見出し画像

"旅" を見つめなおす旅 〜言葉ギャラリーの裏側〜


今日からはじまる「言葉ギャラリー」という企画に、ご縁があって参加させていただくことになった。

言葉ギャラリーとは、首都圏のとある病院の廊下に「言葉と写真」を用いた作品を並べて展示する企画のこと。主催は、元ナースで今は企画を生業にされている、さっちんさん

わたしも、今回のお誘いがあってはじめて知った企画だった。




きっかけは、昨年参加したオンラインの企画講座で出会った、同期のタグチさんからのメッセージ。


「今回のテーマが旅だと聞いて、真っ先にななみんが思い浮かんだ。」


そう言われたのが嬉しくて、わたしは詳細を知る前から「やります!」と返事をしていた。



1年ぶりに顔を合わせたタグチさんは、変わらず言葉の一つひとつを丁寧に選ぶ人だった。そのことに、わたしはまた嬉しくなった。


「期限は短いけれど、最高の作品をつくろう。」


こうして、わたしたちの数日間の旅がはじまった。





今回、言葉ギャラリーに出展したのはこちらの作品たち。


このnoteを読んでくださっている方には、なんとなく目に留まって記事を開いてみたという方、言葉ギャラリーで実際に作品を見てnoteが気になったという方と、様々だと思う。

ここからは、どちらの方にも楽しんでもらえるような「企画の裏側」について、綴っていきたい。


***


今回、わたしたちはまず「旅とは何か?」を改めて考えることから始めてみた。

旅とは……
・非日常の世界の扉を開くこと 
・知らない場所、人、自分に出会えるもの 
・楽しいだけじゃない、苦労やトラブルがつきもの 
・途中で目的が見つかるもの 
・関係性をつくるもの 
 ・余白のあるもの

お互いの「旅」に対する想いや意味合い、解釈について話し合いを重ねていると、それぞれの定義で共通する部分とそうじゃない部分が出てきて面白かった。



そして、次に考えたのは「誰に、何を伝えたいのか」。

一晩考えてみて、ハッとしてわたしは次の言葉に書き換えた。


「誰が、何を伝えてほしいのか。」


わたしたちが一方的に「伝えたいこと」ではなくて、あくまでもこの作品に出会ってくださる方が、「伝えてくれたら嬉しい」「心が前向きになる」と感じること。

それを意識して、キャッチコピーとなるメッセージ案を考えていった。

キャッチコピー案:
・僕らはまだ、旅の途中。
・あなたは今、どんな旅の途中にいますか?
・あなたは今、どんな旅をしていますか?
・あなたの旅に、名前をつけるとしたら。
・この道の先で、待ち合わせしよう。
・曲がりくねっているほうがいい。
・その道を歩いている、あなたにしか出会えない景色がある。
・道の数だけ、旅がある。
・私は、わたしに出会う。

できるだけ一方的にならないように、無責任で押し付けがましいメッセージにならないように。

今回この作品を見てくださるのは、今いる場所から思うように動くことができない方や、今すぐには物理的に遠くへ旅することができない方。

そんな方に、ちゃんと自分たちの言葉が届くよう、何度も言葉を探しては、様々な角度から文章を眺めて書き直す、を繰り返した。

軽すぎず、重すぎず。近すぎず、遠すぎず。
その絶妙なバランスを、真剣に模索したつもりだ。



そうして次は、また「旅」という言葉に戻って、旅にまつわるキーワードを洗い出していった。

お互いに出したキーワードを並べてみると、共通項もあれば新しい発見もあって、旅って人それぞれの形があるんだなあと思う。

旅にまつわるキーワード
空、雲、星 ・道 ・車、船、飛行機 ・仲間、出会い 、変わる、変化、長い、曲がりくねった、続く 、非日常 、日常、越える、生命力、海、星 、風 、窓、歩、音楽、食

わたしが並べたキーワードを見て、タグチさんは「コブクロみたい」と言って笑った。

正直わたしは有名な曲しか聞いたことがないのだけれど、言われてみればそんな気がしてきて、それもまた、わたしにとっては新しい発見だった。



旅の記憶や、今回のギャラリーを見てくださる方々に思いを馳せながら、最後は今回の企画の方向性をふたりで決めた。

方向性:
・非日常ではないけれど、新しい世界に触れられるような作品にしたい
・できれば双方向で一緒に考えられるような、問いかけを用意したい



今回、ふたりでの打ち合わせはこの一回のみ。

そのあとは、お互いに持ち帰って自分の心と向き合い、頭をひねって考え続けた。


「お互いに日常の写真を持ち寄って、そこから "旅" について考えてみるのはどうか?」


自分からそんな提案をしてみたものの、いざカメラロールを探してみると「日常の写真」と言えるようなものはあまりないことに気づいて困ってしまった。

仕方ないので、旅先の写真の中でも "日常" を感じられるようなものをいくつか共有すると、


「ななみんの写真は、旅の途中で撮っているものが多い印象がある」


と言われて、たしかに、と納得した。


「日常の写真があまりなかった……」


と落ち込むわたしに、タグチさんから


「このプロセスも、旅だと思ってる」


と返ってきて、タグチさんはいつも言葉でわたしの心を救ってくれるな、と心強くなった。

こんな風に、誰かとの対話を通して新しい世界に触れられるのも、もしかすると "旅" と言えるのかもしれない。




最終的には、主催のさっちんさんに見ていただいて冒頭の3作品の出展が決まった。

せっかくなので、今回のギャラリーでは日の目を見ることがなかった作品たちも、最後に載せておこうと思う。

わたしたちが、旅の途中でみつけた景色。


偶然、お互い全く同じ写真をシェア。
並べると道が繋がってみえて、なんだか奇跡みたいですね、と言い合った。
旅=人生に名前をつけるとしたら、何になるだろう。
これから、どんな名前をつけたいだろう。
あなたを想うたび、新しいわたしに出逢う。
誰かを想う旅も、自分に出逢う旅も。旅は、続いていく。
知らない自分に出逢えたり、新しい世界に触れることができたり。旅ってなんだか、恋みたいだ。






いかがでしたか?

あなたの "旅" の考え方、捉え方がほんの少し変わるきっかけになっていたら嬉しいです。


答えはひとつじゃない。だから面白い。


今回は、わたしたちからあまり多くは語らずに、作品を観たあなたの感じ方や考え方、そこから生まれる想像を楽しんでもらえたらな、と思っています。

感じたことや考えたこと、思い出したこと。
ぜひ、聞かせてくださいね。



最後に………

言葉ギャラリーという素敵な企画を開催してくださったさっちんさん、1年ぶりに「一緒に企画しませんか?」と誘ってくれたタグチさん、ありがとうございました!

何かを企画するってやっぱり楽しいし、企画を通してもっともっと新しい世界を見てみたい、届けたい、という想いがあったことを、わたし自身も思い出すきっかけになりました。

今回、アイディアは出たものの実現できなかった企画もたくさんあったので、近いうちにぜひ形にしていきましょう。楽しみにしています。





わたしたちの旅は、これからも続いてゆく。


岡崎菜波 / Nanami Okazaki


いただいたサポートは、もっと色々な感情に出会うための、本や旅に使わせていただきます *