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ここ最近読んだカンボジア美術・建築の本
東南アジアの美術 フィリップ・ローソン
この本を読むのは二回目です。寝る前に少しずつ読んでいます。この本は日本に住んでいた時から長らく家にあったものの、ベトナム旅行前後にちょっと読んだくらいで、通して読んだのはシェムリアップに来てからでした。登場する地名や用語がかなり見慣れないものなので、とっつきにくかったのです。
遺跡が身近にある今、アンコール美術の章はどこを読んでも頷けます。ガイドブックにはない遺跡をいくつか知ったのも、この本でした。また多くの人がアンコール美術の最高傑作と言うバイヨン含むジャヤヴァルマン7世時代の遺跡を、この本では難癖つけていて新鮮です。
私の遺跡好きの入り口はチャンパ(ベトナム中部のミーソン遺跡)だったので、アンコールだけでなくチャンパも並行して読めて嬉しいです。
Cambodia in Postcards
2022年ドイツ出版の新しい本です。
フランス出身のPierre Dieulefilsという写真家が1905年にハノイの自宅からプノンペンまで旅行し、さらにその後コンポンチャム、そして当時はタイ領だったシェムリアップを旅行した時のポストカードになった写真232枚が、オリジナルのサイズのままで掲載されています。
この本はハノイからプノンペンの旅中とはいえ、ベトナムの写真はありませんでした。半分強がプノンペンの街並み、半分弱がアンコールワット・アンコールトム ・シェムリアップの街並み、そしてコンポンチャム(プノンペンの北)が少し、見ることができます。いくつかは現在の写真と比較することができ、非常に興味深いです。
遺跡の写真では、今ではもう現地にはないアンコールワットの兵士の像や、ジャングルとなっているピミアナカス、バプーオンなど120年前の遺跡の様子を見ることがができます。
Cambodian Wooden Houses
カンボジアの伝統的な木造建築に関してのフルカラーの大型本で、前半はプレアンコール期から現在のコンクリート建築までのカンボジア建築の歴史、後半は実在する木造建築(特に高床式の伝統建築)の解説と平面図、立面図が載っています。
この高床式民家は、コンポントムでお邪魔させてもらいました。内部の写真しかないのですが、雨季前半の暑い時期だったにもかかわらず、スノコ状の床の下から風が通り抜け、気持ちよかったです。
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さて、この本にあった様々な国の建築に関するプロポーションが面白かったです。
日本:畳のサイズ
(東京 0.88m : 1.76m、京都 0.955m :1.91m)
フランス:ル・コルビュジェによるモデュロールグリッド
2.26m
カンボジア(古代):0.43545m =1キュービット
10キュービット(4.3545m)をアンコールワット に使った
カンボジア(現代):フランスのモデュロールグリッドを、カンボジアの建築の巨匠ヴァンモリヴァンがカンボジア風に適用し、半分の1.13mとした
プノンペンの近代建築は、ル・コルビュジェの影響を受けているのではないかとは何となく思っていましたが、ばっちりエビデンスがありました。
こちら昔の記事ですみません、ヴァン・モリヴァンの自邸を訪れた時(2015年)の写真があります。カンボジアのスタバと呼ばれるBrown Coffeeのインテリアデザインも、ヴァン・モリヴァンの影響をかなり受けているのではないかと思っています。
ということで、カンボジアのモダン建築は(コロニアル建築でなくても)直接的・間接的にフランスの影響があるのだなと思いました。