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映画「ファーストキス1ST KISS」坂本×塚原×松×松村のマリアージュにめろめろになった話

前日譚


1/28試写会にご招待いただいたのでひと足先に鑑賞しました。坂本脚本、終わりの演出が美しくて切なくて胸がギュッとなるのでドキドキ。塚原監督、光の演出と色彩感覚がとっても好きなのでワクワク。ふとしたカメラワークで胸がキリキリするのでドキドキもありつつ。
どちらも、リアリティとドラマティックのあわいが印象的だなと思うお二方なので、このタッグを楽しみにしていました。たぶんみんなそう。

エンタメオタクとしてはこんな感じ。
北斗くんのファンとしては、松さん!?北斗くん!?と、キャストにもドキドキしながら、タイムリープかあ、そこまで好む題材でも無いかも(リープすることで変わってしまった過去を惜しんでしまうタイプ。変えたかった未来や過去にも大切な時間はあったと思うので)と思いながら、坂本脚本って作品としてとっても好きだけど、癖強男性多いしそこまでめろめろにはならないだろうなと思いつつ、まあ「この布陣に間違いはないだろう」という気持ちで試写を迎えました。

大間違いでした。わたしの認識が甘かったです。松さんがチャーミングなのも知ってたし、北斗くんがラブリーなのも知ってたけど、知ってたけど!!!大負け!!!!
以下は、いち松村北斗くんのファンでありながらエンタメ作品をこよなく愛する人間の鑑賞当日の悲鳴を交えた好きなところポイントです。

2/10 追記
公開後数回みて少し書き直しました!

悲鳴まとめ

・冒頭 冷め切った婚姻関係

めちゃくちゃ癖に刺さった……めちゃくちゃよかった……坂本脚本の"終わり"ってヒリヒリする……
本当によかったし、キャストがお互いパブイメっぽいのがさらに良くて、んわ〜やりそ〜っていう得体の知れない気味の悪さもあった。破綻していく/破綻した恋愛をああもうまく書いちゃうんだなぁ、怖いなぁ。
あの完全に終わってる二人の笑顔のやりとり、まさしく机の上のただのボールペン二本だった。無。
思えば、カンナの電気やエアコンのつけっぱなしとか、勝手に靴下履いちゃうとか、こたつやソファで寝落ちて風呂に入らないとか、「もう〜」って許せていても、恋が覚めたらかわいいどころか結構不快っていうラインだなと思う。駈の不機嫌ハラスメントやら仕事だからで全部済ませちゃうところ、まあまあムカつくので普通に感じ悪かった〜あんなおじさんと一緒住みたくないよなぁ。でさ、その仕事だから仕方ないんだよはカンナからしたら自分が辞めさせてしまった罪悪感もきっとあるはずで、なんだかなぁと思う。ずっとキリキリ鳩尾が痛むような生活だったのに、終わってしまったときの後味の悪さ。いなくなって清々した!とはならないし、助けられるなら助けたいんだなぁ、というのがめちゃくちゃ人間的というか、情はあるんだなっていう。「離婚届出してからにしてよ」って、多分本気だけど、本気じゃないじゃん。あのやるせなさつらかったなぁ。
という滑り出しからの初々しい劇中最初のプロポーズ回想からのタイムスリップ、「結婚するくらいにお互い好きだったはず」を大いに超えていく恋模様でした。脚本うますぎ。ほんとに。

・駈(29)

