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第3回U-25短歌選手権応募作品『ラオス一人旅』

角川第3回U-25短歌選手権に応募した。
結果は何も残らなかったけれど、今読み返してみると、やはりあの時に作っておいて良かったな、と思う歌がたくさんある。
写真では残せない感情を、短歌の中に、タイムカプセルのように、残せたと思う作品が、たくさんある。
それは本当に、幸せなことだ。

作品に込めたい、大切な思い出/感情/発見があること。また、それらを忘れたとしても、歌を読み返せば心に蘇るほどの完成度であること。
その2つが叶えられた作品であるのなら、受賞の有無に関わらず、自分の作品が少なくとも自分にとっては大切な作品であると、強く肯定できると思う。

そんな、自分にとって意味のある、大切な作品。

第3回U-25短歌選手権応募作
『ラオス一人旅』

空港を出てすぐ来るは客引きよ我をかき消す東南アジア

山盛りのドラゴンフルーツ一つ手で握ってごらん夢じゃないから

SIMなどを買わずに旅を始めれば宿探しさえ冒険になる

ドミトリーのSHOSES OFFの注意書きそこは同じでそこだけでした

仲良しがすぎるよ誰が店員で誰が客だかわからないカフェ

SOY SAUCE, WASABI, AJINOMOTOふるさとの味がラオスのこんな机に

道端で普通に話しかけられてわたしに宿るラオス性って

メコン川沿いでビーズを並べては光に沿って編む少女たち

透き通る瞳の子どもと遊んだら溶けていました氷の心

ラオスにも箒で遊ぶやんちゃな子いて思い出す「そうじのじかん」

沖縄の石敢富ここラオスにもあって遥かな伝播なりけり

一月のスミレがラオスに咲いていて春も日本も恋しくなりぬ

せんべいや唐辛子など干していてラオスの道は太陽のそば

太陽のお見送りして星型のランタン灯すルアンパバーン

路地裏をブーゲンビリアが隠すからそっとくぐれば翼あるかも

仏壇が外にあるから両脇の先祖に挟まれて通る道

シンデレラ乗せていそうなトゥクトゥクがルアンパバーンに振り撒くは夢

白色のブーゲンビリアが揺れている雲が垂らしたはしごのように

広げれば大きいものだ橙の袈裟垂れ下がるベランダがあり

七人の小人が使ってそうな椅子五つを占めて僧侶賑やか

托鉢に群がる人が多すぎてオーバーツーリズムを見ている

新年のブーゲンビリアに吹く風はワットシェントーンの祈り あまねく

夕焼けは世界どこでも美しくただ一つだけ平等なもの

メコン川ふりさけ見ればその人を思い出すほど完璧な月

ラオス版屋台餃子を食べた人「なまら」と言った人元気かな

(画像引用元https://www.pexels.com/ja-jp/photo/92664/)

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