
めまい
なんとなく「めまい」と聞くと、私は花の美しさや濃厚で甘美な香りに心地よくうっとりした気持ちにさせられる「めまい」をイメージしていました。春の暖かくやわらかな日差しを受けた満開の桜並木の下でクラクラっとするようなあんなイメージです。
しかし、今朝は体調に問題のあるけっこう強烈な「めまい」に襲われてしまいました。
朝のルーチンである体重測定のために高機能の体重計に乗って、しばらく体重以外のデータを機械が認識している間の数十秒で、急に視界がぐるぐるし始めました。
体重計がデータを認識するまで頑張って立っていたのですが、終了の「ピピッ」という音が聞こえた途端耐えきれずしゃがみ込んでしまいました。それと同時に左手にしびれを感じました。目を開けても視界が回転しているような、焦点が定まらず一つのものを凝視できないような感覚です。
とっさに脳の病気を思い浮かべ、言葉を発することができるか、自分の名前と九九を声を出して発してみるとそこは問題なさそうでした。
その後すぐ妻が洗面所にうずくまっている私を見つけてくれて、立てそうもない私が近くの和室で横になれるように準備してくれて、なんとかはって和室まで行き横になることが出来ました。
横になって改めて視界をチェックすると、目をつむっているとそれほどひどくはありませんが、瞬きするたびに視界がぐるぐるする感覚に襲われます。そしてなによりも焦点が一つに定まらず物がぶれて見える、あるいは二重に見えてしまうのが最大の問題点でした。このせいで目をあけていられない状態でした。
試しに片目ずつで見てみると視界はぐるぐるするものの焦点は定まり物ははっきり見えることがわかりました。両目が同時に一つのものに焦点を合わせられないような状況のようでした。
まったく立ち上がれるような状況ではなかったため、妻に、すぐ病院に行った方が良いのか、救急車が必要なのか、休日見てもらえる近くの病院はあるのかなど聞けるという「救急安心センター事業 (#7119)」に電話してもらいました。
自動音声案内に従って番号を選択するとすぐに看護師さんが対応してくれました。落ち着いた声で状況を確認してくれて、私自身の声やしゃべり方の状態、手や足の動きの状態の確認をしてくれて、耳鼻咽喉科か内科を受診するようにということで休日でもやっている近くの医院をいくつか紹介していただきました。本当に丁寧に対応していただき助かりました。
紹介していただいた内科の一つに電話して予約制ではないということで妻が先に一度受付を済ませてくれて、その1時間後くらいにタクシーで医院に行き受診することが出来ました。
妻が医院で受付を済ませてくれている間に、わたしは目をつぶってうつらうつらしていました。目をとじるとなぜかエクセルシートのセルがまぶたに思い浮かんでいました。そしてしばらくするとピントが定まらなかったエクセルシートのセルがなぜか急にはっきり見えるようになったので、目を開けてみると、劇的に視野が改善していて、両目で見ても焦点が定まり物が一つに見えるようになっていました。
おかげでなんとか立ち上がることが出来て、呼んでもらったタクシーで内科に行くことが出来ました。
内科でもいくつかのテストをうけ、脳の異常ではなくどうやら内耳など耳周辺の問題らしいということになり、いくつかの薬を処方していただきました。めまいでしゃがみ込んだときの左手のしびれは、動揺により一時的に過呼吸 (過換気症候群) となり、血液中の炭酸ガス濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾くことで血管の収縮が起き手足のしびれが起きることがあると説明していただきました。めまいでしゃがみ込んだときのほんの少しの時間のしびれだったので、なるほどと思いました。
帯状疱疹の時もそうでしたが、医師や看護師の丁寧で合理的な説明は、動揺している私の心を落ち着かせてくれて、検査や治療の意味も理解できて本当に助かります。改めてコンサルテーションのコミュニケーション能力の重要性について考えさせられました。
妻をはじめ動揺する私に対して落ち着いて対応していただいた皆さんに本当に感謝しています。