ぜんぶの駈まるごと、カンナ視点の補正絶対あるけどきゅるんきゅるんのこいぬでかわいかった。
坂本脚本だし、研究者だし、前情報ではもっと尖ってる人なのかと思ったけど変人度合いが研究に振り切っていて、自分自身がそこそこ近い環境にいたので親しみやすかったのかも。他の坂本脚本の男性にくらべるとめちゃくちゃピュアで扱いやすい子じゃなかったですか?たぶんそれがとても刺さっていて、そのキャラ造形に演出やご本人のやわらかいところが重なり、ある意味脚本"らしからぬ"像になっていたのかなと思う。でもやっぱり台詞回しとかは"らしかった"けど。
らしいといえば本当に北斗くんにダダ被りするところもあり、現場で松さん塚原さんがおっしゃっていたという「それ駈っぽい!」っていうやりとりが目に浮かぶようでした。
あと、「研究なんて」「こんなこと」「仕事と言えるかわからない」「面白い話じゃない」とか、結婚後の「この給与じゃ」という発言が苦しかったな。
研究を辞めるって辛いよね。大好きで、それだけがやりたくて、でもこんなの何の意味があるんだって自分で自分自身や自分の大好きな研究のこと否定しながらも29まで続けてきたんだろうなと。たぶんこれが古代生物とかじゃなくて医学とか応用科学なら違ったんだと思う。いくら好きでも、発展性とはあるいみ真逆を向いて、突き詰めていくのは孤独ですよね。待遇も良くないし。一人なら生きていけても?って考えたときに未来を見据えて別の仕事選んだんだと思う。
これぜったい、駈はカンナのためって言い訳にはしなかったんじゃないかな。恐竜関係の本が束ねられてる冒頭の場面むちゃくちゃ苦しかったなー!
坂本さんの本って、生きていくって綺麗事じゃない、が一貫していますよね。

・ロープウェイの非常ボタン

駈、真っ先に降りてカンナを助けようとするの、かわってないんだなって、そういう人なんだって思った。落ちたカンナの背中さすってあげてるとこめちゃくちゃよかった。帰りの道のりも美しかったし韓国版ポスター素敵だなと思います。わたしああいう全画面タイプのポスター好きなんだ〜
話は一転するけど、あの未来の変わり方残酷だった。タイムスリップすれば当たり前に未来は変わる、その未来ってふたりだけの問題じゃなくて、ああいう変化をもたらしてしまうこともある。うまく言えないけど、カンナに責任を問われているようで、あれはひとつの分岐点として描かれていたけど、過去を変えて未来を変えるというテーマをしっかり見せられている気がして印象深かったです。

・パン屋さん

ずるくない!?みんな恋しない!?
あの列から逃げ出すなんとも言えない表情かわいかった!あれっ?って思ってからの、あのしどろもどろの「揶揄わないで……」にぐっときました。あの列に並ぶ場面どれも大好きだけど、毎回「浮気」っていうのが頷けるくらい良い雰囲気だったのが、おっ?やらかした?みたいな微妙な感じになるの、駈は女性苦手って言ってたしあんまり行き過ぎるとひいちゃったかな、っていうカンナやこちらの気持ちをぐっと超えていくあの「ドキドキさせないで」かわいかった~~!
カンナのオタク仕草もめっちゃよかったし最後ちゃっかり録音してたのかわいかったし、駈はもちろんカンナもめちゃくちゃキュートだったよね~……えっなにそれかけるかわい~~!がにじみ出てるのよかったし、オタク的にも何度も見たかったのでリプレイまじでありがたかったです、ぺしょぺしょのいぬ、好きなので。
「パン屋さんを一緒にやりましょうは結婚しましょうと同義」って意味わからなさそうで腑に落ちる台詞だなぁと思いました。カンナにとっては旦那さんだもんねぇ。一緒にパン屋さんの未来良かったな。内勤だし柔らかいし危なくない、みたいな視点、的外れな回答でクスッと笑える場面のように描かれてたけど、あのカンナは愛した人が電車事故で亡くなったと思うと切実な言葉だよね。

・二度目のプロポーズ

ここ!ほんとうに!すき!塚原さんの撮り方が本当に好きで、特に光のやわらかい演出が好きなんですけど輪郭線が今回も美しくて泣いてました。
あの場面、台詞だけでほとんど動きがないままの数分間、派手さはないのにしっかり重要な場面なのがわかるし、彼らの本質に迫るやりとりで文藝を感じ、坂本脚本の醍醐味だな~と噛み締めていました。台詞だけでああも場面が成り立つものですか?そこに塚原さんの夕日の演出、贅沢すぎ……塚原さんのひかりの演出本当に好きなんですよ、最近で言えば海に眠る〜のギヤマンであったり、ラスト〜の最後の朝も綺麗だった。作中のあの場面が夕方だったの本当によかった、わたしがいちばんすきな塚原さんでした!贅沢すぎて夢かと思った。
あの場面、映像はもちろん台詞もドラマティックだった~……し、それを演じきっているお二方が素晴らしいなと思いました。なんか坂本・塚原・松・松村(敬称略)!この組で撮るとこうなります!がぎゅっと詰まっていた気がします。

