愛されるための絶妙な「距離感」のつくりかた
りさ:なんぼーさん、これどうぞ!
なんぼー:おお!アダムダコタンのパンじゃん!行列に並ばなきゃ買えないパンなのに、もらっていいの?
りさ:今朝行列に並んできて買ってきました。張り切って買いすぎたので是非!
なんぼー:嬉しいな、ありがとう。いや〜特別感のあるパンって感じでさすがだね。
りさ:高級パンに最近ハマってて。次はゴディパン狙ってます。
なんぼー:ゴディパンもすごいよね。買うために整理券が必要なんだっけ?
りさ:そうなんです。本当に大人気!
なんぼー:ゴディパンってGODIVAの素晴らしい施策だなと思っててさ。過去にとあるインタビューでGODIVAのCDOが言ってたんだけど、GODIVAって元々は高級チョコレートだから、需要がバレンタインデーに偏っているんだよね。だから、日常の中の接点を増やそうとしているのを感じていて。
りさ:なるほど。GODIVAのショコリキサーとか駅の中で見かけたことありますけど、たしかにそれも接点を増やす手段だと思うとしっくりきますね!
なんぼー:そうそう。だけど、ショコリキサーも日常的に楽しむものでもないし、逆に高級感を意識して「チョコレートのフルコース!」みたいなのを作っても、不自然だし日常的に消費するものでもない。日常だからってカップラーメンにすると、逆にブランドの価値が落ちてしまう可能性もある。
ブランドを守りながら、日常の中に接点をつくるって結構難しい。その中で、「ゴディパン」は名案だと思っていて。
りさ:チョコパンとかチョココロネって昔からありますもんね!違和感なし!
なんぼー:そうそう。パンとチョコって意外と相性がいいし、違和感なくマッチする。その上で、パンって日常の中で食べられているから、接点がめちゃくちゃ増えるんだよね。「チョコ」という商品を変えることなく、業態を変えることで、接点を広げている。
りさ:高級チョコって年に1回くらいしか食べないけど、チョコ系のパンなら月に1回食べても無理なく楽しめますもんね。
なんぼー:そうそう。
りさ:しかも、ゴディパンは何が素晴らしいって、パンに高級感がある!チョココロネも上品だし、隠し味としてチョコレートの入っているカレーパンも販売していて、なんか上質で、そして気になる商品ばっかりなんです!
なんぼー:そうそう。そこなんだよ!ブランドの価値を落とさない工夫が細部まで施されているのも素晴らしいんだよね。
りさ:ジュエルロブションのパン屋もあるし、パン自体は日常的に消費されているけど、パン屋をはじめることがブランドの価値を下げることにはなりませんもんね。
なんぼー:さすがりさちゃん、その通り。パン屋は大衆店から高級店まであるし、それこそアダムダコタンみたいに、高級パン屋に行列ができる時代だからこそ、さらに効果的な施策だとも思っていてさ。
りさ:わー、めっちゃ考え抜かれている!
なんぼー:それにこれって、高級だけどみんなに知られていて親しみやすいGODIVAだからこそできる施策だとも思うよね。ブランドについて深く理解した上で考えられていて、筋が通っている美しい施策だなと思ったよ。
りさ:高級な雰囲気を保ったまま、身近に感じさせるのうまいなあ。他にこういうのってあるのかな。
なんぼー:ここまで上手な例ってなかなかないよね。だけど逆だったらあるかも。「身近なものだけど、特別感を感じさせる」こと。
りさ:えー!なんだろ!気になる!
なんぼー:マクドナルドのシーズナル商品。
りさ:あー!月見バーガーとかグラコロとか!
なんぼー:そうそう。毎年欠かさず話題になるし、人気だよね。
りさ:私、月見バーガーは毎回食べている気がする。ていうか、マクドナルドに行くきっかけの多くがシーズナル商品かも!
なんぼー:そういう人結構いるんじゃないかな。それだけ人気なんだし、普通ならレギュラー商品にしようと考えると思うんだけど、マクドナルドはそれをしないことで、特別感を出しているし、熱狂を生み出しているんだよね。
りさ:月見バーガーなんて、「月見バーガーの人」いますもんね。
なんぼー:そうそう。すごい熱狂、すごいロイヤリティ、すごいモーメントだよね。ここまでしなくても、シーズナル商品を食べるとSNSでシェアしたくなっちゃうし。
りさ:これだけファンがいるのに、レギュラー化を我慢しているの偉いな!
なんぼー:そうだよね。だけど、その我慢が「特別感」や「熱狂」や「ブランド」をつくってるんだよ。
りさ:確かに、レギュラー化したら、そこまで特別感もなくなって、食べても嬉しくなくなっちゃうかも。愛されるための距離感、みんなめちゃくちゃ上手だ。
なんぼー:本当にみんな距離感の達人だよね。「美味しくて嬉しい」と思わせてくれるための努力に感謝だ。
りさ:よし!今年中に絶対ゴディパンにも行くぞ!今からワクワクします!