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地下の石油を探す
地下深いところにある石油をどのようにみつけるのか?最終的には井戸を掘って実際に石油を地表まで持ってこないことには確かなことはわかりません。しかし、この井戸を掘るためには膨大なお金が必要です。
そこで井戸を掘るまでにいろいろなデータを集めて、そこに井戸を掘って石油が見つかる確率がどの程度あるのか評価します。石油が見つかって、生産して、お金が得られなければ、それまでの調査や井戸のお金も回収できないわけですから、石油開発は一発当てて大儲けしようというには大変なリスクがあるわけです。
油田ができるためにはいくつかの条件があります。石油のもととなる有機物をたくさん含んだ根源岩が近くにあること。石油が貯まる隙間の多い岩石 (貯留岩)があること。そして貯留岩を覆うように緻密な岩石 (帽岩)が存在すること。
通常、岩石の隙間には水が入っていますが、根源岩から生成した石油がその隙間の多い岩石の中に入ってくると、石油は水よりも比重が軽いので、水を押し分けて隙間のある岩石の中を上方に向かって移動していきます。そこに石油の上昇を遮るような緻密な岩石(帽岩)があるとそこに引っかかって貯まるわけです。
ただし、帽岩があっても、石油の抜け道があれば石油はそこを通ってさらに上方へ逃げて行ってしまいます。なので、帽岩がお椀をうつぶせにしたような形になっていることが必要です。
お水の中にお椀をさかさまにして沈めて、お椀の中に空気をためるイメージでしょうか?お椀にたまった空気が石油というわけです。
ほかにもいろいろと条件があります。石油ができた時期とお椀型の地質構造が出来上がった時期も重要です。今はお椀型の地質構造があっても、石油ができてそのあたりを上昇していくときに、まだお椀型の地質構造ができあがっていなければ石油はどこかへ逃げて行ってしまいます。
地質学は上に示したような、根源岩、貯留岩、帽岩などができる条件があったのかどうか、石油が生成したとしたらそれはいつごろか、石油をためるようなお椀を逆さにしたような地質構造はいつできたのかなど、いろいろな情報をもとに推定します。
地表に出ている地層の情報や、近くの油田の情報、地表に油が染み出していないかなど、いろいろ調べます。
昔からそんな地質学の基本を駆使して石油があるかどうかを推定してきましたが、お椀を逆さにしたような構造が地下にあるのかどうか、井戸を掘らなくても推定できる画期的な方法が開発されました。それが地震探査です。地震探査は人工的に起こした地震波を使って、硬さの違う地層の境界から跳ね返ってくる地震波を記録して、その地層の境界面の地下での形を可視化する技術です。もし貯留岩と帽岩の境界の形がお椀を逆さにしたような形をしていれば、そこに油が貯まっている可能性があるわけです。
やみくもに井戸を掘るよりはるかに成功率が上がりますね。私は地震探査技術の発達は、石油探鉱にとって一つの特記すべき技術進歩だと思っています。コンピュータの発達もこの技術の発展に大きく貢献しています。いろいろな技術のインテグレーションが重要なわけですね。