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【初心者投資家の読書(8)】あのお金、返してください!!

今の証券会社の商売の仕方は確実に誤っている

初心者の率直な感想

なんとなく開いたAmazonのトップページのおすすめ本にこの本があり、思わず買ってしまいました。

簡単にいうと元大手証券マンが証券会社の際どい金融商品の売り方を過去の懺悔として、暴露してくれている本です。

直接、何かこれからの具体的な投資にまつわる情報・解説を何かしてくれているわけではありませんが、投資にまつわる話題として頭に入れておきたいと思い、読みました。

作中では「新興国通貨建て仕組債」を悪魔の商品と呼び、その被害はある証券会社1社だけで数万件・4000〜6000億円という規模で販売され、損失額は数千億円にのぼるという。

仕組債
文字通り、一般的な債権には見られないような特別な仕組みを持つ債権。この場合の仕組みとは、スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を利用することにより、投資家や発行者のニーズに合うキャッシュフローを生み出す構造のことを指す。仕組みによって満期や利子、償還金などを投資家や発行者のニーズに合わせて比較的自由に設定できる。

去年には、証券会社にまつわるこんなニュースも…。

2019年8月のニュース
「東京・江戸川区に住む71歳男が、証券会社の社員への脅迫容疑で逮捕された。妻の証券によって出た500万円の損失に立腹し、社員に「殺す」と言った疑い。」

「投資にはリスクがつきものだし、そもそも自己責任じゃないか。損したからと言って証券会社の社員に八つ当たりするのはおかしい」。この感想を抱くのが一般の人たちの感覚なのかもしれない。しかし筆者にはそうは思えなかったという。

このとき逮捕された男性の妻が購入したのは、まさに筆者が「悪魔の商品」と呼ぶ、ブラジル通貨のレアルを投資対象とした仕組債と言われる金融商品だった。投資額は70歳になる女性が老後資金としてコツコツと蓄えてきた1200万円だった。一度断ったものの再三の訪問に根負けし、最終的に所有財産全ての1200万円を注ぎ込んでしまったのだ。

元々証券会社にいた人間が丁寧に解説している証券会社のやり口は本当に生々しかったです。著者はこういった際どいやり方が横行してしまった原因の一つに日本国民の「金融リテラシーの低さ」をあげています。

自分もできる限り金融リテラシーを身につけて、しっかりと自分の頭で判断して投資を行えるようにしたいと思います。

この本のマイナスポイント

特になし。

著者

西田 明さん
1980 年、兵庫県生まれ。大学時代より株の売買を始め、大学卒業後は大手 証券会社に入社。リテール部門に配属され営業に従事。営業管理職を務めて いた2019 年、自社が販売してきた金融商品の健全性に疑念を抱いたことを きっかけに退社する。現在、都内の金融コンサルティング会社に勤務。
豊川祐行さん
2010 年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016 年東 京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多く の人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。得 意分野は消費者被害、借金問題など。過去に5000 人以上の借金問題を解決 に導く。

内容紹介(Amazonより)

銀行マン、証券マンは絶対読むな!
銀証連携の闇!
そのすべてを内部告発する!
銀行の信用とブランドイメージを悪用し高齢者を中心にだましたその手口とは!

◆5大証券会社で営業エースと呼ばれた著者が暴露する
金融、証券会社の闇とその懺悔録
◆お金が返ってくる!?弁護士が教える泣き寝入りしないで戦う方法とは!?

日本中の銀行マン、証券マンが絶対読まれたくない禁断の書がついに刊行!
あなたと親の「資産とお金」が狙われている!

絶対に言ってはいけないお金の闇
誰も教えてくれないお金の教養
絶対に言ってはいけない銀行と証券会社の不都合な真実がここに!

