アイスコーヒーの魔法と、琥珀
いちばんふるい記憶の、彼のはじまりの言葉を、桜が散ると思い出す。めったに履かない春色のスラックスで装って外に出かけた日のことだった、今でも覚えている。
フィクションとノンフィクションの境目は読んでくださるひとに委ねるスタイルなのですが。この2つに関してはありがたいことに「気になる」と言ってくださる方が多く。だからエイプリルフール・マジックにのって、(もう過ぎてしまったけれど)今日はそのはなしをしようと思う。
いちばんふるい記憶の、彼のはじまりの言葉は、「いっしょかえろ」だった。
一緒に帰ろう、ではなくて「いっしょかえろ」だった。勿論彼は口にしたので、その言葉が彼の脳内でひらがなだったか、漢字だったかはわからない。けれど、わたしにはひらがなに見えたし、一緒に、の「に」がなかったところが好きだった。
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読んでくださってありがとうございます。今日もあたらしい物語を探しに行きます。