7周年の保護犬・猫マッチングOMUSUBIと振り返る、ペトコトが「今」社会課題に取り組む理由
株式会社PETOKOTOの執行役員 OMUSUBI事業責任者の井島です。実は2023年12月は特別な月で、幼少期から一緒に育ってきた愛犬が20歳を迎えます。そして、新卒時代から保護団体さんに叱咤激励いただきながら、がむしゃらに事業推進をしてきたOMUSUBIも7周年を迎えます(ラッキーセブン✌️)。
いつもOMUSUBIを見守ってくださり、本当にありがとうございます。
2016年に審査制の保護犬・保護猫マッチングサイトとしてリリース後は、募集掲載数も少なく、応募者も少なく、掲載⇄応募の循環を創出することに大苦戦。「OMUSUBIに登録していても応募が来ないから」と退会を希望されたこともありました。
しかし草の根を分けるような地道なサイト機能改善と保護団体さんとの協働を繰り返し、登録団体数が50団体を超えたあたりから、OMUSUBIメンバーの仲介がなくても自然とマッチングにつながること増え始めました。やっとスタートラインに立てたと感じたのが昨日のことのようです。
これまで、なぜ「PETOKOTOが」なぜ「今」、OMUSUBIを通し社会課題に向き合おうとしているのか。この部分について発信をする機会が少なかったので、7周年の振り返りと共にお伝えできればと思っています。
01. PETOKOTOが運営する「OMUSUBI(お結び)」とは
- 前提情報|ペットを取り巻く社会情勢
まず前提として、皆さんも「ペットの家族化」という言葉を聞いたことはありませんか? 日本では実は15歳以下の子供の数よりもペットとして飼育されている犬猫の数の方が多く、年間支出額も増加傾向にあります。2021年度の市場規模は約1兆7,187億円と、実はペットは決してマイナーな存在ではありません。
「家族」とは、もはや一つの画一的な定義で語れるものではなく、ジェンダーも越えさまざまな家族のカタチがあります。
それはペットも同じであり、ある人にとっては子供のような、親友であり兄弟姉妹のような。そんな豊かで多様な関係が存在しています。
ちなみに私と愛犬は、幼少期は恐らく愛犬に「妹」と捉えられ、成長するにつれて「姉」に昇格できた気がします。
私という人格形成に大きな影響を与えた彼らは、私にとって人生の生き方を決める軸のような存在であり、羅針盤のようであり。
今存在する言葉では表現しきれないので、「ペット」という言葉自体が母、父、娘、息子のような、家族の総称の一つになると良いなと思います(PETOKOTOメンバー内では目指せ広辞苑!です笑)。
一方で、日本では年間1.4万匹(※)の犬猫が殺処分されている現状があり、過剰な野外繁殖、多頭飼育崩壊、悪質な事業者による不適切飼養・繁殖など、飼育者による遺棄、解決すべき問題が山積しています。
前回(2019)の改正動物愛護管理法では、犬猫を取り扱う事業者が最低限守らなければいけない基準が設けられることになり「数値規制」「数値基準」と呼ばれ議論が活発に動きました。
段階的な施行を通し、いよいよ2024年に完全施行となります。
犬猫たちと人間には共通の言語はありません。劣悪な環境に身を置かれても、異議を唱えることも、その場から逃げることもできません。
だからこそ、命への責任は人間側が、業界側が果たしていかなければいけないと考えています。
- 審査制の保護犬・保護猫マッチングサービス
「OMUSUBI by ペトコト」とは
OMUSUBI(お結び)は、事務局審査を通過した保護団体のみが募集掲載を行える、審査制の保護犬・保護猫マッチングサイトです。
審査では、まず団体形態や活動内容、譲渡方針などを提出いただき、オンライン上での発信情報の確認の上で追加質問等に対応いただき、必要に応じて現地訪問審査も行った上で審査完了となります。
実はOMUSUBIは2名体制で運営しているのですが、2023年12月時点で会員数は7.5万人を突破。月間50万人が来訪する規模まで成長しています。
登録団体数は全国280団体で、常時2000件以上の募集が掲載され、月間平均50件ほどOMUSUBIの応募を通し譲渡決定し、保護犬・保護猫に新しい家族が結ばれています。
02. OMUSUBIの特徴と取り組み
- 全ての子にスポットライトを当てる「相性診断機能」
