No.9

フィクションなので、全部嘘かもしれませんね。出てくる人物の名前は全て仮名です。

No.9

フィクションなので、全部嘘かもしれませんね。出てくる人物の名前は全て仮名です。

最近の記事

非道徳的だとしても

正体も分からないのに微笑んで 「こんにちは」「さようなら」って あとこれ何回繰り返すんですかね 結局みんな散り散りになるんですかね あなた本当に 私と仲良くなりたいんですかね? あなた本当に こんな私の話聞きたいと思ってるんですかね? 分からないなあ ああ 分からないや ああ 道徳の教科書を片手に 「間違っている人もいていいと思います」 と言ったYちゃんは昨日 黒く塗られた私の爪を見て 他の子とコソコソ笑ってました ああまた変なこと思い出しちゃったや こんな随分前の

    • 美術の時間

      今でも美術の時間があればいいのに。自分の好きなものを作りながら友達と全然関係ない話ばっかしてさ、普段全然話さない子の作品をちらっと見たりして「この子こういうの作るんだ」ってドキドキしたり、落ち込んでる友達を慰める方法がわからなくて新品の金色の絵の具を無理やり手に握らせてみたり、彫刻刀で指を切っちゃって、全然痛くないフリしたり、石像の横顔にキスしたお調子者が羨ましかったり、雨の日に濡れた靴下をストーブの前で乾かしてたら誰がどの靴下履いてたか分からなくなっちゃったり、ふざけすぎて

      • わたしはわたしが やりたいことやってんだからいいじゃん 誰もケチつけられないわ ダサくてもいいの ほっといてよ わたしはこれが超気持ちいい 下手くそなダンス シラけたユーモア それでいいの それがいいの 誰も分かりっこないんだから わたしが一番楽しいやり方にするの

        • 水中憂泳

          白昼夢みたいだ 儚くて 消えそうで だから 別れを告げた その日 久しぶりに熱を出したんだ うなされながら 素敵な夢を見たよ 水の中でも息ができる夢 ベースラインに揺られながら 深く深く潜って 音の波に溺れて ギターのリフがどんどん鮮明になる 身体はあのスネアよりも重すぎて 毎秒ごとに沈んでいく あの子みたいに 泡なんかになって消えやしない 意識は普段よりも冴えてて 心なしか調子がいいよ 君の台詞がぐるぐると宙を舞って 嘘みたいに弾けて散った なにも見えないところまで来

        • 非道徳的だとしても

        • 美術の時間

        • わたしはわたしが やりたいことやってんだからいいじゃん 誰もケチつけられないわ ダサくてもいいの ほっといてよ わたしはこれが超気持ちいい 下手くそなダンス シラけたユーモア それでいいの それがいいの 誰も分かりっこないんだから わたしが一番楽しいやり方にするの

        • 水中憂泳

          社会の猫

          社会の犬になれるかしら きっと私はなれないわね だってね 私は猫派だし それにとてもとてもとてもとろいの わんちゃんのようにいい子になんてできないわ すぐ人に噛み付くし 忠誠心なんて微塵もない 誰かの言うことなんて聞きたくない それに 誰かの嫌いな人を嫌いになれない 私はただ、自由に人を愛したい そうです 私が社会の猫です 人はとてもとてもとても怖いわ ワンチャン狙って首根っこを掴んでくるわ 人類が一番頭がいいと思い込んでいるし 他にも色々あるけど…もう言いたくない

          社会の猫

          私はわがままな女だから 私はすぐにときめきを感じたりするけれど あなたはそんなに簡単に感動しないでよね そんなに簡単に運命を感じないでよね

          私はわがままな女だから 私はすぐにときめきを感じたりするけれど あなたはそんなに簡単に感動しないでよね そんなに簡単に運命を感じないでよね

          最高の暇つぶし

          あんたが死んでから あたし会社をやめたよ チャカでも持って復讐をと思ったけど あんたに怒られそうだからやめたわ 埃まみれのギターにさよなら 全部愛しあえたら 骨まで粉々にされたっていいよ 黙ってずっとそばにいて どこにも行かないで あたしだけ見ててね これからも物語は続く あんただけがいない 退屈な退屈なあたしの物語 だから最高の暇つぶししてやるんだ 遊ぶように暮らす 死んだように眠る あんた以外もう愛さないから愛せないから 最後の最後まで見届けてよ 裸足で駆け

          最高の暇つぶし

          渋谷、ハチ公口にて

          なんかウケる このままどうなっちゃうかわからないけど 忠犬ハチ公みたいに良い子になれそう なんかウケる 一度好きになると嫌いになれないからさ 地獄の底まで着いていきたくなる なんかウケる いつの間にか口癖になってたけど この現実はまじでウケない そろそろ天国に行きたいけれど あいつを悩殺するまで死ねない ちょいとそこまでタクシー飛ばしてよ 遠回りするならこちとらメイク直しするわ そうそうそうそんなだった あいつの声 そんなだったと思うから 丁度いいところで降ろして頂

