〖光と闇を見つめて〗
光があれば、必ず闇はある。
言葉ではなんとなく理解していた。
わたしは陽に住んでいて、陰の世界には行くことはない。そうどこかで思っていた。
闇なんか本当に存在するんだろうか。
そんなふうにも思っていた。
だけど、ただ目を背けていただけなのかもしれない。
わたしはきっと闇の世界に住んでいる。
ぬるま湯なんかじゃなく、幼い頃から蕀の道を進んでいる。
今はもう、目を背けられない。
そして目の当たりにした。
闇は本当に存在する。
暗く静かで異様な空気がそこに。
光があるから、闇はそこにある。
そんなの本当は知りたくなかった。