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最近のアラブ首長国連邦 (UAE) に関するニュースについて

私が長く赴任滞在していたアラブ首長国連邦 (UAE) について、最近のニュースでたびたび耳にします。

国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がUAEのドバイで2023年11月30日から12月12日までの予定で開催されています。議長を務める UAE のジャベル産業・先端技術相は、アブダビの国営石油会社 (ADNOC) の最高経営責任者(CEO)も兼務しています。

化石燃料の燃焼は二酸化炭素の大きな排出源とされていますが、その化石燃料を開発生産する国営石油会社のトップであるジャベル氏が、COP28 の議長を務めるということが驚きです。

産油国の UAE は建国以来、石油・ガスを主たる収入源として成長を遂げてきました。しかし、近年 UAE は脱・石油依存による産業多角化や、脱炭素、クリーンエネルギーへの転換に取り組んでいることも事実です。

UAEの中では、UAEが COP28の開催国を務め、国営石油会社のトップであるジャベル氏が COP28 の議長を務めることに関して、気候変動対応の流れと何ら矛盾するものではないと考えているのだと思います。

化石燃料は無限ではなく、また、気候変動対策、脱炭素の強い流れの中で、化石燃料の延命を図りつつ折り合いの道を探ろうとしているのか、いずれ来るであろう化石燃料との決別の道筋を見据えているのか、産油国 UAE の本音が気になるところです。

それにしても日本にもましてアグレッシブにも見える UAE の気候変動対応政策には驚かされます。


ロシアのプーチン大統領が2023年12月6日、UAEを訪問したとのニュースも流れてきました。

UAE はロシアのウクライナ侵攻に対しては欧米諸国とは一線を画する立場をとっています。

私は必ずしも常に米、英、欧州連合 (EU) と足並みをそろえる必要があるとは思いませんが、どのような国に対してもダメなことはダメと言える主体性と倫理観を維持して欲しいと思っています。

UAEがロシアと歴史的に特別な関係があるのだとしたらなおさら、UAEには独自の立場でロシアの暴走を止める努力をしてほしいと思いますし、いずれの国の民間人も犠牲になるような支援はしないで欲しいと願っています。そしてその根底には人権、人道的立場を最優先に考えてほしいと願っています。


2023年3月に発表されたサウジアラビアとイランの国交再開をUAEは歓迎し、2022年8月の6年ぶりのUAEの駐イラン大使のテヘラン復帰に続いて、2023年4月にはイランが駐UAE大使を7年ぶりに復帰させています。

これらはそれまでのイランとのピリピリした情勢から考えると、地域の安定化に貢献していると感じていました。

一方、UAEは2020年8月、イスラエルとの国交も樹立しています。それまでの、湾岸地域のアラブ諸国とイスラエルとの関係を考えると、私にとっては衝撃的なニュースでした。

パレスチナ解放機構の暫定自治を認める「オスロ合意」がとん挫したような状態の中で、独自の立場でイスラエルの懐柔をはかり、パレスチナ問題の前進や地域の安定化に貢献するのかと淡い期待もしましたが、イスラエルとパレスチナの関係はむしろ激しく悪化しているように見えます。

国連のグテーレス事務総長の要請を受け、UAEが人道目的の即時停戦を求める決議案を策定し国連安保理に提出しました。この決議案に対しては理事国15か国のうち日本も含む13か国が賛成しましたが、イギリスは棄権、アメリカが拒否権を行使し決議案は否決されました。

UAEの国連代理大使は「ガザへの容赦ない砲撃を止めるという呼びかけの下で団結できないのなら、われわれがパレスチナ人に送るメッセージは何なのか」と問いかけたと言います。

UAEには人道的立場にたって、諦めず努力を継続して欲しいと切に願います。

それにしてもアメリカは今回の拒否権行使について、イスラエルの自衛権に関する文言が無いことを理由に挙げているとのことですが、少なくとも97か国がこの人道的危機に対して停戦を求める決議案の共同提案国として名を連ねる中で、本当に拒否権を行使する理由となるのかどうか、アメリカの国際社会の中での人権、人道に対する信頼性に大きな疑問を投げかけるものだと感じずにはいられません。

日本政府が今回、アメリカに追随せずに決議案の賛成にまわったことに私はほっとしています。

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