自分の作品を売るということ、SPBS歌集の書店での販売を終えて。
歌集『今日はパスタを箸でいく』の書店販売が終了となりました。この歌集は「短歌を詠んだら歌集を編もう。SPBS THE SCHOOL歌集編集ワークショップ[第2期]」を通じて出版した歌集で、SPBS TOYOSU、SPBS Online Storeで最長4ヶ月、紀伊国屋書店新宿店にて1ヶ月半の間、販売いただきました。
自分にとっては初めての出版&販売で、まーあいろんなことを思いました。
販売前は「売れたらラッキーだよね。でも一冊でいいから知り合いではない誰かに買って欲しいな」程度に思っていました。販売が始まると友達から購入報告や感想が送られてきて嬉しくなったり、書店に行っては「俺の本売られてる〜」と、楽しんだりしていました。
ただ、レーベルメイトの歌集が完売になったのを知ると、次第に不安になっていきました。俺の歌集は売れてるのかな、出版するには実力不足だったんかな、出版後Twitterにあげた短歌のクオリティが低かったんかな、いや、そもそも短歌ビギナーである自分の歌集が売れて欲しいと思うのはおこがましいよな、などと、まあそれなりに気分の浮き沈みがありました。
販売期間が終了に近づいた9月末、売上の連絡がありました。完売こそしませんでしたが、思っていたよりも売れたようです。少しホッとしました。「一冊でいいから知り合いではない誰かに買って欲しいな」という願いも多分達成されてると思います。安心ついでに調子に乗って考えてみると、ビギナー歌人にしては結構売れたような気もしています(買ってもらった方に楽しんでもらえたかどうかが気になるところですが…)。
たぶん自分ひとりではこの部数は売れませんでした。買ってもらえた要因をいろいろと考えてみると、レーベルメイトの歌集をきっかけに自分の歌集も知ってもらえたのかなぁと思いあたりました。他の歌集きっかけで購入してくれた方が一定数居たのかなと思います。そう思うと、レーベルメイトの売れ行きに悩まされもしたが、助けられもしたわけで、これは、今回の出版ならではの経験かもしれません。
ホッとしたとはいえ、完売した歌集と自分の歌集の違いについては考えてしまいます。売れるってなんなんでしょう。音楽でいえば、世界的に大ヒットしていても自分はあまり聞かない音楽はあるし、逆に世間的にはあまり知られてなくても自分が好きな音楽もある。売れることは作品としての良さとどう関係しているのか(それとも無関係なのか)。そして、そんなことを気にする自分は、自分が良いと思えるものを作りたいんじゃなくて、多くの人に満足してもらえるものを作りたいんだろうか、などなど。
なんてことを考えながら、こないだ、7月末にサブスクで配信した自作曲の再生回数を見てみました(あまり気にするのも良くないと思い、8月以降は見ないようにしていました)。すると、月数回ずつですが、9〜10月もちょこちょこ再生されていて、なんだか嬉しくなりました。
他の人より売れなくて悩んでいた歌集と、思ってたより聞かれていて嬉しかった自分の曲。この2つを並べてみたら、なんか、とにかく作ろうという気になりました。作った作品がどういう評価を受けるかは分からないけど、作れば何かにはなる。そう振り返ってみれば、今回の歌集だって、完売はしなかったけど面白かったと言ってくれた人は居たわけです。とにかく作ろう。と、自分の創作スタンスを再度確認できたので、この振り返りは一旦終わりにしようと思います。
最後になりますが、販売やプロモーションをいただいたSPBSさん、紀伊國屋書店さん、フリーペーパーを制作いただいた同期生の皆さん、自分の歌集を紹介してくれた歌人の皆さん、オンラインストアや書店で自分の歌集を見たり手に取ったりしていただいた皆さん、感想を教えてくれた友達やネットの皆さん、自分の歌集に関わっていただいた皆さん、ありがとうございました。自分の作品が皆さんに知られていく経緯をさまざまな形で感じることのできた販売期間でした。
今後短歌についてどう活動していくかは考えていません。とりあえずレーベルメイトの皆さんが文フリに出るらしいので、それに行ってみたいなと思います(実はまだ文フリに行ったことがない…)。あと、吟行?やってみたい。一青窈さんが俵万智さんに短歌を習う本に吟行の様子があって、楽しそうだな、と。
こう考えてみると誰かと一緒に短歌をやるのが楽しそうですね。お誘いお待ちしております(自分から動かない人間ですみません)。