世界一短いエスカレーターが川崎にある! なんでこんなに短いの?【3/8はエスカレーターの日】+おまけ(長いほうも)
本日3月8日は、エスカレーターの日とされています。
1914(大正3)年の今日、東京・上野の大正博覧会の会場に、日本初のエスカレーターが設置されて試験運転が行われたことにちなんでいます。(大正博覧会のエスカレーター▼)
現代的な乗り物であるエスカレーターが大正の時期からあったなんて驚きですね。
世界一短いプチカレーター
ところで、世界で一番短いエスカレーターが、なんとここ日本にあることをご存じでしょうか?
そのエスカレーターが設置されている場所は、神奈川県の川崎です。
JR川崎駅地下街「アゼリア」から、ファッションストア「川崎モアーズ」へ入る場所に設置されています。
「プチカレーター」という愛称がつけられたこのエスカレーターは、なんとわずか5段しかありません。高低差も83・4cmしかなく、乗っても5秒後には降りることになってしまいます。
この世界一短い「プチカレーター」、世界一短いエスカレーターとしてギネス1991年度版で認定されているそうです。
当初は普通のエスカレーターのはずだった…
世界に認められたこのエスカレーターですが、そもそもなぜ5段しかないようなものをつくったのでしょうか?
一瞬バリアフリーのためかなとも思ったのですが、プチカレーターの下には階段があります。そしてその階段にはエスカレーターはなく、プチカレーターで下った人も階段を下らなくてはいけない設計になっていることを考えると、どうもバリアフリー的な効果は期待されていないようです。
では、本当のところはどんな理由でつくられたのでしょうか?
じつは、1989年に設置された当初は、こんなに短くなるはずではなかったらしいです。
地下街をつくる際に、アゼリアからモアーズをつなぐ地下通路の出口が、モアーズの地下1階と地下2階の間に設置される設計になりました。
フロアの間で、利用者はその段差を上り下りするわけですから当然、エスカレーターが必要になったわけですが、なんと着工後、床下に1本の太い梁が通っていることがわかり、エスカレーターを通す工事ができないことがわかりました。横に通った梁をぶった切る形になってしまうからですね。
ですが、その梁を避ける形ならエスカレーターを設置することができます。
そこであえて5段しかないエスカレーターをつくったというわけです。
世界一長いエスカレーターは香港
世界一短いエスカレーターの話をしてきたわけですが、反対に世界一長いエスカレーターは、どこにあるのでしょうか?
それは、香港にあります。「ヒルサイド・エスカレーター」と名付けられており、高低差は約135m。そして全長にすると、なんと800mもあります。ギネスブックにも登録済みです。
ギネスにも載って世界的に認められているヒルサイド・エスカレーターですが、いまひとつ解せないことがあります。
それは、1本でつながっていないことです。全長800mと言っても、じつは23本に分かれており、1本の長さはたった40mくらいしかないのです。
なんか腑に落ちませんが、世界基準では乗り継ぎ式でも1本にカウントされるらしいですね。
長さ日本一は香川県 高低差日本一は和歌山県
日本にも長いエスカレーターがあります。
日本一長いのは、香川県丸亀市にある遊園地・ニューレオマワールドの「マジックストロー」というエスカレーター。全長は96mもあります。’(公式HPの写真▼)
また、和歌山県の那智勝浦町にある「ホテル浦島」にも、長いエスカレーターがあります。
「スペースウォーカー」という名前のそれは、ホテルの本館と山上館をつないでいます。全長154mと、マジックストローよりも長いですが、3本に分かれているので長さ日本一ではないそうです。
その代わり、77mの「高低差」を日本一としています。それだけの高低差というのはすごいことで、実際、その傾斜角はなんと30度もあります。乗ってみると、結構な高度感があり、高所恐怖症の人は怖いかもしれません。
参考資料:
『「見るだけ」で楽しい!「ビジュアル雑学」の本』博学面白倶楽部(三笠書房)
『和歌山県 郷土資料事典 観光と旅』人文社観光と旅編集部編(人文社)
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