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181125文学フリマ感想『早稲女×30歳』『あなたは猫を盗む旅に出てもいいし出なくてもいい』

当日は行けなかったのですが、通販で送っていただくことができた冊子たちの感想をまとめます。今回もかなりエモい…エモいです。

@Glico30tome 早乙女ぐりこさん『早稲女×30歳』。

ご本人の誕生祭で前半は手に入れていたので読了済みですが、後半も含め再読。心に残ったのは「無頼派ぶりっ子に甘んじるな」の「傘に操を立てる」話。なんというか、私も0か100でしか物を考えられない部分があって、そういうのって劇的で気持ちいいけど、人生は物語のようにはいかないし、「退屈だし意味があるとも思えないけどとりあえず続ける」とか、「今日は疲れちゃったから、アクセル踏み込まずに自分に優しくしよ」とかはできなくなる。結果的に肉体的にも精神的にもボロボロになる。同じような性分を持っているので、ビニール傘と一緒にゆっくり歩いて帰るという結びにはほろっとしました。私も仕事とか恋に猛進(盲信)して綻びが生じたとき、「100ではない現実」をしなやかに受け止められるようになりたい。また、後半のアジサイの描写や、一人波打ち際で波の音を聞く場面も美しくて胸をつかれました。

この冊子を通じて、筆者は自分で選んだ美しいものや人、ことに囲まれることで確固たる世界を築き、他者に依存せず振り回されず、一人で立とうともがき続けていると感じます。過剰ともいえる熱量。よい作品とは、読む人に何かをしようと思わせる熱量を持っているものだと思います。私はたしかにこのエッセイからそのエネルギーを受け取りました。

@chambre_blanche 『あなたは猫を盗む旅に出てもいいし出なくてもいい』

4編とも細かい工夫が凝らされていて、読んでいてとても楽しかったです。同人のお二人(@Glico30tome @herbestmoon )のあとがき座談会は、読んでるだけで勉強になる。座談会では迷子さんが「小説は、何か〈起きた〉方が書きやすい」とおっしゃっている一方で『猫の目星雲は二度まばたきをした』では不倫「しない」主人公をていねいに、面白く書ききっていました。事件が起きないのに最後まで読ませる技術の高さに感動しました。が、失礼を承知で一言だけ言わせてください!……上司さんよ! さすがにティファニーのネックレスはあかんやろ……!! ティ・ファ・ニーは。誕生日に既婚上司からのアクセサリー、ダメ、絶対。

『「恋」について―あるヘルキャットの覚書―』では、細部が全体に効いてくる部分をいくつも見つけることができて読むのがとても楽しかったです。既婚者の彼と会わなくなってからソファの裏から出てくるグラスの破片。時間差で襲ってくる別離の痛み。わ~、すごい!効いてるぅ! と一人で叫んじゃいました。(笑)

本当におもしろい冊子でした。ネタにされた既婚男性たちのクソさ加減は全編を通じて光っています。まったく、文才のある女性と不倫なんかするもんじゃないですね。

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