一本の電話から頂いた雑誌の連載…ずうずうしくも言ってみるもんだ
SNSが全くなかった頃の話。子供二人が2~3歳の頃、幼児向け雑誌の手作りおもちゃの企画に応募して、何度か掲載して頂いたことがある。
男の子二人は機関車トーマスが大好きで、トーマスをモチーフにした段ボールの汽車ポッポや、ミルクの空き缶で作ったぽっくり(二つの缶に足を乗せて、紐を持って歩く)や面白写真など、雑誌に掲載されたり、おもちゃを頂いたり、それは楽しくて喜ばしい主婦の楽しみであった。
詳しくは覚えていないが、その雑誌社から一本の電話があり(掲載時の景品の発送のことだったか?)色々説明を受けた後、なんとも大胆にその方にある申し出をした。
「昔デザイナーをやった経験があるのですが、何かお仕事を頂けませんか?」と。
デザイナーといっても、オリジナルな商品は数点で、取引先のデザイナーのコンセプトを取り入れた商品製作の橋渡しをしていた位に過ぎないが、独身の頃は、自分の好みでたくさんの手作り小物を製作しては友達にプレゼントしたりしていた。そういえば、手作りキットの作品をパッチワークショップで販売したこともあった。
すると電話をくださった方は、別の方を紹介してくれ、「それでは、今検討している新しい企画があるので、幼児向けの手作りおもちゃの試作品を送ってもらえませんか?どこの家にもある、廃物を利用して。」と答えて下さった。
その電話がきっかけで、家にある廃物で使った試作品のおもちゃを作り、作り方の説明書を添えて送ったところ、採用となった。
その廃物は、牛乳パックやミルクのスプーン、ガーゼのハンカチ、マヨネーズの容器、ヤクルトの容器、ペットボトルなど、使い終わったら捨ててしまうようなものばかり。
この程度で良いのかな?と思いながらも、子供たちと遊べて、簡単に作れるものを作り続けて、それは月刊誌の連載となった。
プロのイラストレーターが猫の親子のイラストで、作り方を紹介してくれた。そのページの上にイラストレーターの名前と、私の名前が掲載された。
思いもかけず、その連載は2年数か月続いた。
今となっては、電話があったとはいえ、ずうずうしくも仕事の依頼なんてよくできたなあと思う。
でもあの時思い切って申し出たことで、子供たちと遊びながら発想した作品をたくさん作ることができた。今やれと言われてももうできない、子育て中だったからできたことである。
振り返るとほっこりする、懐かしい思い出だ。
そして今また、長年の時を経て、新たな作品作りを夢見ている。