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チェロ初心者さんのテクニカルレベルをアップするかもな、ドから始める7日間基礎トレチャレンジ#5日目

ついに残すところあと3日となりました。いつも
盛り沢山にお届けしないように気をつけているんですが、今日は盛り沢山になってしまいました(笑)忙しい方は読み飛ばして、基礎トレチャレンジに飛んでください。
まずは、音楽的「贅沢」について。

音楽的贅沢を味わおう、というお話。

これはクラシック音楽に限らずですが、音楽との時間に幸せを感じている方・・自分の趣味のためにチェロを弾くとか、ただ好きだという気持ちに突き動かされて楽器を弾くことや、音楽と触れ合う時間をもつことで心が豊かになる、とおっしゃる方は多いと思います。
特にチェロを弾こうと思われる方には、その魅力的な音だけではなく、クラシック音楽が纏う独特な雰囲気に惹かれて楽器を手に取る方が一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
西洋音楽が纏う独特なムード、またその実践を、「贅沢」という切り口から探ってみようと思います。

西洋音楽が纏うリッチなムード

西洋で音楽が成立・発展していった背景には、キリスト教(ざっくり分けてカトリックとプロテスタント)と絶対王政という、芸術を庇護する二大勢力がありました。
昔の王さまとは、人々を治めるという神さまから与えられた絶対の役割を遂行する者ですから、神さまを祀る教会と王族には、絶大な権力がありました。力のある場所に集まるのが富であり、人であり、知でした。あらゆるリソースが集まる場所は、教会と宮殿だったのです。
集まる「知」の中には、古代ギリシャから発展した学問の一つ、音楽がありました。音楽には人の心を昂らせたり、落ち着かせたりする力があり、長年研究されてきたことを知っていた権力者たちが、音楽を疎かにするわけがありません。教会では神に祈りを捧げるため、宮殿では国交・社交の場を盛り上げるため、音楽は絶対に必要なものだったのです。
音楽家は庇護者たちのもとで雇われ、そこに集まる最新の設備=楽器や建造物(今で言う劇場やホール、教会)を与えられ、ヨーロッパ各地から集まった腕の良い演奏家とともに、音楽を育んでいきました。

面白いことに、音楽家と貴族たちの契約書が現代まで残っています。中でも音楽の父・ハイドンを雇っていたハンガリーの貴族エステルハーズィ家の契約書は興味深いものです。
年間に蝋燭何本まで支給するとか(光熱費)、作曲に使う紙やインク(消耗品費)がいくらまでとか、事細かに書かれています。契約書の他にも、エステルハーズィ家が所蔵する楽器のリスト(設備目録)も残っていたりしまして、それらの資料と加えてハイドンの自筆譜を見ると、間違えたところをぐちゃぐちゃとインクで潰し、どんどん次のページに書き進めたりしていて、紙の節約は一切なし!(笑)
彼がいかに豊かな環境で仕事をしていたのかが、よくわかります。
エステルハーズィ家には、ハプスブルグ領地の東をトルコの侵略から守るという大事な役割がありました。アイゼンシュタットの宮殿や、ハンガリーの別邸エステルハーザでは、要人を招いての国交・社交の機会も多く、その規模の分、音楽家の仕事も重要なものとして、手厚く雇い入れられてたのです。
ハイドンは一例ですが、このような成立の背景から、クラシック音楽は豊かで独特の、贅沢なムードを纏うようになります。

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