掲載数も応募数も伸び始めた頃、やはり子犬・子猫や小柄な犬種の子が人気となり、持病のある子、中型犬以上の子、シニアの子にはなかなか応募がきませんでした。
ペットを家族として迎える際、人間側の一歩的な「好み」で判断されがちですが、お迎え時のミスマッチを防ぐにはお互いの「相性」も大切です。
そのため、OMUSUBIでは「相性度診断機能」の開発に至りました。
6つの質問に答えると2000件以上の募集情報とデータが掛け合わされ、相性度が表示され、特に相性が良さそうな子がレコメンドされる仕組みとなっています。
もちろん、最終的な相性の確認は譲渡フローの中で行う必要がありますが、まずペットを家族に迎える際はお互いに相性を確かめることの大切さに気づき、色々な子にも候補を広げていただく狙いもございます。
相性度診断機能リリース後は、実際に雑種の子やシニアの子が譲渡に結びつくケースも生まれてきました。
- 他企業と連携し保護団体支援強化と業界健全化アプローチ
OMUSUBIでは審査制の強みを活かし、保護団体の支援拡大のためAmazonが実施する「保護犬・保護猫支援プログラム」で掲載審査連携を行なっております。
ほしいものリストを活用し、簡単に保護団体さんに直接支援物資を送ることができるこの取り組みは、累計3億円以上の支援物資のお届けにつながっています。
- OMUSUBIで結ばれた出逢い(ご利用者さまの声)
OMUSUBIでは、保護犬・保護猫のお迎え時の様子や体験者の声を「お結びレポート」という形でも配信しています。
また、タレントの森泉さんもOMUSUBIを通した譲渡をきっかけに「お結びレポート」インタビューに応えていただきました。
- OMUSUBIに登録する保護団体さんの声
OMUSUBIでは、まず何より保護活動の最前線で尽力されている保護団体さんとの協働・支援をとても重視しています。
定期的にご要望や感想もお伺いする中で集まった声の一部も共有します。
また、2023年12月に実施した株式投資型クラウドファンディングへの挑戦に対しても、コメントを寄せてくださいました。
03. PETOKOTOが今、事業として社会課題に取り組む理由
OMUSUBIを運営する株式会社PETOKOTOは、「ペットを家族として愛せる世界へ。」をミッションに掲げ、現在は3つの事業を展開しています。
出逢いの家族化として「OMUSUBI(お結び)」
情報の家族化として「ペトコトメディア」
食の家族化として「ペトコトフーズ」です。
本当の意味でペットを「家族」として愛せる世界にするためには、ペットを好きな方も、苦手な方も、犬猫たちも、ただ一方が許容を求め主張するのではなく、お互い尊重しあえるような社会整備が必要です。
しかし、想いだけでは企業経営は成り立ちません。
会社としての成長とミッションを紐づけるため、私たちは2022年にリブランディングを行いPETOKOTO BRAND HOMEという指針盤も策定しました。
PETOKOTOのルールには「短い命に届けよう」「ペットを愛するプロでいよう」「輪の外も想像しよう」という文言が並びます。
今回、OMUSUBI7周年の振り返りと共に冒頭で記載した、なぜ「PETOKOTOが」なぜ「今」、OMUSUBIを通し社会課題に向き合おうとしているのか。
この答えは、「今」助けを必要とする保護団体さんや保護犬・保護猫がいて、「今」向き合うべき社会課題があり、私たちは「短い命に届ける」というルールを軸に行動をしてるからです。
いちスタートアップとしては、事業の多角化によって工数が分散されることはリスクでもあります。
しかし私たちは、将来的にはお迎えから最期までを寄り添えるペットウェルネスカンパニーとして成長するため、「今」OMUSUBIを必要としてくださる方にサービスを届けながら、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
OMUSUBI事業を推進する身としては、正直まだできていない、やりたいことばかりで歯痒い日々です。しかし、今を一歩ずつ積み重ねることにより、微力ながらお力になれることを信じ、全力で社会課題の解決と一件一件のマッチングに向き合っていきたいと思います。
ぜひ引き続き、OMUSUBIそしてPETOKOTOを応援いただけると嬉しいです。