![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/153714283/rectangle_large_type_2_fd6f0f474a59a23f754ce24acce95352.jpeg?width=1200)
勝手に1日1推し 220日目 「ナミビアの砂漠」
「ナミビアの砂漠」監督:山中瑤子 映画
21歳のカナにとって将来について考えるのはあまりにも退屈で、自分が人生に何を求めているのかさえわからない。何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶしに過ぎなかった。同棲している恋人ホンダは家賃を払ったり料理を作ったりして彼女を喜ばせようとするが、カナは自信家のクリエイター、ハヤシとの関係を深めていくうちに、ホンダの存在を重荷に感じるようになる。
なんだろ、このレヴゅれない感じ。なんだろ、この言語化出来ない感じ。文字にするの、難しいわあ。
でもきっとこの言葉に出来ない気持ち?感覚?みたいなものが描きたかったんだろうな、とか思います。カナの退屈や葛藤や生き難さなんかの見えない内側をカナ自身もコントロール出来ず、どうしていいか分からなかったように、見る側もコントロール出来ず、どうしていいか分からないってとこが重要だったんじゃないかなあとか、思う。完全に個人の見解ですが。
美しくて正しくて善良な人柄で、そんな自分自身を理解しコントロールして生きてる人なんていないんだから、誰もがカナに寄り添えるんだよなって思いました。カナが生きてる世界に私たちも生きているんだなって実感します。特にカナと同世代の女の子たちはより親近感を覚えるのでは?見てみ~って言いたい。
俯瞰した外側から描いてはいるけれど、ひたすらカナの一人称なんですよね。カナの見えない思いや感情の部分を見えないまま、見える部分、表現出来る範囲で描いてるって感じ。冒頭のだるだる歩き&喫茶店でのシーンが全てを物語っていて、あのシーンだけで本作が好きになっちゃいました!
紙のストローって嫌やし、ノーパンしゃぶしゃぶは気になるし、面倒な話はしたくない。カナのカナらしさが全開に出てて、この世界にはもうカナしか存在していないってなって、グッときちゃった!!引き込まれるぅ。
なんだかさあ、世の中的にウェルビーイング推奨中な昨今、言い方は良くないかもだけど、カナくらい自分勝手でいいと思うのよ、若いうちは。何かさ、聞き分けが良くなくてもいいんじゃないかって思っちゃうのよ。思慮深さってのは、色々やらかして年齢を重ねるからこそ身につくんじゃないかって思うからさ・・・。
内容は、ないよう。って思わずダジャレ言っちゃうほど、内容はカナの日常を追ってるってだけ。オチもなくふっと終わる。だから、まあ、見る人は選ぶかもね、とは思います。
フランス映画みたいって思いません?トリュフォーとかゴダールとかみたいだなあって私は感じました。フランス映画って合う合わないがあるじゃないですか、そんな感じです。
私は好きなんで、本作も好き。セラヴィ。
てか、むしろ、情緒不安定でコケティッシュで個性的なフランス映画のヒロインみたいなヒロインが現れたなって、小躍り案件!!河合優実ちゃん、期待を裏切らない!本当にいいなあって思います。大ファン。1から100まで河合優実だから成立したといっても過言ではないと思います。メロい。「あんのこと」の杏も強烈だったけれど、本作のカナも相当なもんじゃい!
クロースアップやロングショットで彼女を執拗に追い続けたカメラワークも良かったし、衣装や美術関係も良かった!
次々新しい服を身に着けられると興覚めしちゃう、そんなにセレブかよ!って。着回ししてるからこそ現実味がある訳で。そこのところ、抜かりはありませんでしたわ。しかも可愛くて好み過ぎたし似合い過ぎた!
それに、綺麗でも汚くもなく、整ってもいない生活感バリバリの部屋。あの雑然とした部屋がとにかく良かった。
特に、ハヤシと同棲する部屋なんかは、ほとんど何もない部屋から作り上げられていった感じで、セカンドハンドで購入したであろうカナの趣味な部分とハヤシのインテリっぽい利便性重視な部分とが融合してて、物の増え方、散らかり方に月日の流れも感じられ、まあ、そりゃあ関係性の変化もありますわな、ってスルッと入ってきて、あの激ヤバ喧嘩のシーンにも繋がってく訳で、上手い演出です!
見えている部分で見えない部分まで描いてるんだから、見えてる部分全てが研ぎ澄まされてなきゃならないって思うんです。それでないとカナに全力でフォーカス出来ない。真実味が生まれない。つまり、細部までカナの生きている世界が作り込まれていたからこそ、この仕上がりなんでしょうね。
山中監督と河合優実ちゃんとの両想いと、監督の徹底したリアリズムなこだわりあっての作品だったですね!妥協なし!
とにかく「見てみ」としか言えないのがもどかしい。
にしても、カナとハヤシの喧嘩のシーンは凄かったなあ。本気でほんまもんで怖かったです。
金子大地さん、色気があるのに子供っぽくて魅力的でした。惚れちゃうなってなっちゃいました。
ホンダにはハンバーグをありがとう、の言葉を贈ります。ある意味、彼も自分しか、自分の見たいものしか見てない人だよね。若いってそういうことなんだろうな。ガンバレ。寛太郎さん、気持ち悪くて良かったです。
唐田えりかさんは・・・お久しぶりでしたね。どうしても東出がチラついてしまうぅ。
あと、どうしても言いたいから言うけど、BBQでのあの場違い感、疎外感にムズムズしたぁ。あるあるってなった。内輪盛り上がりって恐怖でしかない。カナの言動リアル過ぎ。いつかの私だった。
タイトル「ナミビアの砂漠」ってやっぱり砂漠みたいなカナがオアシスを探し続けるってところから付けられたんでしょうか。動画見てたしね。
エンドロールが最高でしたね。
山中監督の前作も見ようと思います!
ということで、推します。