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「ロボットの最後 さてつのきずな」ショートショート

「そろそろ替え時だな」

ボロボロになったロボットをみながら、つぶやいた。

それはロボットだった。
正式名称やメーカーがつけた型式はあるが、いちいち覚えてはいない。

人の手伝いを行う機械群は、単にロボットといわれていた。

ロボットたちはかいがいしく人のことを助ける。
無論、そうプログラミングされているからだ。

いま目の前にあるロボットは自分が、幼い頃から使っている家庭用ロボットだった。

家庭用ロボットは人の姿に似ている。とはいえ必要以上に似てはいない。
どこか滑稽な、いわゆるおもちゃのロボットのようなかたちだ。

工業用ロボットの場合は用途に応じて、姿がまるで違う。けれども家庭用ロボットは人間と生活空間を同じにするため、自然と人の形状に似る。違ってもそこまで突飛なものではない。

技術的には、人間と瓜二つにもできるらしいが、それは禁止されている。
必要以上に似ると、人が嫌悪感を抱いたり、親近感を抱きすぎたりする、ということが弊害としてでてくるらしい。

そんなものは感情を理解していない戯言だ。そう男は思っていた。

人間とロボットは違う。

ロボットが人間のように動くこともあるが、それは人間の心が人間をロボットに投影しているからにすぎない。
ロボットはロボットなのだ。

そもそも人間は、モノに愛着を持ちさえしてしまう。なんとも不合理な生き物なのだ。

そう思っていたーーー

しかし

【・・・・マシタ】

ありがとうございました

そう、言った気がした。

ロボットが。

馬鹿馬鹿しい。

しかし、ロボットはそれが最後の一言だったのか、そのまま停止してしまった。

まるで、いままで甲斐甲斐しく世話をして、天寿を全うしたかのように。

「・・・・・ありがとうな」

そう、ロボットにこえかけながら、ロボットの頭に手を当てた。

はじめて、男はその「ロボット」自身に声をかけたーー


ーーーーーーーーーーーーーーー

「いや、しかし、こんなプログラミングいるんですか?」

「そりゃいるんだろうさ。いらなきゃわざわざインストールしない」

「だったらもうちょっとあからさまに入れた方が効果あるんじゃないですか?」

「そこまですると規制がうるさいんだよ。それにあからさますぎると効果がないってデータがあるんだと」

「めんどくさいもんすね」

「塩梅ってやつさ」

「はぁ・・・じゃあ、今回もサポート期間終了時に、「ありがとうございました」とかでもいわせましょうか」

「ああ。それで同型後継機のリピート率が上がるんだ」



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