエーゲ海クルーズです。島をいくつか巡りながら5日間ほどでエーゲ海をまわるツアーは、「予約がいっぱいで無理かも」との話でした。しかし、その後、予約希望者が多かったらしく、パンフレットの船よりは少し小さくなるが、もう一隻船が出ることになったとのことで、無事予約できることになりました。
アテネの宿とエーゲ海の島に滞在するための宿は、電話とFAXで自力で予約を取りました。当時は今のようにネットで予約ができる予約サイトなどはまだまだ普及していなくて、電話とFAX、よくてEmailで直接宿に予約するのが当たり前でした。こちらもなんとか予約が取れて、ばたばたとギリシャに出発したのです。
エーゲ海の初めての船旅は、洋上掘削リグの生活とは違って、優雅で楽しいものでした。毎晩船でのディナー、島に降りては島の散策とショッピング、ときにはガイド付きのショートツアーに参加して島の観光地巡りなど、ちょっと高いですが、ホテルも食事も交通費も含まれていると思えばむしろ安いぐらいだったかもしれません。
非日常の時間を楽しみました。立ち寄った島々はそれぞれ特徴があり、思い出深いものでした。
さて、クルーズも終わって、こんどは一つの島にじっくり滞在することにしました。選んだ島は、エーゲ海東南部のペロポネソス半島東岸に位置するイドラ島。
アテネとは定期高速船で結ばれていて比較的簡単に行けますが、島は自動車乗り入れ禁止となっていて、観光客は徒歩かロバか船で島内をまわるしかありません。
アテネから島に渡り、予約していた宿を訪れると、予約が無いと言われました。日本人でUAEから予約したはずだというと、どうも1ヶ月間違えて予約されていたようです。それでもなんとか泊めてもらうことが出来ました。
イドラ島での移動は、主にゆっくりとポンポンエンジンの音を響かせながら走る船で、あちこちのビーチなどに連れて行ってもらっては、数時間後にお迎えに来てもらうような形で、静かで美しいビーチをいくつか堪能しました。私たちはこののんびり走る船のことをひそかに「ポンポコ船」と呼んでいました。ポンポコ船はイドラ島で大活躍していました。
そんなイドラ島で、海岸から宿に登っていく階段で、薄暗くなった夕方、おしりを光らせながら歩き回る羽のない蛍を見つけました。それが下の写真です。
私はそれまで日本でもほとんどホタルを見たことが無かったので、おしりを光らせて歩く虫にびっくりしてしまい、思わず写真を撮ったのですが、なんだかピンボケですね。大きさは結構大きくて体長2~2.5cmぐらいはあったのではないかと思います。
今では、もしかするとヨーロッパツチホタルの一種だったのかなと思っています。メスは羽が無くオスの2倍くらいの大きさになるそうです。