早稲田ですごした4年間は、私の青春そのものだった

キッチンオトボケ、三品、メルシー、ごんべえ、珍味、エルム、えぞ菊......私が4年間お世話になった飲食店のごく一部。今は閉店してしまったお店もあるみたい。

東京都新宿区早稲田。ど田舎の高校を卒業後、ここにマンションを借りて大学生活の4年間をすごした。

イオンに行くくらいしかやることのない田舎から上京した18歳当時の私にとって、早稲田は誰が何と言おうと魅力溢れる都会だった。

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冒頭の飲食店を始め、学生に優しい価格帯のお店が数えきれないほどあったので、お昼ご飯と夕ご飯は毎日のように違う飲食店を渡り歩いていた。
特に、早稲田通りにあるヤミツキカリーには週2、3回は行っていた。よく「チキンとその卵のカリー」をパクチー抜きで頼んだな。

バンドサークルに入っていたので、高田馬場周辺のスタジオは毎週のように行っていた。その中でも、ゲートウェイスタジオフェイズ店はよく使った。スタジオ帰り、みんなで重い楽器を背負いながら神田川沿いをビール片手によく散歩したな。

毎年4月に行われるサークルの新歓活動では、戸山公園でブルーシートを広げて遅くまで飲み明かした。
上級生になると、場所取りのために朝6時から毛布を抱えて公園に向かうこともあった。眠い目を擦りながら同期たちとトランプをして夕方まで時間を潰したな。

他にも、早稲田ですごした4年間で行った場所は数えきれない。東西線の早稲田～高田馬場のたった1駅の区間内に、たくさんの思い出が詰まっている。

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早稲田に住んだ4年間は、人生で一番欲望に忠実だった。

少しのバイトをしながら毎日起きたい時間に起きて、食べたい時間に食べたいものを食べて、その日飲める友人を探しては毎日のように誰かしらと飲み歩いて、安いお酒とおつまみをたらふく平らげて、気が済んだら徒歩で家に帰ってそのまま布団に倒れる、という生活を送っていた。

大学1年生のとき、人生ではじめて告白して振られて、泣きながら神田川沿いを歩いた。一人になりたくなくて終電で武蔵関に住む友人の家に向かったっけ。

大学2年生のとき、なぜか突然青春っぽいことをしたくなって、終電で大宮まで行って、そこから一晩かけて自転車で（自転車は大宮に住む友人から借りた）早稲田の自宅まで戻った。
普段運動しないからすごくヘトヘトになったけど、早稲田についたころちょうど昇ってきた朝日がとても綺麗だったのを今でもよく覚えている。

大学3年生のときはサークルの同期と本当に毎日一緒にすごしていたな。毎日2限目が終わると、大学の中にある大隈重信像の前で待ち合わせをしてランチに行った。
ランチが終わるとその足で戸山の学生会館の中にある部室に行ったな。学生会館を出たあとは向かいにあるサイゼリヤに移動して、そのまま閉店の深夜2時まで少しのおつまみとワインで語り明かしたっけ。
バンドサークルなのにバンドの話はそこそこで、恋愛の話ばっかりしていたな。

大学4年生の大晦日、お金はないけど最後に何か思い出に残る面白いことしたいと思って高田馬場駅を起点に徒歩で山手線一周したな。
年末ですごくにぎわっているアメ横を通り抜けて、品川駅のポケモンセンターで偶然来ていたピカチュウと記念撮影をして、カウントダウン間際でお祭り騒ぎの渋谷でベビーカステラを買って、また高田馬場に戻る頃には0時を回ってたっけ。
高田馬場についた瞬間、急いで近くのコンビニに駆け込んで緑のたぬきとビールを買って、近くの名前も知らない小さな公園でそのまま新年のお祝いをしたな。

早稲田ですごした4年間は、毎日がお祭りみたいだった。学業が本分のはずの大学生活、恥ずかしながらほとんど勉強をせず、毎日全力で遊んでいた。

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当時を振り返ると、今では考えられないような自堕落な生活を送っていた。

でも、「もし過去に戻れるとしたらいつに戻る？」と問われると、真っ先に大学時代を想像する。

卒業して約10年、今のほうが健康的で、お金もあって、子供たちにも囲まれていて明らかに精神的にも身体的にも満足度は高いはずなんだけど、時々ふと、「あの時に戻りたいな」と思う。

MARUHACHIで夜中まで飲み明かして、それでも話し足りずに早朝の日高屋に移動してまた飲みなおすことも

料金が安くなるからといって深夜0時から4時間、ゲートウェイスタジオで眠い目をこすりながらバンド練習をすることも

当時の同級生たちと大隈重信像の前で待ち合わせて「お金ないから安くすまそう！」と言ってわせ弁で330円のナスからあげ弁当を頼むことも

今ではそんなことをする時間も体力もないし、お金がないという理由で激安のお店を選ぶこともしなくなった。
でも、きっとこれから先の人生、あの時毎日のようにしていたことがもう二度とできないんだなと思うと時々無性に寂しくなる。

早稲田ですごした4年間は、間違いなく私の青春そのものだった。

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先日、私が学生時代よくすごした思い出の場所のひとつ、「ゲートウェイスタジオフェイズ店」が閉店した旨のニュースを見た。

卒業して約10年、早稲田の街並みもどんどん変わっていっている。そういえば、珍味もエルムも数年前に閉店したって聞いた。今現役の早稲田生たちは何を食べて、どこで遊ぶんだろう。

もう戻れない過去を想って、またセンチメンタルな気持ちになった。