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宛名のない手紙

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2018年3月の記事一覧

青空を味方につけてしまう彼

そろそろセーターをしまっていいよと、季節は言う。それでもたまに寒くなって、いじわるだ。焦らされるほど、訪れたときの喜びがおおきいなんてことを知っている春って、本当にずるい。 わたしは犬が好きだ。ちいさい頃からの口癖は「犬が飼いたい」だった。実家がマンションだったのでそれは叶わなかったけれど、いつか飼うのだと思う。犬のようなひとが好きなのだけれど、過去をさかのぼっても、そうだよなあと我ながら納得する。 そういえば犬のような彼には、春に出会った。 ────── あまり甘え

ロマンチックが離さない

改札をくぐって右、「右側通行にご協力ください」、地上へ出て右へまっすぐ。坂をのぼっていくほど気持ちが高鳴るのは、この坂のせい?それとも、今から行くお気に入りの店が、わたしのすきな“右” をくり返して、やっぱり右側に見えることが分かっているからだろうか。 右が好き、というとほとんどのひとが不思議そうな顔をする。右側に好きなひとをみながら歩くのが好き、というとさらに不思議そうな顔をする。理由なんてない。落ち着く、ただそれだけのこと。 でも多分、本当は理由があるんだとも思う。大