という構造の話は置いておいて、以下、あの場面の駈めちゃくちゃめろめろだよねの話。
わたしは「離婚したくない……」がめちゃくちゃすきだった~~なにあのこいぬ……まだ結婚もしてないのに!っていう落ち込みも年相応恋愛経験なし感がなんとなくロマンチストっぽくて、ああ古代生物好きだもんなそれもロマンだよねって思いました。
直前に交わしていた「感じの悪い」、小気味いいテンポのシニカルな会話に"節"が効いているなぁと思って見ていたら急にあのこいぬ。同年代の配偶者のあんなぺしょぺしょのこいぬ姿見たらぐ……ってなる。「諦めるの早いよ」にチェキぜんぶ取り出すカンナ、「こんなに?なんで?」の駈……死んでほしくないからだよ、置いていくのが許せないからだよ!
あと駈が一番に「赤ちゃんは助かった?」って聞くところ、15年後の運命を「悪くないねぇ」「カッコいい死に方だ」って言うところ、硯駈という人間性がわかる一言だったし、正しくて美しい人間なんだなと痛感した。カンナは駈のそういうところに怒ってたけど、まあそれって生きてほしかったからだし、でもそういう正しさを持った駈を好きになったんだろうなって思った。

・二人称

あとあの場面の駈のメロポイントって二人称が「君」になるところもあるなと思っていて、15年連れ添う配偶者に対する遠慮のなさというか、気安さというか、あの瞬間完全に慈しむ対象に切り替えてるのいいなあとおもいました。かき氷屋さんの「僕死ぬの?」「君は誰?」はなんかまたちょっと違う趣だったんだけど、ここの「君」とかタメ口は心を許しているような感じがして、よかった。
「僕はまた"君"に会いたい」「いつか"君"に出会えるんだったら結婚だって間違えてない」ちょっとずるいよなぁ、まだたった数時間しか言葉を交わしてないのに、そういうの凌駕しちゃったんだろうな……
やり直すなら生き死にではなくて君との15年間、っていうのは言わずもがな駈の人間性とか、この作品の根幹部分にある人生とは愛とは未来とはをそのまま丸写しにしたような言葉だなと思ったんだけど、それきいて泣いちゃうの、なんどもタイムスリップして張り詰めてたのが一気に切れたみたいで、苦しかった。
それでさ、やりなおしたかった結婚生活をやりなおしたんだもんね、やりなおして笑顔で置いて行っちゃうんだからずるいよね。遺影が笑顔になってるの本当に枯れ果てるまで泣きました。後悔のない日々だったんだな、全部知っててもなお、誰かのために死ぬことを間違いではないって言える人だったんだな……

結婚してください、のときのあの目線、「大事な話の時は顔を見る人」という塚原監督の駈談が沁みる。最後の行ってきますもそうだったのかな。はじめの冷め切ったふたりが顔を合わせていなかったのもここにきてグサグサくる。
思えば一度目の柿ピープロポーズ、駈からしたら二度目だったんだね。あの三段階の「え…えっ……えっ!?」がありえなくかわいかったんですが、結婚するってわかっててもOKもらえて嬉しかったんだねぇ、かわいい。

(2/10追記)よく見なおしたら一度目と二度目でリアクション違いました!!じゃあもうあの時点で別循環のループに入ってるってことだよね?
タイムリープあるあるの時間軸の処理をまだ脳みそが追い付いていないので、今後の課題としたいと思います。
とはいえ一度目は結婚する未来をわかっていなかったのに一か月で「ずっと一緒にいたい」ってプロポーズしたんだ~~~!!だいすきでかわいい。

