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七木香枝
2020年7月12日 13:41
雨の降る夜に小窓を開けていると、家の外壁を伝い落ちる雨粒が大きくなったな、と感じられるときがある。そのすべるような跳ねるような音が好きで、雨の日は小窓を開けている。週の初めも、そんな夜だった。さらさらにほんの少しざらっとした感触の混じるシーツの上で肌を泳がせるようにしながらうたた寝するうちに、雨粒の滴りはどんどんくっついて連なって。まどろみがちに雨音を楽しんでいると、次第に窓の外はざわつくよう