わざと、泣かないようにしていたのかもしれない
「意外と、大丈夫。」そんなふうに思っていた。
そう思ってくれ、と、脳みそが指令を出したのかもしれない。
だからわたしは、毎晩泣いたりなんてしなかった。
たった一度だけ、親友が電話で話を聞いてくれたときは、涙がこぼれちゃったけど、あのときだけ。
あれ以来、ずっと悲しい気持ちなんて感じてなかった。
一度泣いたらもう、すっきりしていた。
それで、良いはずだった。
けれども、わたしは気づいてしまった。
無意識のうちに、「泣くことができる環境を避けている」ようだった。
ひとりでお部屋にいるのが好きなくせに、わざわざ出かける。
プレイリストを再生しても、思い出の曲を飛ばす。
曲というのは、そのとき聴いていた気持ちや感情までセットになっている。
だから、記憶はより鮮明に蘇る。
鮮明な記憶というのは、気持ちの面においては非常に厄介だ。
まるでそのときにタイムスリップしたかのように、気持ちだけが身体と現実を置いて過去に戻っていく。
そして今のわたしに、懐かしさや切なさ、ときには悲しさまで持って帰ってくるわけだ。
泣きたくなかったのは、強い自分でいたかったから。
そうしないと、自分を見失ってしまいそうだったから。
今日もわたしは、知らないふりをするんだろう。
そして、今日も泣かない。
感情を押し殺して、泣かないように。
そんな指令が来ているうちは、わたしの脳みそに従おう。
泣かないという予防線を張ることで、わたしがわたしを保つことが出来るなら。
そろそろ、無意識のうちに閉ざしていた気持ちをそっと開放してあげよう。
誰が見ていたって、見ていなくたって、泣いてしまえばいいさ。
脳みそから、そんな指令が来るのもそう遠くはないだろう。
with LOVE, nana
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