甲州選挙といえば、名物は怪文書である。
選挙のたびに同県内では10万枚単位で怪文書がばら撒かれ、あるいはポストに投函されていく。
風が吹けば桶屋がとはいうものの、選挙となれば印刷屋が、が甲州名物である。
あるいは新聞社の各支局の若手は、代々引き継がれている「取材ノート」に記される、甲州の「選挙フィクサー」と称される、風月堂の“まんじゅうや”を筆頭に、そしてその下にぶら下がる小ぶり、中ぶりな自称・フィクサーらに取材をかけ、有象無象の情報を噂話という名のもとに拡散させ、取材と称しながら怪情報拡散の片棒を担がされていくのもお決まりの光景だ。
若手記者らの足腰を鍛えようにも、強い指導力を発揮すれば「パワハラ」との指摘を受けかねない支局長や総局長らも、悲しいかな、どうしても若手教育には及び腰になる。
そんな甲州で、号外よりも早く、的確に、そして地元紙の山梨日日新聞の記事本記の内容を適切に反映していない、週刊誌まがいの煽り見出し風(まともに読めるのは共同通信の配信のものだけであるが、残念ながら一般読者には、どれが共同配信のもので、どれが地元紙の出稿であるかの見分けをつけるのは難しいだろう)の紙面よりも手元に確実に届くのが通称・甲斐文書、すなわち「怪文書」である。
内容が、ホントかウソかは問われないのだろう。
これまで集めた甲斐文書の内容をいちいち精査してきた私には、とにかく「書いちまえば」「ばら撒いちまえば」こっちのもん、というのが甲斐文書の特徴であるようにもみえる。
先の衆院選でも、おそらく集落あげて、区長や組長、隣組の有力古老の号令一下、集会所に集まってはこの怪文書を折りたたみ、封筒に入れて、切手を貼ってといった、デジタルの時代でも、そこはDXとは無縁の「怪文書折り込みの伝統芸能」がそこここでみられたはずだ。
決して、地元の人々が悪いという話ではない。こうした傾向は三重教組の地元もそうだが、日教組の組織率が高い土地では盛んである。日教組の組織率が高い地域と怪文書の発信率・出没率が高いところとの相関性は、心証としては「ある」。しかし、私も統計をとるまでには至らず、なおも自身の検証テーマとして積み残したままとなってきた。
と、そんなところに、ついに我が身にも怪文書が送りつけられる顛末となった。
しかも、内容は、私への「脅迫」であるから、これは穏やかではない。
発信元の住所は山梨県庁。そして、発信者はなんと、私自身、ではないか(爆笑)
ギャグ?皮肉なのか?嫌味なのか?それとも高尚な笑いを誘うギャグなのか?
それとも、俺はお前を知っているぞという、含みのある脅しのつもりなのか?
消印は甲府中央郵便局。
利き手は右なのであろう。わざわざ左手で書いて筆跡を誤魔化したのだろうか。
左手で書いたが故に、文字はどうしても右下に流れ、傾く。
住所のハイフンも「〜」と、実行者の個性が顕れてしまっているではないか。このあたりの個性豊かな「手抜かり」も甲斐文書らしく微笑ましい。
そして、その内容がふるっていた。
記された内容には、発信者の属性を強く推認させる「秘密の暴露」が散りばめられていた。
ここもまた、甲斐文書の特性でもある。
発信者自身と周辺関係者を容易に絞り込める内容を「書いちゃう」のである。
ここは、他県の怪文書との決定的な周到さ?の違いでもある。
怪文書から検出された指紋が明かす、発信者の正体とは!!
県政記者クラブのドン、産経新聞の平尾孝さん、ペンで県政を変える男、山梨新報の松田宗弘さん、さあさ、出番ですよーー。甲府総局OBの、朝日新聞の吉沢龍彦さんもほら、東京から「ペンで追及して」ください。脅迫状がきましたよー