見出し画像

今さら火花



先日、母がもう何年も前に
流行に流されて買うだけ買って
1ページも開かれずに置きざりにされていた
又吉直樹さんの小説「火花」を見つけ、
ウチの母がすみませんと悔恨の念を抱きつつ読み進めたのですが、
大変面白くあっという間に読み終えてしまいました。


その中の主人公の先輩である神谷さんですが、
イメージを勝手に天竺鼠の川原さんと重ねて読み進めていました。

あまり川原さんを存じ上げないまま想像するのは大変失礼かもしれないのですが、
なぜかイメージは初めからかなりしっくりくるものがあり、
最後のジャンプのシーンもかなりリアルに想像出来ました。
実写化はもうされているみたいですが、川原さんのも見てみたかったです。


またその一節に、

"喫茶店のマスターの厚意を無下にしたくないという気持ちは理解出来る。
だが、その想いを雨が降っていないのに傘を差すという行為に託すことが最善であると信じて疑わない純真さを、僕は憧憬と嫉妬と僅かな侮蔑が入り混じった感情で恐れながら愛するのである。"

という文章があるのですが、
この感情と愛するという言葉のチョイスが
なぜかドシンと心に響きました。
いやー、好きになりました。


それにしても
私が物心ついた時から本を一冊も読み切った事がない母がどうして小説を買おうと思ったのかが大変深い謎ですが、
うちはわりとそんな不思議だらけの家族なので
もう諦めている所ではありますが、
先日も、買い替えた車のカーナビのお姉さんの声が暗かったようで、
「葬式か!」
と両親でツッコんでキャッキャしていたので後部座席から静かに見守っておきました。


陶器のウサギに本気で話しかけていたり
下着のチョイスが完全にボディビルダーだったり
こんな所に晒せないような人たちの集合体がうちです。
そんな一家です。
兄は普通そうに見えますが、
よく分からない所でツボって笑うので
なんだか、やはり血は争えません。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集