七曜工房
七曜工房は滋賀大津湖西にある笛工房です。 音の出し易さ、音程の正確さ、操作性を踏まえて, 気軽に楽しめる笛を目指し、本漆で仕上げた竹製や木製の本格的なオリジナル横笛や尺八を 製作しています。 最高最響の笛作りを目指しています。 皆様からのご質問やご要望を参考にして、七曜工房の笛を使って 楽しく易しく吹く方法を笛製作者の立場から考えてみました。
キーを持たない笛は半音を出すのに苦労します。 そのため#・♭記号の多い調は#・♭のないC(ハ)調や#・♭の少ない 調に移調して吹くと楽です。 1.C(ハ)調に移調して吹く 前節で「笛の調と楽譜の調が同じときはC(ハ)調に移調する」と 言った通り12のすべての調は#・♭のないC(ハ)調に移調すれば、 すべての管種12本を揃えれば吹くことが出来ます。 B調はB管で、B♭調はB♭管で、A調はA管で、、、という具合に。 2.移調の早見表から探して吹く 吹き易い調は前
笛はたいてい下から指を上げていけばドレミファソラシと鳴るように作られています。笛の長さがちがえば同じドレミ音階であっても音高は異なっています。絶対的なドレミの音高で鳴るのはC管だけです。長さがちがうと聴こえるのは相対ドレミです。絶対的なドレミ音階を吹きたい場合はドの位置が変わって運指が変わります。 運指を変えずに同じ運指で色々な長さの笛を易しく楽しく吹いてみたい思う方が、この冊子を参考にしてくだされば幸いです。 七曜工房
調名と譜の図は、一般的には#群と♭群の二つに分けてそれぞれ記号が順番に増えていき、最下段は記号が5つ6つ並んでいるというものです。#♭が順番に増えていく様子は美しくもあり頭が痛くもなるのですが、これは調というものがとても高尚で権威あるものであるということを示そうとしているのはありません。絶対ド音から半音ずつ上げて行った音を相対ド音とするために、楽譜の性格上(ミとファ、シとドの間が半音である)#・♭記号をつけて音を上げ下げする必要があるだけなのです。始まりの音によって、うまくい
ある調を何音か上・下へ移調する 〈例ー1〉G(ト)調を2音半上げて移調する場合 G から2音半高くすると G・1音・A・1音・B・半音・CでありC (ハ)調となります。G(ト)調の譜の音符をすべて2音半上げます。前例と同 様に各音符を順番に2音半あげていったとします。どの音符にも#・♭記 号はつきません。図ー8の調名と譜の中のC(ハ)調と比べてください。C (ハ)調には#・♭記号はつきません。 〈例ー2〉G(ト)調を3音半下げて移調する場合 G・1音・F・半
(注)音と音の間隔を表すのに3度4度といった度を使うのが一般的です が、数的にわかりにくい面があるので、ここでは1音差、半音差 のように音を使うことにします。 ある調を他の調へ移調する場合 〈例1〉C(ハ)調をF(ヘ)調へ移調する場合 F(へ)調はC(ハ)調より2音半高い(C~1音~D~1音~E~半音~F) ので、C (ハ)調の譜の音符をすべて2音半上げます。 順番に、ド・1音・レ・1音・ミ・半音・ファ、レ・1音・ミ・半音・フ ァ・1音・ソになり、次は
1 笛を実音吹き(絶対ドレミ吹き)する場合 笛もピアノも同じ調の譜で鳴らします。 2 笛を下からドレミ吹き(相対ドレミ吹き)する場合 例えばD管でF(ヘ)調を吹く場合、合奏の早見表から、 G調で鳴ることがわかるので、一緒に鳴らす実音楽器ピアノは G(ト)調で鳴らします。 D管は1音高く鳴るので、F(へ)調を吹けば、G(ト)調が鳴ります。 3 笛を下からドレミ吹き(相対ドレミ吹き)する場合 C(ハ)調を吹けばその管の調で鳴るのでピアノは管の調で
ちがう笛で協和する音を出す 前述の合奏法は、長さのちがう笛で相対ドレミ吹きをした時、同一の音を鳴らす方法です。音を合わせると言った時、同一の音を鳴らすこととは別に協和する音を鳴らすということもあります。 長さのちがう笛で同じ楽譜を吹いた時、音程はずれていてもそれぞれの音が協和して美しく聴こえるということです。ここではどの笛とどの笛が協和するかを見つけます。二つの音が心地よく響く(協和する、ハモる)のは、一番は同一の音程とオクターブのちがいの音程、その次は完全4度と完全5度の
ちがう笛で同一の音を出す 自分の持っている笛を一人で吹く場合は、実音であろうとなかろうと何も問題ないのですが、他の人の笛と合奏する場合はどうでしょうか。長さのちがう笛で合奏するとします。それには、二人の笛の音があってないといけません。ここでは同一の音を鳴らすこととします。音が合うとは、先ず双方の笛のA音が同じ周波数なのかどうか。一応440Hzで合っているとします。 次に音律は、平均律であるとします。そして次に笛の吹き方が実音吹きなのか、ちがうのか。実音吹きであれば、双方が同
