思春期短編📕思われてる方が楽
私には昔からどこか意識してる人がいて。
可愛いし、オシャレで流行の物を持っていて。
悪口や噂話が大好きな子ですら、
「あの子、可愛いよね！」と言っていた。
親にも可愛がられて、愛されていて。
綺麗な顔立ちで。
羨ましくてしょうがなかった。
自分には無い良い所が沢山あった。
ずっと遊んでいた。
少しずつ私から離れていった。
ずっと一緒だったのに。
親友だと思っていたのに…。
その子に新しく友達ができたら、凄いスピードで仲良くなって。
「もう一緒に学校に行けない」と言われてしまった。
暫く一緒に帰っていたけど、
「もう一緒に帰れない、ごめんね」と。
過ごしていた時期が終了したみたいだった。
私はそれでも繋がりを無くしたくなかった。
いつかみたいに遊びたかった。
遊びに誘い続けたら、
「私だって予定があるんだから、しつこくしないで」と、書かれた手紙をもらった。
ショックだった。
いきなり３人で私ところへ来て、その子の友達から渡された。
書かれている字も、初めて見る。
友達に書いてもらったみたいだった。
その子は手紙を書くことも渡すこともしなかったんんだ。
来て友達に手紙を渡す場面だけ見ていたんだね。
離れていくどころか、完璧に嫌われていた。
いつか一緒にやりたいと言っていた習い事も、全部、本当に全部を私以外の子と始めていた。
それに私が仲良くしていた子は皆、その子に取られてしまう。
皆がその子を好きになる。
『イジメ』なんて言葉とは無縁だった。
大人になった今思えば、もっと深い理由があったのかもしれない。
でも、思ってしまう。
ズルい…。ピエロみたいだ。
それでも、楽しかった思い出が多くて。
今でも思うことが二つある。
もう少し一緒に遊びたかった
あの子ならどう判断するかな？
って。
私がそんなふうに思っていたことも知らないでいる。
思っている方が辛い。
思われている方が何も知らなくて楽なんだ。
思われている方になりたい？
思っている方がいい？
できればどちらも選びたくない。
きっと好きな人ができたら、
本当に忘れられるから。
嫌なことさえも良いって流せるから。
それは恋人とか結婚とかである必要はない。
自分にとって、
本当に大切な趣味、好きなこと、本気で没頭することが必ずできる。
そこで努力を怠らなければ、
何年も忘れられなかった気持ちから解き放たれる。
『自分が自分に勝てる時』が来るだろう。