■「新興国通貨建て仕組債」という名の悪魔
■ヤバすぎる「ファンドラップ」の実態
■大切な財産を取り戻すために知るべきこと
■売り手側の「騙し」の手口とは
■損せずに得する「投資のコツと勝ちパターン」
■高齢者や退職金が狙われる本当の理由
■「BRICs」に奔走された人の末路
■あなたの親も騙されている「金融商品の罠」

勉強メモ

2013年を境に2015年にかけて、各証券会社はブラジルレアルやトルコリラを投資対象にした新興国通貨建て仕組債を大量に売った。2015年は五輪の開催を控えており、ブラジルは好景気に湧き、1レアルは45円台の高値水準にあり、その後もレアル高が続いていた。だが、2020年1月現在で1レアルは25円台まで値を下げている。2015年当時に1000万円をレアルに投資したと仮定した場合、約5年経った今、当時の1000万円の4割強が失われ、600万円以下に目減り。さらに新興国通貨建て仕組債の場合、通貨価値の下落分以上に損失を被る仕組みになっている。
顧客の無知につけこみ、証券マンたちはいくらでも自分たちの儲けになるような商品を売り付けてもいいのか。こうした行為は証券市場における有価証券の発行や売買、その他の取引に関して定めた日本の法律「金融商品取引法」の40条で触れられる「適合性の原則」で禁止されている。
適合性の原則とは「顧客の知識、経験、財産の状況及び、金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘」を行ってはならないという姿勢を指す。
金融投資のためのチェックリスト
1.1000万円以上の金融資産がありますか。
2.外貨建て商品の投資経験はありますか。
3.為替取引をした経験がありますか。
4.現在75歳未満ですか。
5.アメリカの政策金利と為替の関係を理解していますか。

一つでも「いいえ」がある場合、十分な金融リテラシーがあるとは言えず、適合性の原則から外れている可能性が高い。
著者が証券会社に入社した2003年ごろ、会社は株式売買の手数料で収益の半分以上を稼いでいた。
株式売買の手数料の積み重ねを主軸として、投資信託や債権という金融商品の販売を傍らで行うのが、従来の証券会社の姿だった。しかしインターネット証券が登場し、大幅に手数料をダンピング。既存の証券会社から顧客を奪った。それに伴う生き残り策として既存の証券会社は株式売買以外で収益を増加させる道を模索し始めた。この流れが複雑怪奇な債権や投資信託の販売へと結びついていく。
証券会社には、上場企業を顧客として社債発行などによる資金調達やM&Aなどのお手伝いをするホールセール(大口)部門と、個人や中小企業を顧客とするリテール(小口)部門がある。
リテール部門は基本的に4つの商品を売買している。株式・債権(個人向け国債から仕組債、外国債権)・投資信託・保険だ。著者が勤めていた証券会社は、全国に約130の支店を擁していて、リテール部門で年間1800億円の収益を上げることを目標とした。この数字を達成するために「投資信託」が鍵となる。売買に際する手数料と運用の代行手数料の2つの収益をもたらすためだ。
新興国通貨建て仕組債は売る側に有利。
新興国通貨建て仕組債の多くは「デジタル型」という方式で運用されている。この方式では、3ヶ月に一度、利率判定が行われる。その際、債権に適用される為替レートが決められた水準を上回ると、償還日を待たずに既定の年利8.05%が適用されて早期召喚が実行されてしまう。逆に決められた水準以下になると、0.1%という低金利の適用が自動的に決定する。仮にこの仕組債を5年償還の設定で、為替レートが1レアル50円の時に1000万円ほど買ったとする。5年償還といっても、購入時から3ヶ月ごとに利率判定が行われていく。利率が確定されている最初の3ヶ月が過ぎ、購入から6ヶ月後、50円だったレアルが51円に値上がりしたとする。こうなると、為替の変動が一定水準に達したと判断されて早期償還が成立し、購入額の1000万円と年利8%の3ヶ月分である2%の利子が支払われ、清算が終わる。本来なら円安に振れれば振れるほど、新興国通貨建て仕組債を購入した顧客にとって好都合なはずだが、一定水準を超えた瞬間、自動的に「打ち止め」となり限定的な儲けだけを付与されて終わる。一方で円高に振れた場合、限りなく0に近い金利が適用されていく。
真っ当な投資商品には、早期償還なんてついていない。
証券会社は金融再編以降、グループ内の銀行と協業して新規顧客を増やし、仕組債のような商品を購入させていた。

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