水中憂泳
白昼夢みたいだ
儚くて 消えそうで
だから 別れを告げた
その日 久しぶりに熱を出したんだ
うなされながら 素敵な夢を見たよ
水の中でも息ができる夢
ベースラインに揺られながら
深く深く潜って 音の波に溺れて
ギターのリフがどんどん鮮明になる
身体はあのスネアよりも重すぎて
毎秒ごとに沈んでいく
あの子みたいに
泡なんかになって消えやしない
意識は普段よりも冴えてて
心なしか調子がいいよ
君の台詞がぐるぐると宙を舞って
嘘みたいに弾けて散った
なにも見えないところまで来たなら
君のもとに還ろう
産まれる前の姿に戻ってさ
海底の凹凸を静かに撫でるよ
うまく掴めないや うまく生きれないや
水中のようなこの世界で
心踊らされるものに手を引かれながら
たまに溺れたりして なんとか泳いできたよ
君の漂う姿は美しかったなあ
その尻尾を追いかけるだけで生きた心地がした
でも 唄がないと始まらないんだ
ねえ 分かるでしょ ここじゃ声が出せない
声が出せないと唄えない
唄えないと 生きられない
だから 先に地上に行くよ
またいつかね またいつか
また一緒に 音で遊ぼう
産まれる前の姿で