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問題はフジテレビだけであるか?日枝体制が浸透している取締役とフジサンケイグループ
今月中のCM差し止め企業は80を超えるといわれている。その間のCM収入は233億減少し、赤字になるという。
さらに今後悪化する可能性もある。
先日、政府は広報に関連する広告を取りやめたことを明らかにした。世論を受けての行動だが、その動きは緩慢である。
1月30日、フジ・メディア・ホールディングスの取締役会とフジテレビの取締役会が行われた。
まず、フジ・メディア・ホールディングスの組織図をご覧いただきたい。
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ここではそのトップに株主総会があり、その下に「取締役会」が位置付けられている。左右には「経営諮問委員会」、「そして監査等委員会」が配置されている。
そしてその下に「会長」と「社長」がおり、「経営会議」が位置付けられている。
これらは通常の組織構造であるため、何の問題もない。問題なのは「日枝久」が「取締役相談役」という位置づけになっていることだ。加えて彼は「フジサンケイグループ代表」という肩書である。
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そもそも事はそう単純ではない。
私は、長きに渡って反マスメディアを論じてきた。なぜなら現状の日本のマスメディアは単なる情報発信の機関であり、報道機関やジャーナリズム機関としての役割を何も果たしていないからである。
もしこれを読んでいる方が反マスメディアである場合、間違えてはいけないのは今回の問題は「フジテレビ」だけではなく、ポニーキャニオン、美術館、サンケイビルや鴨川シーワールドなどの不動産やリゾートに及ぶ「フジサンケイグループ」の問題なのである。
つまり、テレビだけではなく、不動産業界、ホテル業界、リゾート業界、文化業界に影響を及ぼしているのだ。
つまり言及されなければならないのは「フジテレビ」というメディアだけではなく、系列である「BSフジ」「ニッポン放送」「共同テレビ」「ポニーキャニオン」「文化放送」「サンケイビル」そして「産業経済新聞社」なども調査の範囲に加えなければならない。
第三者委員会の調査はあくまでも「フジテレビ」だけであり、中核企業の一部しか調査しないのだ。元を断つにはすべての中核メディア企業を調査しなければならないだろう。
そしてその全てに日枝氏の目があることだ。
まるですべてを監視するかのように。
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なぜ中核企業にも注目しなければならないのか?
理由は明白である。
現在の取締役会の構成員の多くが中核企業に在籍していたからだ。
港浩一氏は「共同テレビジョン」の社長も務めていた。
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つまり、共同テレビの人事にも日枝氏の影響力があることになる。
フジ幹部の証言では
「一方の港さんは、フジの常務だった13年にバラエティー番組におけるヤラセ演出が発覚して減俸処分を受け、番組は打ち切りに。そもそも共同テレビはフジの関連会社の一つに過ぎず、その社長の座は出世争いから脱落した幹部が片道切符で就任する、“一丁上がり”のポストなんですけど」
つまり、港社長は出世コースから一度外れたということになる。日枝氏が彼を捨て駒として利用しようとするのもまた勝手だったのだ。
次に金光修氏。
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彼は1983年にフジテレビジョンに中途入社した。その後「BSフジ」の編成局長を務めている。
嘉納修治氏は、フジテレビで出世したたたき上げである。
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しかし、2019年には「関西テレビ放送」の代表取締役会長に就任していた。
「取締役」には島谷能成氏という人物もいる。
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彼は株式会社東宝の代表取締役会長であり、フジテレビの取締役でもある。ここに文化事業の奇妙な関係が見え隠れしている。
「取締役」の齋藤清人氏は、かつて「文化放送」の社員であった。
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2017年に「セントラルミュージック」の代表取締役社長を経て、2020年に「文化放送」取締役社長、そして現在のフジテレビ取締役になった。
つまり「文化放送」の人事には日枝体制が関わっているのだ。
「取締役」の熊坂隆光氏は、「産業経済新聞社」の社員であった。
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彼は2017年に同社の代表取締役会長となり、2019年に同社の相談役となった。そして2022年にフジテレビの監査役となって、一昨年、現在の取締役の一人となった。
「取締役」の吉田真貴子氏は、元郵政省の職員であった。
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2013年には経済産業省大臣官房審議官となり、11月に内閣総理大臣秘書官となった。2013年といえば何を隠そう旧民主党政権時代であり、野田内閣であった。
2015年には総務省情報通信国際戦略局長に就任し、2016年に総務省官房長となった。2020年には内閣広報官となった。つまり安倍内閣の時代に総務省官僚のポストを着実にこなしていったのである。
そして、2022年には全国地域情報化推進協会理事長を務め、2024年にフジテレビの取締役を務めた。
経済産業省や総務省のポストについていた官僚が、一つのメディアコングロマリットの取締役になる。
これが健全な状態といえるのだろうか?
30日の取締役会の参加者は、このような中核企業の面々である。それは一つのテレビ企業がかかわっているわけではない。音楽・文化・映画・行政という誰もが感じる魅力を持った高い地位にいるメンバーなのだ。
問題はフジテレビだけではない。
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