          渋谷、ハチ公口にて

          貴方と晩餐

          どんな関係よ 今更脈アリとか 今夜決戦よ ただでは済まさないから 明日純粋な気持ちで迎えたいなあ だって もう晩餐よ 貴方は誓えるかしら 待って そう言ったって知らない素振りばかり だから完全に吹っ切れたつもりで 一切関わらないでこの目に映らないで 歪んだオリオン座 安っぽいラブホテル 神々しいだなんて 言うんじゃなかった どんな関係よ 今更脈アリとか 今夜決戦よ ただでは済まさないから 明日純粋な気持ちで迎えたいなあ だって もう晩餐よ 貴方は誓えるかしら 綺麗にフ

          貴方と晩餐

          あのでかいケーキ食べよう

          すべてが終わったら 2人であのでかいケーキを食べよう 笑っちゃうくらいでかい 顔より大きなケーキを食べよう 君が哀しみに暮れてる顔は見たくないんだけどさ もしも絶望に苛まれた時には思い出して 池袋LUMINE一階のあのケーキのことを 死にたくなったら 2人であのでかいケーキを食べよう 笑っちゃうくらいでかい 何もかも忘れてしまいそうな すべてが終わったら 2人で食べたあのケーキを食べよう 笑っちゃうくらいでかい 顔より大きなケーキを食べよう 2人ででかい ケーキを食べ

          あのでかいケーキ食べよう

          月と血の海

          お腹が痛い。下のほう、腰も重いし足先はつめたい。カイロで温めても、つめたくて、かなしい。 きっと月のものがくる。私は子宮を持っているから。私は女として産まれたから。 初めて生理になったとき、あまりの出血に驚いた。 夜用のナプキンはナプキンというより、もはやオムツに近くて恥ずかしくて半泣きになりながら取ってしまった。翌朝血まみれで起きてまた泣いた。 甘いものがお腹いっぱい食べたいなあ。私だけの神さまに頭を撫でてもらって、抱きしめてほしいよ。 私の中の神さまはいつも真っ白で

          月と血の海

          薄化粧

          素顔 隠すのがうまいことで有名な 私も とうとう 偽りきれなくなり 剥がれた化けの皮 一枚一枚繋ぎ合わせて 君の前で丁寧に広げてみせた 見た目も中身もどっちも美しいのが 君の理想でしょ でも私は 何かを纏ったり飲み込むことでしか 美しくはなれないんだよ だから私は特別な薄化粧で 何よりも時間をかけた完璧な薄化粧で微笑む あなたは気付いていないのでしょう さよなら 高尚な美しさに気付かない人 柔らかな肌も香る髪のどれも全て 生まれ持ったものばかりじゃないのに 誰かの

          絶対音感

          「正直な話 正直に話せることなんてこれっぽっちもありませんからねえ」 君が嘘をつくのもよく分かる 形のないものは美しいし 煙草の匂いみたいに染み付いて隠せない 気付いてほしいとでも言うように芳しく香り出す 僕は自分が嘘吐きだから 君の吐く煙ですぐ分かる 掠れた声のキーがいつもと半音ずれてる 一拍テンポが遅れたのは電波のせいじゃない でもその音も結構好きだったり リフにできなくもないかもね 何だって君が語れば素晴らしい音楽になるから 虚構のメロディーに 時々目の醒める

          絶対音感

          わたしを型にはめないで あなたの思うわたしは 1秒後には死んでいる 淀んでいた眼は光で満ちている わたしを枠にはめないで 知らない顔でわたしを語らないで わたしは今を生きている

          わたしを型にはめないで あなたの思うわたしは 1秒後には死んでいる 淀んでいた眼は光で満ちている わたしを枠にはめないで 知らない顔でわたしを語らないで わたしは今を生きている

          獣のひとりごと

          生まれ持ったもので勝負させられる世界 排水溝にへばりついたヘドロの気持ち こっちは手持ちのカードが少ねえんだ 敗けを認めれば楽になるという訳でもない 異常な臭い わりとデリカシーのない自分に苛立ち 最後までただ逃げまくってただけさ 要はさ 月の明かりが控えめな夜だけに会おう じゃないとさ、僕の醜さがばれてしまうから 綺麗なものほど汚いんだ 汚いものほど綺麗なんだ どちらにもなれない僕はきっと一番醜い 「生きなければいけない」という 形のある責任が欲しかった 例え

          獣のひとりごと

          スイッチ

          何かを傷付けずに生きることなどできないのだ、と気付いた時。私は絶望した。 ついこの間まで呼吸をしていたであろう生命体が、今では皿の上を鮮やかに彩っている。 それをナイフで切り刻み、口に運ばなければ私の家族は悲しむだろう。 以前、数年ほど肉食を辞めた事があった。 その時は元々患っていた胃の不調が著しかったためにその決断に至ったのだが 肉食を辞めて半年ほどでふと思った。 「恐らく、このままでは人付き合いが出来なくなるかもしれない」と。 「ごめん、私それ食べれないんだ

          スイッチ