実音じゃないから何だか雰囲気がちがうなあ。やっぱり楽譜通りの音高で吹きたい。下からドレミの運指で易しく実音で鳴らせないの?この場合は楽器じゃなくて楽譜の方を替えてしまう方法があります。これが移調法です。 笛の指使いは変えずに、譜の方を替えて(移調して)吹く時、この笛は移調管(移調楽器)と呼ばれます。理屈は簡単です。C管以外の笛は音程が高かったり低かったりします。F管なら2音半高く、D管なら1音高くなります。ですからF管で吹く時には楽譜の方を2音半低く、D管で吹くなら1音低くす
管の長さごとに運指を覚えるのは大変だから、いろんな長さの管を持つのはやめよう。C管なら運指を変えずに吹けるからC管だけを吹こう。実音を吹きたいならこれも方法です。 反対に実音で吹かない方法もあります。実音にこだわらずに原曲の音高よりも高い音で、又は低い音で鳴らして、原曲とは違う変化を楽しむ。絶対音感に敏感ではない人にとっては少しぐらい音が高かろうが低かろうが同じ曲に聴こえて全く問題はありません。 これならどの長さの笛も下からドレミの運指を覚えておくだけで、色んな曲が自由に吹け
G管の笛を使って、ト音記号の五線譜を見て、笛の方もドレミと思って吹いているのに、本当のドレミ、絶対ドレミが鳴っていない!これは、先ほども述べたように、G管の笛は常にC管よりも3音半高い相対ドレミで吹いているからなのです。それでは、このG管では実音を吹けないのか? 吹けます。先程から、このG管の笛は下から指を開けていけば、ドレミファソラシドと鳴ると言っているのは、相対ドレミで読んでいるからで、そうではなく、これを絶対ドレミでソラシドレミファ#ソと読むと実音吹きになります。しかし
五線譜は音の高さを表す図であり、並んだ線は、一定間隔ではあっても、 そこに置かれた音符の音の高さは一定間隔では並んでいません。 ドレミファソラシドの音階は、それぞれの音の間隔は、 ド-1音-レー1音-ミー半音ーファー1音-ソー1音ーラー1音-シー半音ードです。数学的には、一定間隔の線が並ぶとそれぞれの間隔は特別な明記がない限り一定ですが、ここでは一定ではありません。ミとファ、シとドの間は常に半音なのです。 次に音の名前ですが、音の高さを示す名は、音名であり、イロハやABCを
当工房で製作する笛はほとんどが6孔笛です。 笛の表側に6個の指孔があいています。7音音階笛としては必要最小限の指孔数です。2オクターブ目は1オクターブ目と同じ運指でオーバーブロー(吹き越し、強めに吹く)すると出ます。とても運指が簡単で早く上手に吹ける笛です。 ヨーロッパでは木管楽器の基本は右手中央の指3本と左手中央の指3本が押え指とされていて、指孔数は6孔が基本となっています。6孔笛には、16世紀のルネサンスフルートやファイフ、17世紀のフラジョレット、現代では、ティンホイッ
オリジナル横笛の女竹やジャパンホイッスルでは、highD管からLowD管までの8種類。ノッチフルートではG管からLowA管までの7種類。ウッドホイッスルではhighF管からF管までの5種類。と同じ仲間の笛でもちがう長さのものがたくさんあります。 オーケストラでは、フルート(C管)とピッコロ(C管、D管)。バロック期以前のリコーダーは、ソプラノとテナーがC管、アルトとバスがF管。アイルランド音楽でよく見るのは、アイリッシュフルート(D管)、ティンホイッスル(D管)、ローホイッス
笛の表面には塗りを施して、汚れ防止や耐久性、美観性を持たせます。 塗り素材としては、漆を使います。本漆の生漆や色漆を使います。 演奏するときに手や唇に触れる心地良い感触や色艶、耐久性の上から漆に勝るものはないと考えています。またこの漆塗りのもう一つの大切な役割は、管内の塗りにあります。前にも述べたように、塗りによる管内の平滑性が音色等に大きく影響します。 木で作る笛は、竹よりも材表面の平滑性が劣るため、ペーパーがけしただけでは竹のようにはうまく鳴ってくれません。管内に漆を塗り
当工房では、加工し易く、耐久性と強度のある竹と木を使います。 竹は、女竹と真竹。木は広葉樹も針葉樹も使います。サクラ系、ブナ、カエデ系、ヒノキ等です。サクラ材は、建築では敷居に使われたりして硬材の仲間に入れられますが、笛では軽軟な方です。ヒノキは軽軟で割裂性もあって、笛としての加工はかえって難しいのですが、和の雰囲気を出したい時に 使ったりします。素材の違いにより音色に差が出るように思われますが、バイオリンが本体の木の振動が音色に直接影響するのとはちがい、笛は 管の中の空気柱