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おかげさまで再会

久しぶりに本を読み切った。
何年も読みかけのまま本棚に飾られている本を差し置いて、1週間で読み終えた。
面白かった余韻と読み切れた達成感で幸せだ。
やはり読書はいいな。
何かにきちんと集中出来たあとは清々しい。

読んだのは、
「あいにくあんたのためじゃない」
たまたま本屋で立ち読みし、衝動買いした3冊のうちの1冊。
刺々しいタイトルと派手でポップな表紙デザインで一気に気になり、でもタイトルが強すぎて数分手が出ず、でもどうしても目が釘づけで、そうなるだろうと思ってはいたがやはり手に取った。

著者が柚木麻子さんと知り、あっこれ買うなと思った。
その後もウロウロし、気になる本の目星を付けて、さぁどう絞ろうかと吟味の時間に入ったが、最初からこの本は買うリストのトップだった。

だってこのインパクトだ。
ストレスでイライラしていた私には、頭の中で色んな「あんたのためじゃない」ことがぐるぐるしていた。
どんなあんたのためじゃないことが出てくる?どうスカッとさせてくれる?
ワクワクし過ぎて人目も憚らずバスの待ち時間に読み始めてしまった。
カバーを掛けてもらうのを断った事を少し後悔したが、それは一瞬だけですぐにそんな事はどうでもよくなった。
とても久しぶりに、恥ずかしげもなく本の虫になれた。

この本は全6話の短編集だ。
最初の話の前半は、とある人気麺屋の紹介から始まり何やら展開が読めず、正直読みづらかった。
でもスカッとしたい一心の私は、ここ数年行方不明だった読破エネルギーを使って読み進めた。

オチに入ると、裏の真実がボロボロ出てきてとても面白かった。
それぞれの登場人物が凛と立っていてかっこ良かった。

1話目が1番タイトルにのっとりスカッとした。
その後の話は、どういうこと?と余韻があり考えさせられたり、自分が言われている様でチクっとしたり、温かさにほだされたり、鋭さに憧れたりと様々で、タイトルイメージ程の怒りエピソード集ではなかった。

最初にスカッとでき、その後考えさせられ、ほだされ、落ち着きを取り戻せたので、なんだかカウンセリングを受けたみたいだ。
受けたことないけど。

イライラしていた私には本当にぴったりの本だった。
いい出会いをした。
おかげで読書と再会できた。

これは先月の話。
あの時買った3冊の3冊目を今読んでいる。
まだ読書を続けられている。嬉しい。
おかえり読書。ただいま読書。
やっぱりいいな、読書。
今年の秋は本の虫。
あぁ、本から出たくない。彷徨い続けたい。
秋の夜、もっと長くなれ。

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