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炎の影絵、スバエクトム(貧困の国がアートの国になった瞬間)
ベトナムに住んでいた2015年、連休に特に目的もなく、近い外国ということで初めてカンボジアに来ました。そこでロンリープラネット(ガイドブック)にmust seeと書かれていた影絵スバエクトムを観に行ったのが事の始まりです。
日本でのイメージから、影絵は子供向けかなと思って、何の期待もなく気軽にシアターを訪れました。
中心部から離れた場所にある、正直シアターとも言えないテントのような仮設舞台で行われたものは、神がかったような伝統音楽の生演奏と、魂のこもった影絵(とダンスの融合)でした。私は今まで体験したことのない感覚に包まれ、それはカンボジアのイメージが(地雷と貧困の国から)アートの国に変化した瞬間でした。
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「私、この影絵がとても好きです」と主催者に伝えたところ、「本場のシェムリアップでは、スバエクトムの影絵の灯りは電気ではなく、炎なんですよ。いつか見てくださいね」と言うではありませんか。電気でもこれだけの迫力なのに、火を焚いて公演するってどんなに素晴らしいのか!!
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その後、カンボジアに住んでからも年に1回はスバエクトムを観に行き、私はいつしか炎で行うスバエクトムをシェムリアップに観に行くのが夢になりました。
そして、8年越しの夢は、突然叶いました。
突然叶った8年越しの夢
この前の日曜日、いつものようにクメール語のレッスンを受けて、帰るときにそういえば、と先生に「スバエクトムのこういう投稿があったんですが、私も(外国人でも)見に行けますか?」と聞きました。
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そうしたら、「大丈夫です。これ、今日の夜ですよ」とのこと!え、心の準備が…
その後、クメール語の先生が会場の寺院に電話をしてくれて、正確な場所と時間を送ってくれました。
明かりがない道を走る怖さ
Google mapで会場のお寺の場所をシェアしてもらい、開演時間7:00pmから逆算しました。Google mapでは家から車で16分とあります。原付で車と同じ速さは出せないので、倍の時間かかるかなと思っていましたが、結果的に…40分かかりました…
私、都会っ子ではないですが、明かりがない道を原付のライトだけで走るのは初めてです。とにかく虫がすごくて、シールドをつけていても鼻や口にバチバチ虫が当たってきます。
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明かりなしの道はどんどん狭くなり、舗装はなくなり赤土の路地となり、周りには田んぼ…本当にいいのかと心細くなる頃、突然爆音のテクノ音楽とネオンの明かりが現れました。
お寺がクラブ化
お寺に着くと、夏祭りのようなお祭りが開催されていました。あまりの音量に耳を塞ぎたくなるくらいのテクノポップ。
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こうやって写真を見てみると、日本のお祭りにもベトナムのお祭りにも似ています。やはりアジア共通なんでしょうね。
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ムエタイ?(コンクマエ)
かなり怪しげなムエタイ?のリングがありました。観客は男性ばかりで、この盛り上がり方、賭けてるのかな…?
※後にカンボジア人友人に聞いてみたところ、カンボジアの格闘技「コンクマエ」だったようです
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ミニ遊園地
お寺の境内にミニ遊園地を作ってしまうの、すごいです。
相当大人も子供も盛り上がっていたので、年に数回とかのビッグイベントなのでしょう。
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ベトナムはもちろん、プノンペンにももうこういうのは無い。
やっと会場についた
このシュールな空間を抜け、お寺の本堂前にスバエクトムの会場がありました。
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そう言えば今までの会場にも全部あったなあ。
始まる前に、御供物をして演者がお祈りをします
まず牛革でできた影絵を並べ、バナナやドラゴンフルーツなどをお供物とし、蝋燭に火を灯して、お祈りをします。
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これは神様のための行事かもしれない
そして小さく火を灯して始まりました。お供物はそのままです。
プノンペンで何回か観た公演は、外国人観光客向けでしたが、ここでは一人も観光客を見かけませんでした。
そして、これは人のための行事でなく、神様のための行事なのだ…と気づきました。
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演目はラーマーヤナでした。クメール語はそこまでわからないので、たまに単語を拾うくらいでしたが、動きや影絵の人形は以前見たものと同じでした。
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だんだん火が大きくなってきました。
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本物のスバエクトムに泣きました
炎を焚いて行うスバエクトムは、もっと幻想的かと思いきや、炎の近くで演者も演奏者も汗だく、観ている方も汗だく、風向きによっては煙でむせたり、犬が飛び入り参加して、お坊さんにこらと言われたり。
それでも、そんなことを全部ひっくるめて、観光のためでない地元の行事としてのスバエクトムを体験できたことに震えて涙が出ました。
来てよかった!!
スバエクトム動画(2023年1月15日公演)
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※2回目も見ることができました、炎のスバエクトム(2024年6月)
1年半後の2024年6月にも、上記の団体のスバエクトムを見ることができました。以下の投稿で紹介しています。