三鷹駅南口でまったり過ごした休日の思い出
社会人になってしばらく東京都三鷹市に住んでいました。
入社して間もなく、まだ仕事も忙しくない頃、そして東京にもまだ慣れていない頃、休日の昼間に三鷹駅前をぶらぶらするのが好きでした。南口駅前には、「第九書房」という、ちょっと古びた、当時の時点ですでに懐かしい感じのする、良い感じの本屋さんがありました。
理系の私ですが、その本屋では社会科学系の雑誌などを買って、2階にある「第九茶房」という、これまた良い感じの喫茶店で、ぺらぺらとページをめくりながらコーヒーを飲むのが楽しみでした。
休日の午前中をゆったりと過ごす「大人っぽい」心地よさを感じていたのかもしれません。
三鷹駅南口、中央通りには名画座「三鷹オスカー」というこじんまりした古い映画館がありました。
名作映画や、ちょっと癖のある洋画の特集などがあって、3本立てを1000円程度で見ることができました。ロシア映画名作3本立てとか、オカルト映画豪華3本立てとか、ある監督の特集とか、なかなか味のある編成で興行していました。
映画を3本みれば、簡単に休日の午後はつぶせます。ある時、普段はほとんど見ることはない (怖いのがきらい) オカルト映画3本立てを、なぜか暇にまかせて見てみることにしました。
入ってしばらくは、暗い中観客も少なく、ちょっと後悔しました。しかし、私の少し前で一人で見ている女性のお客さんが、突然の怖い場面で飛び跳ねたり、のけぞったり、そのたびにポップコーンを飛び散らせているのに気がつき、そちらが気になって、おかげで映画の怖さが少し和らぎ、助かりました。懐かしい思い出です。
そんな三鷹オスカーも1990年12月で閉館したそうです。そのころは私も仕事が忙しくなり、休日の余裕もなくなり、三鷹オスカーの最後を見届けることはできませんでした。
たまたま、三鷹オスカーの番組編成を担当されていた鶴田浩司さんという方のエッセイを見つけました。いろいろと苦労されながら番組を編成されていたことがわかり、大変興味深かったです。映画もエッセイも楽しませていただきました。ありがとうございます。
三鷹駅南口には、大変お世話になった日本各地の名酒が飲める居酒屋さんがありました。仕事が忙しくなってからは、たまに早く帰れる時の、平日の夜の三鷹駅が私の楽しみとなりました。お店のマスターには、本当に良くしていただき、おいしいお酒を教えていただきました。
三鷹駅前の再開発後は、わたしも引っ越してしまい、ほとんど行く機会がなくなってしまいましたが、三鷹は社会人になりたての私を暖かく見守ってくれた暖かい街という感じがします。