愛情なんていうベールは、もう脱ぎ捨ててしまおう。
「知らなかった?」
友人と食事中、私の元彼が “変わってしまった” と聞いた。変化、それは私にとって何よりも肯定的な言葉だったから、彼のその変化を聞いてどうしても悲しくなってしまった。
知らなかった。
彼への愛情が特別だと知っている周りの友人は、私に気を遣ってなにも言わなかったのかもしれない。きっと、言えなかったのだと思う。
彼の何が好きだったか、と聞かれると困る。強いていうとすれば彼の発する生活音と、ふるまい。自ら離れたあともその存在を心のどこかで探していたのは、彼の