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勝手に1日1推し 241日目 「愛を耕すひと」 

「愛を耕すひと」監督:ニコライ・アーセル     映画

マッツ・ミケルセン、かっこいいよね。いつもコミコンに来てくれるよね。ありがとうだよ。大好きだよ!
ということで、見よってなったんじゃなくて、今回は、友人に興味深いことを聞いて、見よってなったんです。
なんかね、行き過ぎたウォークカルチャー問題!!っていうのがエンタメ界を席巻してるんですって。主にアメリカで。
ウォークはWokeと綴ります。Wakeの過去分詞形ですな。差別や偏見に自覚的であろうとすること=Wokeってことみたいです。ディズニー映画(実写)のプリンセスの最近の多様性、これにあたるそうです。
で、本作。本作は18世紀のデンマークを舞台にしています。ゲルマン系しかいないですよね?詳しくないけども、たぶん。それなのに作品の会見の時に「出演者が人種的に偏りがある」との指摘を受けたらしく、マッツはキレて、監督は困惑しまくったとか・・・。あの紳士マッツが怒っちゃうんだよ、やばいよ。てな訳で、史実に基づいた作品にまでWokeは必要なのか?!気になり過ぎて見よってなったんです。てか、「ダンダダン」(アニメ版)にも人種的指摘があったっぽくて、それもびっくりしました。

で、長くなりましたが、見終わりましての一言。おーいおいおい!指摘した記者さんさあ、ちゃんと観てた?です。マッツがキレるのも分かる。南方の女の子を不吉って言ってたじゃん。しかもその女の子、最重要人物じゃん。それがあの時代の全てじゃん。なのに?なのに出演者に多様性がない?理解してる?目、つぶってた?もう、行き過ぎ以外の何ものでもありませんでした・・・。むしろ怖くなってきた!
気になる方は、ご鑑賞下さいませ。

18世紀デンマーク。貧窮にあえぐ退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を懸け、ひとり荒野の開拓に名乗りを上げる。しかし、それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルが自らの勢力が衰退することを恐れ、ありとあらゆる手段でケーレンを追い払おうと躍起になる。襲い掛かる自然の脅威とデ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながら、彼のもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの頑なに閉ざした心に変化が芽生えてゆく…。そして、それぞれが見つけた希望とは―。

Filmarks

さて、本題。なんか久しぶりにごっつい大河ロマンを鑑賞しました。良かったです。ザ・映画鑑賞体験って久しぶりで、やっぱりこういうの好きだな、世界を味わう感じ好きだなって思いました。デンマーク映画自体久しぶりで、わーい!
なんですが、疲れた。疲れました。何が疲れたって、人の死が軽すぎるのを見続けることに疲弊しちゃったんですよ。
18世紀ってもう近代でしょ?なのに人の尊厳や命が軽く扱われ過ぎている。殺し殺されが日常なのよ。日本でも江戸時代くらいだから、まぁあぁ、階級社会だった訳だし、世界的にそんなんだったんだろうけど、ひたすら恐怖だなぁと。気に入らない、殺す!邪魔だ、殺す!拷問だ、死んじゃった!気に入った、レイプ!って、辛っ。あまりの傍若無人の無双っぷりに疲。
18世紀以前ももちろん同じような状況だったはずだから、そう考えると社会が熟すのには相当の時間がかかって、今、21世紀。それこそ本来のウォークカルチャーは、最先端な考え方ってことなんだけれども、そこのところだって行き過ぎちゃうと本質を見失ってしまうんだよ。もう!!ってなっちゃう。18世紀当時の貴族や軍人、入植者の関係を今に照らすと、格差社会ってことになると思うから、え?世の中の仕組みって実は変わってないの?って思って泣いた。

まあ、当時において、ケーレン大尉のように貴族の称号を得ることを望むのは、意地や外聞のためだけじゃなくて、生活にも直結するんだよなって思うと、ケーレン大尉の行動は納得せざるを得ないんだけど、やっぱり権威やお金があるだけじゃあ結局幸せにはなれなかったりするっていうドラマに普遍性も感じられて、歴史からの学びももたらす壮大で見ごたえある作品だったなあと思いました。
未開拓地を耕したんじゃなくて、愛を耕してたんだねってことですので、いいタイトル回収でしたよ、と勝手に心の中で合掌しました。

結構無情で手酷くドライな男ケーレン大尉だけど、あんなもんだよね、やっぱり。死が近過いもん。だからリアルだなって思いました。現代は、死までの距離が歴史上もっとも遠いと言っていいはずなので、安心して愛だけを耕していられるはずなのに、こんなにも分断が進んでる・・・。ケーレン大尉のように愛を耕そうぜって叫びたかったです!

あと、最後にね、もう1つ言いたいの。物理的に暗い。画面が暗すぎる!!まぁ、デンマーク(北欧)の未開拓地が舞台なので当たり前に太陽サンサンってわきゃないし、電気もない時代な訳だから暗くて当然で、時代考証的にそうじゃなきゃあかんのですが、なんですけど、やっぱり暗すぎダ!!!故に余計に疲れるのじゃ!

マッツはねえ、かっこよかった!!!やっぱりかっこ良かったよ。白いスカーフまいた軍服着たケーレン大尉、似合い過ぎー。あれだけ表情ないのに感情が見えるの、凄いって思う。
デ・シンケルは終始表情豊かで、逆に気味が悪かったな。
アンマイ・ムス、可愛かったです!幸あれ。

ということで、推します。

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