![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56290789/rectangle_large_type_2_fe540460da6a1e478ca9f4a65d1aafa1.jpeg?width=1200)
フランス語とカクトウして、戦いを放棄した
こんにちは&はじめまして ななるです。
私が暮らす街は、モノ・リンガル(monolingual)です。
モノ・リンガル=単一言語。フランス語だけで成り立っています。
フランス国内だから当たり前や。
パリあたりにでると、平気で英語だけで生活が成り立つし、なにより英語で意思疎通が成り立つ相手を、必死で探さなくても良いので気楽です。
だから『エミリー、パリへ行く』が、成り立つわけです。
私が暮らす街は、まず英語を理解するひとがまずいない。
片田舎の、農地のど真ん中の、人口100台人の、隣町まで車で時速80キロから100キロで1時間の、町のベーカリーが1軒の、スーパーまで車で30分の、学校も隣町にしかない、そんな町では決してない。
それなりに人口も居て、高校も中学もいくつかあって、小学校も沢山あって、大学まであり、ベーカリーは両手以上にあり、スーパーが7軒くらいある、とっても便利な街である。
なのにこの街では、『フランス語らしいフランス語』しか通じない。
フランス人は「英語を話せても話さない」のではなく、マジに、真剣に、学んだけれど理解できないし話さない、人口の方が、圧倒的に多い。
まさにこの街も、フランス語しか話せないフランス人が暮らしている。
何故そう思うか?
私、英語以外にも、イタリア語やらスペイン語、ロシア語を操ります。
イタリアレストランのメニューがイタリア語だったから、イタリア語が通じる!!!と、喜び転がって、イタリア語で話しかけたら(なぜならフランス語での意思疎通より楽だから)、この世の終わりのような、ムンクの叫びのような顔をされ、「あなたが何を云いたいのかわからない、何語だ?」
悪かったよ、君は「フランス人」だったんだね。
小さな店で、君しかないから、オーナーだと思ったんだよ。
という、とても似た事態が、何度かありました。
誰?日本人は6/3/3 12年の義務教育で英語学んでも、話せないの恥ずかしい!なんて教育!!と云っていたのは。(私だ)
フランスも選択制で、中高では、外国語は英語・スペイン語・イタリア語・ドイツ語・日本語・・・から選べるらしいが、状況は日本とあまり変わらない気がしてきた。習っても、話せないじゃないか。
閑話休題、私のヘタクソなフランス語。
話さないと生きていけない(半分、嘘)から、話す。
全力で、耳にした文章を繰り返し、暗記し、同じ状況で、反射的に文章が口をついて出るまで繰り返す。
そうやって覚えた文章、マジで文章、を適宜、記憶の奥底から引っ張り出して使う訳です。伝わるようにと、丁寧に発音しながら、話すわけです。
パン屋では「バゲットが欲しい」、「今日のパン(中身が毎日かわる日替わり定食のパンがある)が、500g欲しい」、「雑穀のパンを薄切りして欲しい」。欲しいだらけ。
週に2回のマーケットでは、「人参がひとたば欲しい」、「葉っぱつきにして」、「いちごをバスケット2つ分ください」。
宅配便が届けば「受け取りに降りるからまって」、免許の書き換えでは「書類が届かない」、郵便局では「この小包をアフリカに送りたい」、携帯電話屋では「過剰請求されているから、お金返して」・・・・。これは切実。
行政関係のやりとりになったら、あまりに通じず首を吊りたくなる。
用が足せないときは、こちらも必死だ。
なんとか伝えようと必死に、丁寧に、訴える。
「あなたの云いたいことがわからない」
礼儀のあるひとは、こう答える。
翻訳機を引っ張り出す相手ならまだありがたいが、「は?」と云われるときもあれば、肩をすくめて立ち去られるだけのこともある。
これはキツイ。
溜息とか、肩をすくめるとか、絶望的な表情をされるとか。
彼らが同僚に早口のフランス語で何か言うと、「わけわかんねー、フランス語話せないやつが来たぜ!」とか、云われている気がする。
そうすると心が竦む。
心が竦むと、言葉が一層でなくなる。
私は、とうとう開き直ったわけです。
頑張っても通じない。なら頑張らない。
そしたら急に、話が通じ始めました。
伝え方を教えてくれるひとまで、出てきた。(笑)
知っているフランス語の単語を並べる、文法は無視。とにかく並べる。
最初からスマホを引っ張り出し、翻訳機をつかいながら、とにかく喋る、べらべら喋る。
前よりずっと、意味をなしていないはずなのに、私にかわり、相手が必死で文章につないでくれるという、歩く翻訳装置のような人たちと出会う機会がどんどん増えてきました。
要はですね、必死で話そうとしているときは、顔が怖い。
笑っていても、顔は引きつっています。声も強張っています。
心底諦めると、強張りはとれます。精子や卵子の時から、フランス語を聞いて育ったひとたちと、対等に話せるわけがない。「話せない=当たり前」。むしろこの齢で、母語でない言語圏で、暮らしている私を尊べ!!(笑)
伝えたい気持ちは変わらない。伝えようとする意志も変わらない。
上手に話そうとする執着を手放してみたら、逆に通じるようになりました。
最近、携帯するのは、WIFI付きのスマートフォン。
それから、手づくり会話帳とノート。
ノートは自分が書くためです。書いてもらっても、読めません。
フランス人の手書き文字は、解読の困難さは暗号並、象形文字です。