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予約録画はあてにならない

前回、VHSについての思い出を書かせて頂きましたが、今回はビデオデッキとの思い出について書かせて頂きます。


テレビ放送がデジタル化された現代においては、番組を録画する際はリモコンで番組表を選択し、録画したい番組を録画予約するだけで確実に録画してくれる便利な世の中になりましたが、アナログ時代はそうはいきませんでした。

当時もビデオデッキに予約録画機能は搭載されていましたが、予約したにも関わらず、きちんと録画されていないというトラブルは日常茶飯事でした。

例えば、月9のドラマを録画しようと思ったら、放送前24時間以内に『21時に○チャンネルを録画』という設定をしなければなりません。

カレンダー機能が搭載されていない機種が殆どだった80年代・90年代のビデオデッキでは、24時間以内でなければ録画予約が出来ないという不自由さが当たり前でした。

当然、録画時間やチャンネル設定を間違えると、その時点でアウトだったのですが、これをきちんとやっていても不可抗力によりきちんと録画されないことがあります。

特に多かったのが、プロ野球放送の延長による放送開始時間のズレです。

当時は、プロ野球放送全盛期でしたので、ゴールデンタイムでプロ野球の中継をやっていることが珍しくありませんでした。

試合の都合上、放送時間は殆どの場合19時~21時で設定されていたのですが、時間内に試合が終わらないと、放送時間が延長されるのが当たり前でした。


寧ろ、試合の途中で放送を打ち切ると「何でいいところで切ったんだ!」と放送局にクレームが来るという、そんな時代です。

一方で、その影響をモロに受けてしまっていたのが21時から始まる番組です。

現代であれば、番組の放送時間がズレたとしても、放送そのものをデジタルで管理しているので、録画もそれに準じて自動的にズレてくれますが、アナログ時代は放送を電波に乗せて送り届けていただけなので、何時にどんな番組を放送しているなんて情報は、いっさいデッキ(録画機)には反映されず、21時に録画予約をしていると、プロ野球の中継が延長されようと関係なく21時に録画がスタートされ、見たくもない野球を(プロ野球ファンの皆さん、ごめんなさい)無駄に録画するという悲劇に見舞われます。

そこでネックとなってくるのがVHSの容量です。


前回の記事に書かせて頂きましたが、当時は120分尺のVHSが主流でした(180分はちょっとお高めだった)ので、1話60分のドラマなら1本のVHSに2話までしか録画出来ません。

そのため、既に1話分録画をしているVHSの場合、残された容量は60分のみ。

よって、仮にプロ野球の中継が30分延長されてしまうと、ドラマは30分しか録画されないという悲劇に見舞われます。

また、空の状態のVHSであったとしても、一度録画してしまうと、最初の30分だけ削除するということが出来ませんでしたので、1つのVHSに2話分録画することが出来なくなってしまいます。

こんな悲劇を防ぐためには、家族の協力が不可欠でした。

ズバリ!「お母さん、21時になったらテレビの前でスタンバイしておいて作戦」です。

仕事や塾などでオンタイムにテレビの前にスタンバイ出来ない場合、家族に協力してもらって予約したい番組のスタートに合わせて録画のスイッチを入れてもらう。

これが最善の策だったのです。

いま考えると、あまりにも不便極まりないのですが、当時はこれが当たり前だったので何とも思っていませんでした。

それにしても、120分しか録画出来ないVHSなのに、当時は起用に使い回していたなと、我が事も含めて関心させられます。

そういえば、年末年始はホームセンターに行くとレジの前にVHSが山積みされている姿を良く目にしていました。

今ではすっかり目にすることのなくなった、昭和の懐かしい景色です。

余談ですが、ブラウン管テレビにビデオデッキが内蔵されている、通称『テレビデオ』の場合、テレビのリモコンで録画の設定も出来る等、操作性が格段にアップし、何より配線が無い分かなりスタイリッシュだったことから、大学進学や就職で独り暮らしを始める若者に人気でした。


私の場合、テレビデオとプレステ2組み合わせて使っていたので、前回の記事でご紹介したコピーガードが付いていないDVDソフトの場合、プレステ2で再生しながらテレビデオで録画すれば簡単にVHSにダビングすることが可能でした。

今となっては懐かしい思い出です。


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