・「お風呂入れる人?」

このちゅーめちゃくちゃずるくなかった?ファーストキスの表題回収うつくし〜!てか初めての男の割にキス前の体勢うますぎるよ!コラコラ!って思ってたらあの床ドンちゅーずるかった、あれキスっていうよりちゅーでしたよね?ちゅーだったんだよ……ほんとにかわいい夫婦で……えーん幸せだった、「そういうこと何年もしてない」って言ったカンナさんがあの「ファーストキス」で思い出すのが日常的に交わされていたであろう戯れみたいなキスだったの、めちゃくちゃ泣いちゃうからね……よすぎて……にしても初めての男のキス前モーションではなかったです。

(2/10追記)このやりとりシナリオブックになくて泣いた。うそ、アドリブだったらどうしよう。

・どこかでお会いしましたっけ? いえ、初めましてです

まるでなぞるような台詞と、同じ構図のチェキ。チェキさ、手紙を書いてたときに二枚並んでるのみて、「出会わなければいい」なんてうそだよね、出会えて良かったよね……とむちゃくちゃ泣きました。

(2/10追記)同じ構図のチェキにデカ感情を抱いていたので、公開記念インスタライブでキャッキャしながらチェキで神経衰弱してる松さんと北斗くんをみて頭抱えました。まだ情緒めちゃくちゃですが、こちらは……

・やりなおした15年間

中年と呼ばれる年になってもひっつきあって寝てる夫婦可愛くて泣いた 幸せで
最後にトースターなんか残されたって困るよね、なんかもうめちゃくちゃ泣いた。あの「変わんないよ?」って話しかけてる場面。自分は朝パン食べないのにね。手紙を見る限り日付までちゃんと覚えていそうなので、わかっていてあのタイミングだったんだろうなと思うと余計、「幸せに」が沁みます。毎日ちゃんと食べて、生きていってほしかったんだろうな。きっとカンナは試したくなるひとだってわかってたんだろうな、ずるいな~~「同じものを一緒に食べる人がいることは奇跡的日常」だけど、生物学的には違うもの同士の方がいいんだよね。
やり直した彼らにパン屋さんの話をした記憶があるかはわかりませんが、見ている我々にとって印象深いアイテムでそんなことしないでよ~っておもいました、泣くから。でも世界線が違っても同じ話を繰り返していたからきっと覚えてなくても15年のどこかで喋ってそうだなぁ。パン屋さんになりたかった話。

・ラブレター

この回想シーンを交えながらの声、ずるい。北斗くんってこういう演出を任せられることが多いなとつくづく思います。声がいいよね……駈が語るカンナとの日常がめちゃくちゃ愛おしくて、大好きに溢れててよかった。ちょっとだらしないところを大好きなままでいられたのってさ、お互いの努力と愛情の上にあったんだよね。好きなところの列挙が好きなので、めしょめしょになりました。生活が似合う人だね。声が震えて、嗚咽が混じって、上擦るの、胸が詰まりました。
「淋しいは好きから始まってる」もね、めちゃくちゃいいなと思った。駈らしいな〜……あの駈はすでに自分の運命を知っていて、後悔しないように生きて、また"君"に出会うための15年だと思うと余計ですよね。出会わなきゃよかった、を否定して、恋をしにいっている駈が言うの、重みのある一言だったなと思います。
あとあの場面で棚の隙間から覗いてるの、うまく言えないけど幸福だったなあ。あの棚もふたりでえらんで、最初は何も置いてなかったとこに少しずつ増えていったんだろうなとか、そういうのもあるのかも。話変わるけど小道具もよかったですよね、物が多ければ多いほど大変だろうなと思うけど生活が垣間見えて好きでした。

総括

つまりこの作品が大好きになってしまいました。こんなにも製作陣と俳優陣の良さがギュッとなっていることってある……?みんながカンナを応援したくなるし、愛おしく思うし、みんなが駈に恋をすると思う。なんて素敵な作品に出会えたんだ、と噛み締めながら、公開日にもまたみてきます。いずれこんな悲鳴ではなく、まともな感想文が書けますように。

2025/1/28 あしはら

2025/2/11 かけました!よければ読んでやってください。

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