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💑恐怖のお見合いツアー1|全7話【短編小説】サクッとショートショート!

僕が参加したお見合いツアーがこんな事になるなんて……。

でも、これは僕にとって幸せなのだろう。


僕の名は大島直人、今年の7月で40歳になった。

こんな歳にもなって、一度も恋人ができた事がない。

それにはいくつもの理由がある。

まずは僕の容姿が、ブサイクで肥満体型だからだ。

その見た目から、学生時代はトン吉や豚というストレートなあだ名を付けられていた。

確かに豚のような顔をしているのは自覚しているし、豚のような肥満体型なのもわかっている。

そんな肥満体型の自分を変えたくてダイエットもした。

しかし続かずに、すぐに諦めてしまう弱い性格なのも理解している。

勉強や仕事も集中力がなく、すぐに怠けてしまうため、大学はFランクの大学に通い就職もうまくいかず、アルバイトを転々として何とか生活している感じだ。

でも、友人からは性格は良いと言われたりもする。

とくに僕は優しいらしい。

それはお世辞で言っていたのかもしれないが、自分ではそれが唯一の長所だと思っている。

こんな僕だが昔から夢がある。

それは幸せな家庭を築きたいと夢だ。

いろいろと理想の家庭像はあるが、そんな事を言っていてはこんな僕が結婚できない事は僕自身が十分にわかっている。

だから、わずかでも可能性があればすぐにでも結婚したいと思っている感じだ。

そして僕はお見合いツアーのバスに乗っている。

目的地は東北地方にある田舎で、農家の後継者や嫁不足になっている地域だ。

農業の経験はないが、結婚ができるなら農業を一生懸命しようと思っている。

このツアーには合計30人ほどの男女が参加している。

自分で言うのもおこがましいが、見た目も年齢的にも結婚できなそうな人ばかりだ。

中には若くてカッコいい男性と、可愛い女性が1人づついる。

この二人は明らかに他とは違うオーラを放ち、お見合い場所に付いたら一番人気になるだろう。

そんな二人を嫉妬の眼差しで睨みつける人や、仲良くなって二人を利用しようと考えている人もいる感じだ。

僕はこの二人からは離れて、自分なりに行動しようと思っている。

目的地に行くバスの中ではもうすでに、相手をリサーチして出し抜こうと行動している人がいて、これからある意味、戦場に行くんだなと思い知らされる。

僕はコミュニケーション能力も高くはないので、バスの中では誰とも喋らずスマホだけをいじって時間を潰していた。

「このトンネルを越えると目的地のS村に着きますよ」

司会兼ガイドの男性が、バスのマイクを使いアナウンスしてくれた。

参加者全員がその言葉を聞いたとたん、胸躍る気持ちになり早くトンネルを抜けたいと思い始めた。

「グォーーーン」

なんだろう? トンネルの中央部分を通り過ぎた瞬間、変な音がしたと思ったら体が波打つ経験したことのない嫌な感じがした。

その波打つ感覚はいつまでも続き、まるで内蔵や脳が歪んでいくような変な感じに襲われた。

参加者の中には、その感覚に耐えきれず、悲鳴を上げたり嘔吐する人も現れた。

酷い人に至っては、気を失い痙攣し鼻血を出している。

運転手もガイドも何が起こったのかがわからず混乱し、さらに参加者の不安を煽った。

トンネルの先を見てみると、さっきまであったトンネルの出口の光が見えない。

その代わりに空間が歪んだような、見たこともない自然現象が起こっていた。

僕達にいったい何が起こっているのだろうか?

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