見出し画像

瀬戸内寂聴さん「花怨」&自分をさらけ出すということ

波乱万丈の人生をまっとうされた
瀬戸内寂聴さん。戦争、離婚、許されぬ恋、ベストセラー作家としての日々、突然の出家…
苦悩に満ち、時に批判されながらも自由を貫く
人生を送られたからこそ見えていた世界があったのではないかと思いを馳せます。


2018年に寂聴さんの名作「花怨」の新装版(文庫)の装画を担当させていただいたことがありました。

画像1


*講談社より2018年11月発売
ブックデザインは緒方修一さん。

色街で料亭を営む母とは別の家に暮らし、父親を知らずに美しく成長してゆく奈々緒。
複雑な家庭環境の中でも純粋に愛を求めゆく彼女…
母親に押し付けられて結婚した夫とは心が通じず、その先には想像を絶する悪夢が待ち受けていた…。 コントロール不能と思える人生の中でも、物語のラストに主人公のしなやかな強さと
人生における祝福の光を感じられて安堵しました。
70年ほど前の時代の空気がとても面白く感じられたのですが、装画においては、あえてその時代感は出さずに現代の女性にも通ずるものを表現しました。

こちらはラフ案です↓↓

画像3

画像4

画像5

本画です↓↓

画像7

2枚提出しましたが、左側の絵を採用していただきました。

画像7

こちらは旧カバー↓↓

画像2

装画は横尾忠則さんとリサ・ライオンさんの合作。
何とも言えない女の情念が伝わる装丁です。




寂聴さんの弟子である方の著書にこうありました。

“人はいざ書こうとすると良い風に書きたくて気取ってしまう。ありのままの自分をさらけ出して書くということはすごく勇気がいることなの。それができる人が人の心をうつことができるのよ。”
(お弟子さんの文才を見出しながら)

- - - - - - - - - - - - - - - - - -

小説家として命つきるまで生きたいと願い
「自分が書きたいものがちゃんと書けたこと」に一番の楽しさと喜びをお持ちだったようです。
「周りからどう思われるか」を意識したものではなく
自分の心から表現したいものを、納得のいく形で書き上げる。
寂聴さんの表現者としての姿勢に、共感せざるを得ません。

瀬戸内寂聴さんのご逝去を悼み、深い平安がありますようご冥福をお祈りいたします。

いいなと思ったら応援しよう!

日端奈奈子
いつもお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは創作活動の資金として大切に使わせていただきます。